私のお気に入り!昇る朝日、光る川面、泳ぐ鳥     

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見えない聞こえない世界


聞こえるのは、ザ―という音が
頭のなかで響いているだけ。

手に触れるものや、身体にさわるものもない。

たった一人で、宇宙空間に放り出されたみたい。

何も感じられない。
何もない。
ひとりぼっちの不安。

これは、
盲ろう者の通訳・介護者研修での
盲ろう体験です。

耳栓の上にヘッドホンをつけて
アイマスクをして、完全装備。
最初は、介護者に誘導してもらい、
通路を歩いたり、階段を上り下りしたり、
恐る恐る移動していました。

突然、その介護者の手が離されました。

何もない世界。

その不安感。

声を出すのは禁止されているし、
何があったのか
どうしていいのかわからない。

今まで全幅の信頼で身を委ねていた人がいない。

どうすることもできず、ただ待つしかありませんでした。

後で聞いたら3分だったそうですが、
とても長い時間でした。

装具から解放された時、みんな一斉に声をあげました。

「ふぅー。」「はぁ~~」

20人の人たちは、周りにひしめいていました。
こんなに近くにいたのに、なんにも感じなかった。

後で講師の人が話しました。
「みなさんは、たった数分でしたが、盲ろうの方は
これが、毎日、毎週、365日、何十年続くのです。」

この言葉はとても重く、胸の中に入りました。

午前中の講師の方は、盲ろうの方でしたが、
手話を使い表情たっぷりで、とても愉快に
お話をされました。
服装もとてもおしゃれで、素敵でした。

盲ろうの方の障害はいろいろで、
生まれつき見えない聞こえない人や、
初めは、聞こえなくて、途中でだんだん見えなくなった人や、
反対に、見えなくて、途中で聞こえなくなった人、
ほんの少し見えて、ほんの少し聞こえる人。

一人ひとり違っていて、
それぞれに伝達手段も違い、
感じ方も違います。

ひとくくりに見えない聞こえないといっても
いろいろあることを知りました。

電車に乗っていて、急に止まったり、
歩いていて、事故が近くであったり、
地震や災害が起こった場合、
ほんとうに、困るだろうなと思います。

まわりにそういうことを理解している人が
増えることは、盲ろうの方にとっては
とてもいいことだと思いました。


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