ファレノプシス~幸福をあなたへ~

ファレノプシス~幸福をあなたへ~

『彼に幸せを』




  そんなことははじめからわかっていることだ。


  だけどそれを受けいれることのできる人は多くはない。


  『彼』が死んだ。


  いつ?


  と聞いても答えが返ってくるハズがない。


  悲しかった。


  ただ悲しかった。


  ひとしきり泣いた後皆に事実を伝えた。


  事実を告げるとまた涙が溢れてきた。


  認めてしまった。


  『彼』がもういないことを。


  『彼』が死んでしまったことを。


  私は願う。


  どうか『彼』が迷うことなく道を歩けますように。


  どうか『彼』の最後が安らかでありましたように。


  どうか『彼』が今度生まれてくる時は幸せでありますように。


  これは『彼』へのコトバ。


  でも半分は私の言葉。


  どうか許して。


  気づいてあげられなかったことを。


  涙を流すことを。


  あなたの幸せを願うことを。


  これは私の罪。


  でも私はこの罪を忘れようとは思わない。


  忘れてしまえば『彼』も消える。


  だから忘れない。


  そうして『彼』は私の中に残る。


  罪とともに。


  それでいい。


  どうか消えないで。


  これは私の懺悔。


  そしてこれは私の願い。


  どうか『彼』が迷うことなく道を歩けますように。


  どうか『彼』の最後が安らかでありましたように。


  どうか『彼』が今度生まれてくる時は幸せでありますように。

  コメント
  飼ってたペットが死にました。
  いつ死んだのかもわかりません。
  私はきづいてあげられなかった。
  それでも私なりに精一杯供養はしてあげました。
  キリスト教徒ではありませんが十字もきりました。
  誰でもいいから『彼』が無事に道を歩けますように。
  そうして今度生まれてくる時は自分の死を伝えられるモノになって。
  だけどお願い。
  人間にだけはならないで。
  こんな愚かな生き物にだけはならないで。
  これは私からの本当の願い。
  許してもらうためではない本当の心からの願いです。
  どうか『彼』に幸せを。


       『彼』に捧ぐ追悼の詩

                       by雷覇

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