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Ryu-chan6708

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2013.01.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類


【送料無料】新・国富論 [ 浜矩子 ]

アダム・スミス の「 国富論 」には有名な「 分業 」によるピン製造の生産性向上例があるね。
  ピンの製造工程 18 程ある。
  スミス氏は実際に 10人のピン工場 を視察する。
分業化 していて、 1日4万8千本 以上のピンを産出していた。
  もし、分業せず、 10人 が、 個人個人 18 工程やれば、 1人1日 2本 がいいところだという。
  次の3つの効果が働いているからだ。
  1.仕事が細分化されることよる 個人の技能向上
  2.一つの作業から別の作業に移る時の移動 ロスの排除
  3.機械化への容易な転化。

A氏 :しかし、それだけの ピンの需要 がないと意味が無いね。

:そこに「 市場」 の重要性が生まれる。
 市場が広ければ、広いほど、品質がよくて 安いピンの需要 は増える。
 企業の利益も増え、雇用も増え、「 国は富む 」。

 さらに「 市場 」が自由貿易による「 国際市場 」に拡大し、ピンが「 国際競争力 」があれば、さらに需要は拡大し、 輸出したピンのカネ 収入 として国にもどってくる。
  これでさらに「 国は富む 」。

高度成長期 の日本がそうだね。
  繊維、電気製品、自動車と「 国際競争力 」をつけた モノ が世界市場で売れる。
  当然、 企業は儲かり、雇用は増大し、賃金も上がる
  「 国は富む 」ことになるね。

  企業は、ただ自身の利益のためだけに活動するのだが、自分の意図しなかった 社会の利益向上 という目的も達成する。  アダム・スミスはこれを「 見えざる手 」に導かれているという。

A氏 :「市場が神様」なのかね。

:それが違うんだね。
アダム・スミス 分業の問題点 も「国富論」で指摘している。
  分業が進むほど、大多数の国民は 特定の単純作業 ばかりに従事する。
  毎日、同じ事の繰り返しで、 思考は停止 する。

A氏 チャップリン の映画「 モダンタイムス 」だね。

国民の知的退行 となる。
 だから、 アダム・スミス は、近代国家における 大衆教育の重要性 を説いているという。

A氏 :日本では現在、 派遣社員 などは 分業の犠牲 だね。
  若者たちは 草食化、無感動、マニュアル慣れして、応用力なし
  若者だけではなく、大人も問題がおきると「 想定外 」で逃げる。

:カネの問題に移ろう。
アダム・スミス の「 国富論 」では、カネはためておくためでなく、使うためにあるとある。
 市場で交換するときに効率的にできる。

 ところで、帆船が当初の架け橋となった「国際市場」は、 20世紀 に入って飛躍的に拡大する。
  当時の「 国際市場 」は、多数の「 国内市場 」によって構成されていた。
  基本的に、 モノ はそれぞれの国で 一貫して作られ 、そのモノが「国際市場」に供給されていた。

  しかし、現在の「グローバル市場」は 単一市場 で、それに向かって モノ が供給される。
  「国内市場」で 一貫して作られるもの は少なく、細分化した「 グローバル・サプライ・チェーン 」の国々を経由して、強大な「グローバル市場」に供給される。

アップル社のiPhoneやiPad は、世界中の部品メーカーや組立てがチェーンをなして作られ、世界市場に供給される。
2011年 タイの洪水 HDD の供給がストップし、世界中のコンピュータメーカーが減産。
 東日本大震災で スペインの自動車工場 が減産。
 トヨタのあるエンジン部品は、日本国内の外注からインドネシアに渡り、加工され、最後にトヨタのエンジン工場に供給される。

A氏 :そうなると、 個々の企業の利益追及 が、「 国の富み 」と合致しなく事態が生じてくるね。
浜氏 は、以前「 ユニクロ栄えて、国滅ぶ 」という一文を雑誌に書いているが、これが現在の グローバル経済の特徴 だね。
  それは、 個々の企業の利益追求 は、必ずしも「 国富 」につながらない時代になったということだね。

クルーグマン が言っていたように、現在、アメリカの企業は 記録的な利益 をあげているのに、アメリカ国内では、 失業率は高く、労働者の賃金も低下し 国は富んでいない 」。

明日は、その問題に移ろう。






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Last updated  2013.01.16 20:15:47コメント(0) | コメントを書く


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