Private eyes Cafe

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1st Dance -第4幕-





5月27日から2週間、真理は「怪盗チェリー」のファイルを見ていた。すると怪盗チェリーの盗んでいるものはすべて不正入手されたものだということに気づいた。 すぐさま父に報告し、今度予告状がきたら、調査したほうがいいと進言した。哲幸は「分かった」と言い、部屋へと帰っていく。

時は流れ、6月11日の放課後。涼は雪絵から今度の土曜日の13日からニューセントラルデパートで宝石展があり、その中にはイミテーション、つまり贋物があるという話を聞かされていた。 この情報はある宝石職人から聞かされ、その職人が脅されて作ったのだが、警察にも言えずに困ったいるらしい。

「・・・らしいっていうか、困っているんだろ?」

「そ、そうだけど。困っているって思うんだったら。」

「はいはい、分かっているよ。その先は言わなくてもな。この怪盗チェリーにお任せを。」

「ありがと、そうだ。今回の宝石の名前はね。『青天の霹靂』。それが贋物。それを盗むか、壊すかすればOKだから。」



そして次の日にニューセントラルデパート予告状が届く。



6月14日の午前零時

このデパートの宝石『青天の霹靂』を頂きに参ります。

その時に皆様に『青天の霹靂』をお見せいたしましょう。

怪盗Cherry



これを見た真理は、怪盗チェリーは照明を落とし、雷光と爆音を使って脅かせて盗もうという作戦なのだろうと思った。

 そしてこの宝石には、何かウラがあると思い調査を開始する。



その頃、デパートの社長室では、社長とある男が会っていた。社長の宮内は、自分の目の前にいる男に叫んでいた。

「本当に贋物とばれていないんだろうな!」

「貴様は金でも数えていろ、いらん心配はするな。」

「しかしだな・・・」 弱気な宮内。

そんな宮内を無視して男は考え込んでいた。「怪盗チェリー、生きていたのか。」と・・・

そんな時ドアがノックされた。入ってきたのは哲幸と真理であった。

「失礼します。私はこの度の警備の責任者の神尾です。」

「刑事さんか。何か用ですかな?」

「このデパートの警備システムなどお聞かせ願えたらと思いまして・・・。失礼ですが、そちらの方は?」

「ああこちらは、例の宝石の持ち主の青木さんです。」

「はじめまして、青木です。この度はよろしくお願いします。」

その青木という男は、スーツの上着に青いバッジをつけていた。

・・・それから哲幸達は話を聞いて退室した。その後、宮内は青木に「警察にはばれないだろうな。」とたずねる。青木は「当然だ」と答えながら、また考えていた。

『神尾・・・どこかで聞いた気がするな。』



そして6月13日、下見のつもりか涼と雪絵は例のデパートに来ていた。その9階の特設会場の中は警察と客で埋め尽くされていた。特に『青天の霹靂』の前が一番すごい。

涼はその人ごみの中で「青いバッジ」をつけた男を見た気がした。

その数秒後、真理と出会った。

「あら、お二人でデートですか?」

そう聞かれ、さすがに盗みの下見とは言えないので、「そうだけど・・・」と、涼は答えた。

そして少しの間会話をして、最後には「今日こそは、怪盗チェリーを捕まえて見せるわ!」と豪語していた真理をみて、涼は心の中で「そいつはどうかな?ま、無理だろうけどな。」と思うのだった(当然口にはしていないが・・・)。

ついでに他の宝石を見ていたら、その中でひとつの宝石を見つけた。『青天の霹靂』の持ち主の青木氏所有のその宝石は『誘惑』という名前の漆黒の宝石であった。説明文のところには「全世界の人々を魅了する闇の宝石」と書かれている。

「涼、涼ってば。人の話を聞いているの?ねぇ。」

涼は、雪絵の呼びかけに答えず黙っていた。

「この宝石も青木っていう人のものなんだね。」

「雪絵、帰るぜ。」

「えっ、ちょっと待ってよ~。」

そして帰り道で、涼は雪絵にこう言った。

「雪絵、青木って人『青いバッジ』をつけてた。そして『黒い宝石』を持っていた。・・・・・もしかしたら・・・。」

「ねえ、涼。あの黒い宝石は本物かな?」 何か思うところがあるのか雪絵が言う。

「え?」

「だってね・・・・・・」 雪絵が説明を始める。

「そうか、そういうことか。贋物の展示はそういうことか。待てよ、『誘惑』のとこには確か○○○って・・・」



そして午後5時、会場は「明日の準備」をしていた。警察もデパートも・・・デパートも?

「あの、何の準備なのですか?」

真理は係員に聞いてみた。係員はオークションがあるのでその準備だと教えてくれた。

「オークションね。何のオークションなの?」

「それは・・・」と、係員は宝石の種類を教えてくれた。

「そして最後にひとつあれですよ。」とひとつの宝石を指差す。

「ありがとう。」

真理は、そう言って係員と離れた後に、こうつぶやく。

「そういうこと、そういうことなのね。」



不適な笑みを浮かべている真理、そして絶対の自信を持つ涼。

今回、最後に笑うのは・・・?







         -そして、時は夜へと堕ちていくのであった。


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