りゅうちゃんミストラル

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2005.05.29
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カテゴリ: 政治

メジャーな新聞である産経と朝日が社説で取り上げている。
この二つの社説比較はとても興味深い。

考えを自由に述べられるのは表現の自由という点においてはいいことだが、
同時に日本でも東京裁判については一枚岩ではないということが、
今から紹介する二つの社説からわかる。
これはいかに日本という国が、
戦後靖国や戦争責任について論争してこなかったかを意味している。

日本でもいろいろな意見があるものを、
隣りの国である中国が理解できるわけがない。

この件に関して私はすでに 5月26日の日記 で書いた。
ここでは基本的に過去の主張を繰り返さない。

今日 5月29日の産経「主張」 は「靖国神社 首相参拝は日本の慣例 戦没者に敬意を払いたい」として、
A級戦犯、サンフランシスコ条約、靖国について次のように述べている。

(以下引用)

中国は「A級戦犯」が靖国神社に合祀されていることを問題視している。いわゆる「A級戦犯」は、東京裁判で裁かれた被告を指す連合国側の呼称である。日本はサンフランシスコ講和条約で東京裁判の結果を受け入れたにもかかわらず、その「A級戦犯」を合祀している靖国神社に首相が参拝することを中国は許せないらしい。

 だが、現在の共産党独裁国家の中国は、東京裁判や講和条約の当事国ではない。しかも、連合国は「A級戦犯」合祀を問題視していない。

 講和条約で日本は東京裁判の判決を受け入れたが、それは刑の執行や赦免・減刑などの手続きを引き受けたに過ぎない。「南京大虐殺」など事実認定に誤りの多い東京裁判そのものを受け入れたわけではない。講和条約を論拠に、「A級戦犯」合祀を批判する中国の主張は通用しない。




産経新聞は日頃から他の新聞が主張しないことを発言していて興味深い一面もあるが、
今回の「主張」はいただけない。

というのも、サンフランシスコ講和条約について、
「一部は認めるが、認めない部分もある」というのは、
産経の身勝手な解釈でしかないからだ。

もちろん東京裁判が戦争に勝った連合国による、
リンチにも近い存在であったことは私も認める。

ところが日本が一度認めてしまったものを後になってから認めないとするのなら、
その点をまず国際社会に訴え、国際社会もそれを追認しなければ説得力がない。

「南京大虐殺」については私も30万人という犠牲者を疑問視しているし、
中国はチベット問題などで日本が過去行った過ちを繰り返している。
だが今回の会談キャンセルに関する騒動は南京大虐殺についてのことではなく、
そもそも中国に日本はどんなことをしたかという点だ。
靖国神社参拝は、こうした背景がある。
すでに 日中共同声明 で日本は中国に謝罪した。
日本の侵略行為は日本政府自身にとってすでに確認されたことだ。

その点を踏まえても今回の産経社説に賛成できない。
私はこんなにも意味不明な社説というものを今まで読んだことがない。
産経らしくない主張だ。

日本が東京裁判についてどんな解釈をしようが、
それを中国は受け入れる必要はない。
逆に日本が東京裁判の判決について国際社会に訴えたいのなら、
どうして国連や国際司法裁判所に訴えて結果を出さないのだろうか?
どうして産経新聞は政府にこうした行動を取るように訴えないのか?

また、サンフランシスコ講和条約に中国が招請されなかったことについて、
「図解 太平洋戦争」(河出書房新社)では次のように解説している。

共産党政権に変わった中国は、朝鮮戦争の最中の交戦国ということなどから、米英の思惑がからんで招聘されず、インド、ビルマ、ユーゴスラビアの三ヶ国は招請されたが出席しなかった。

日本国内では共産党や社会党、その影響力下にある労働組合などは、ソ連と中国抜きの単独講和絶対反対を唱えている。時の首相吉田茂が、全面講和を主張する東大総長南原繁を「曲学阿世の徒」とののしったのもこうした時だった。




つまり中国は呼ばれなかったのだ。
産経はこうした点についても説明不足だ。
社説を読む限り、まるで中国に非があったように読めてしまう。

また、中国が来ような来るまいが、日本がサンフランシスコ講和条約で宣言したことには何ら変わりがない。
この点でも産経は議論の主題から巧みに逃げようとしているように感じてしまう。
それとも産経はサンフランシスコ講和条約を破棄し、
日本が国際社会復帰を果たした場面からやり直そうとでも言うのだろうか。

もしくは 戦争犯罪者の処罰 を規定している 「ポツダム」共同宣言 の受理、
さらに 日中共同声明 での謝罪まで産経は反故にしようというのか?
産経の社説からは日本がかつて行った中国への侵略行為に対し、
まったく反省していないようにさえ読めてしまう。

一方 28日の朝日社説 では、
「東京裁判否定 世界に向けて言えるのか」として以下の森岡発言を批判している。


「極東国際軍事裁判(東京裁判)は平和や人道に関する罪を勝手に作った一方的な裁判だ。A級戦犯でありながら首相になったり、外相になった方もいる。遺族には年金をもらっていただいており、日本国内ではA級戦犯は罪人ではない」

敗戦国として不満はあったかもしれない。日本無罪論を主張したインドのパル判事もいた。だが、日本は東京裁判の結果を受諾することで国際的に戦争責任の問題を決着させる道を選んだ。これはまぎれもない事実だ。

サンフランシスコ講和条約はそのことを第11条にうたい、日本を再び国際社会に迎え入れた。調印した国々の多くは、日本復興への配慮から賠償などの請求権を放棄した。

 ここから戦後日本は再出発した。東京裁判での戦争責任の決着はその起点である。森岡発言はその土台を否定するに等しい。

森岡氏と似たような主張は、一部の政治家や学者、マスコミにも見られる。そうした主張が日本の歴史認識を疑わせることにもつながっている。

 一宗教法人とはいえ、靖国神社も同様だ。そのパンフレットで「日本の独立を守り、アジアの国々と共に栄えていくためには戦わなくてはならなかった」と先の戦争を正当化し、戦犯を「連合軍の形ばかりの裁判によって一方的に戦争犯罪人というぬれぎぬを着せられた方々」と位置づける。




今回ばかりは産経は朝日に確実に議論で負けた。
どう考えても朝日のほうが理にかなっている

朝日も批判しているが、森岡発言を「個人の見解」とするのも政府としてはいただけない。
というのも、すでに公人である人の発言は「個人の見解」として受け取られないからだ。
小泉が「個人として靖国に参拝する」と言うのと同じことだ。
公人は、自分の都合で立場を使い分けてはならない。
重要なのは「自分がどう思っているか」ではなく、「人がどう評価するか」だ。


追記

小泉が「不戦の誓い」をするのにどうして靖国に行くのか、
これもまた私には意味がわからない。

戦争で犠牲になったのは何も軍人だけではない。
「不戦の誓い」をしたいのなら、原爆で犠牲となった広島や長崎、
空襲で犠牲になった東京や大阪、そして地上戦の行われた沖縄ですればいい。
しかも靖国神社では西郷隆盛や白虎隊、そして被差別部落出身者も合祀されなかった。
( ひめゆり部隊 や鉄血謹皇隊、 対馬丸 の死没者は合祀されている)
「死してなお差別をしているのは靖国自身」 と言える。
靖国参拝と「不戦の誓い」がどう結びつくのか私には理解できない。
小泉はどうして靖国だけにこだわるのか?
こうなると「遺族会の票が欲しいから」ということにしかならない。

どうせ小泉はやめろと言っても靖国へ行くんだろうから、方法はひとつしかない。

小泉が靖国に行ったらもう自民党に投票しない。
もちろん次の首相も同じ。
小泉が参拝の自由を言うなら、こちらは投票の自由だ。



追記その2

よく、「戦争なのだから人が死ぬのは当然」と言って日本の侵略を正当化する人がいるが、
もしその人が目の前で家族を殺されてもそう思うのだろうか?
「人殺しはいけないが、戦争なら構わない」ということにはならない。

「日本がしたことは侵略ではない」ということも大いに疑問だ。
それならばなぜ日本は政府として韓国や中国に謝罪するのか?
「過去の過ち」を反省してのことではないか?
もし、「侵略ではない。謝罪はおかしい」と言う人がいたら、
それは日本政府に向かって言えばいいことだ。
もし聞く人がいたらの話だが。


参考になったページ

「靖国神社問題」について

A級戦犯合祀は自らやめるべきである

漂流する幼児国





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最終更新日  2005.06.05 20:22:59


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