ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2005.09.06
XML
カテゴリ: 映画の話
腹の立つことはあっても、受信料を払っていてよかった、と思うのはこういう企画が実現されたとき。

NHKが、BSで今週から「成瀬巳喜男特集」と題して、24本の作品を連続放映。この夏からの「寅さん」企画に続き、うれしい限りです。

私は、和洋を問わず、30~50年代のモノクロ映画を観るのが好きです。
特に、日本の古い映画は、知っている街の昔の風景や、「TVでよく見るお年寄り役の人」が、若き日の思いがけず美しい姿で見られたりするのも楽しみ。きれいな日本語も聞けますし。

その上、繰り返しの鑑賞に堪えるような素晴らしい作品がたくさんあります。
小津も、溝口も、黒澤も、「みんなちがって、みんないい」(by金子みすず)。

なかでも、成瀬巳喜男の映画は、最初に「浮雲」(写真)を見た時の衝撃が忘れられません。
すごい強さで心を揺さぶられた思い出があります。「くされ縁映画」というジャンルがあったら世界最強だと思う。
以降、「めし」「晩菊」「流れる」…などなど、出会えた作品はすべて好きでした。



情熱的な季節が過ぎたあとの、男と女の「グダグダ感」の描写が秀逸。
馴れ合いの末に生まれてくる感情を、残酷なほどに切り取ってみせる…のに、ジメジメとし過ぎず、どこかに品と詩情がある。

そんなところに惹かれるのかなぁ、と思います。
あ、別に私が倦怠期に悩むということではなく(笑)でも、恋のときめきは永遠ではないでしょ?つきあいが長くなると、恋愛は友愛に似たものに変わっていったりしません?ね?ね?(必死)

昨日放映された「めし」は久しぶりに見ましたが、原節子さんの魅力を再発見しました。
おきれいだということに加えて、演技力のある人なんだなぁと。

今って、男女を問わず、「どんな役をやっても○○○○(俳優名)にしか見えない」俳優さんが多いじゃないですか。
それに引き換え、原節子にしても高峰秀子にしても、美しいだけではなく、それぞれの映画で与えられた役に没入していると思うのです。

微妙な感情の綾が、役者の表情によってダイレクトに表現されて見る側に伝わってくる強さは、小津安二郎の映画とは一味違う魅力ではないかしら。

しかし、NHKのHPで
「成瀬巳喜男(1905-69)は「冬ソナ」に連なる恋愛ドラマ演出の開拓者の一人とされる監督である」

何もここで、自局の韓流ドラマを宣伝することはないと思うのですけど(笑)

人気blogランキングへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005.09.06 10:17:49
コメント(15) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


サリィさん、こんにちは~~♪  
花蓮ママ♪  さん
私も古い日本映画にはサリィさん同様、
とっても惹きつけられます♪
昔、図書館で日本女優名鑑なるものを発見し、
穴があくほど見ておりました。
昔の女優さんにはやはり華があり、ちらりと見える影の部分等を想像するのがとっても楽しかったです♪昔はやっぱり狭き門でしたからね♪
今は・・女優を簡単に名乗るのもどうかと思いま~~す♪ (2005.09.06 11:57:19)

Re:BSで「成瀬巳喜男特集」を観る(09/06)  
mayao5  さん
わ~、今日も面白い日記を読ませていただきました。
成瀬巳喜男監督のお名前、無知な私は知りませんでしたが、「浮雲」「流れる」は知っています。
くされ縁映画、うまいこと言いますね~(笑)!

昔の俳優さん達の丁寧な演技は惚れ惚れしますね。
って、私は日本の古い映画はあまり観たことがないのですが、
原節子さんと高峰秀子さんの映像は何度か観たことがあります。
どんな役をやっても○○○○…吹き出してしまいました(笑) (2005.09.06 18:14:49)

女優名鑑!!  
サリィ斉藤  さん
花蓮ママ♪さん

>昔、図書館で日本女優名鑑なるものを発見し、
>穴があくほど見ておりました。

わぁーっ、それは時間が経つのを忘れて楽しめそうですね!!
そう、女優さんには「華」と「影」があるのですよね。原節子さんに至っては「伝説」までついてきちゃいますから、ある意味最強かも。

>今は・・女優を簡単に名乗るのもどうかと思いま~~す♪

そうですね、TVドラマで散々見たようなお芝居じゃなくて、こういう過去の名作から学んでよ~って思ってしまうことよくあります(笑)
(2005.09.06 18:49:09)

「丁寧な演技」まさにそうですね!  
サリィ斉藤  さん
mayao5さん

>わ~、今日も面白い日記を読ませていただきました。

ありがとうございます!励みになるお言葉。

>成瀬巳喜男監督のお名前、無知な私は知りませんでしたが、「浮雲」「流れる」は知っています。
>くされ縁映画、うまいこと言いますね~(笑)!

「浮雲」は高峰秀子さんもいいですが、相手役の森雅之さんが素晴らしいと思うんですよね。
「ダメなのにイイ男、イイ男なのにダメ」…ていうのは、まさにこういう人のことだよ!って感じで。

高峰さんつながりでは「二十四の瞳」も大好きな私です。何度見ても泣いちゃう上、他の誰のバージョンも受け入れられないのです(笑) (2005.09.06 18:53:10)

やるせ・なきお  
このBSの特集は嬉しいですね。私もそう思います。「浮雲」の森雅之はかなり意識しますね。そうなりたくないという気持ちとそうなってもいいという気持ちがせめぎ合う意味で特にこんな年齢になるとこの映画のことが頭から離れない。そんな印象です。また見てしまいそうです。 (2005.09.06 18:59:34)

Re:やるせ・なきお(09/06)  
サリィ斉藤  さん
デヘヘヘラーさん

>やるせ・なきお

上手い!座布団差し上げに伺いたいくらいです。

>「浮雲」の森雅之はかなり意識しますね。そうなりたくないという気持ちとそうなってもいいという気持ちがせめぎ合う意味で…

な、なんだかこの一文を読んでドキドキしてしまいました。

で、全然ロマンチックじゃないですが、昨日の映画で原節子が演じた「生活に倦み飽きた主婦」の姿…時々「その気持ちわかる、わかる」とうなづいている自分に、ア然としました(笑) (2005.09.06 19:10:13)

それから  
まろ0301  さん
 『白雪姫』でも『シンデレラ』でも、「そして二人は幸せに暮らしました」で終わりますが、「その後のシンデレラ」なんか誰も書きませんよね。
 現実とファンタジーとは違いますから。

 それにしても、上原謙、全然生活感が感じられません。こういうところはうまいところなのでしょうか。
 「色男、金と力はなかりけり」ってところでしょうか。 (2005.09.06 21:10:35)

Re:それから(09/06)  
サリィ斉藤  さん
まろ0301さん

> 『白雪姫』でも『シンデレラ』でも、「そして二人は幸せに暮らしました」で終わりますが、「その後のシンデレラ」なんか誰も書きませんよね。

漱石の、あの小説の発想は、やっぱり画期的だったといえるのでしょうか。

> 現実とファンタジーとは違いますから。

その通りですね。家事の殆どが電化されていなかった時代、家を守り生活していくことの「現実」は、今よりもっとリアルな重みを持っていたように感じます。
戦争が終わって6年目、まだ、玄関先から靴を盗まれるなんてことがあった時代だったのですね… (2005.09.06 21:18:55)

Re:BSで「成瀬巳喜男特集」を観る(09/06)  
Gish  さん
こんばんわー。「浮雲」ってやっぱ、スゴイですよね。私はあのウダウダ感をジでやってた時期があって、見るのがツライんですが、やっぱ見ちゃう。ほんと救いのない映画でした。
原節子の「めし」は、よかったです。小さなコマゴマとした生活を描いてるのを見るのが好きです。
どうしても、高峰秀子さんは「カルメン」のイメージが強いんですよね。ああいうカラッとした役もできーの普通のお母さん役もできーので素晴らしい女優さんですね。
森雅之サン、って「浮雲」のあの役、ジでは?と思うぐらいですねー!ほんとにあのような俳優さんは、今いないような気がします。関係ないけど、私は「挽歌」の森様が1番好きです! (2005.09.07 01:27:02)

Re:BSで「成瀬巳喜男特集」を観る(09/06)  
quutaro  さん
今の恋愛ドラマってなんかしらけてしまうけど、昔のものって、意外に受け入れやすいんですよね~。

家も恋愛が完璧!友愛に変わっています(^^) (2005.09.07 08:08:08)

Re:BSで「成瀬巳喜男特集」を観る(09/06)  
紫0204  さん
成瀬巳喜男は見て無いんですよねー。サリィさんは本当に本や映画を色々楽しまれているので、こちらに来ると参考になることがたくさんあって大変!(笑)見たいもの、読みたいものがどんどん増えてくよぉ!!!
モノクロの映像って以前はちょっと見づらいっていうイメージがあったのですが、色がついていない分、影などの効果がとっても美しかったりするんですよね。
日本の映画はやっぱり表情や間、その持っている湿度が肌に合うのか落ち着いて見ていられる気がしますね。 (2005.09.07 09:31:20)

破滅が似合う色男  
サリィ斉藤  さん
Gishさん

>原節子の「めし」は、よかったです。小さなコマゴマとした生活を描いてるのを見るのが好きです。

私もです♪お座敷のすみの蝿帳からお米を出して、お勝手で研いで…原節子さんの仕草はカンペキに「ベテラン主婦」でしたね。

>どうしても、高峰秀子さんは「カルメン」のイメージが強いんですよね。

あの、ちょっと頭が軽いストリッパーの役、かわいいですよね~。

>森雅之サン、って「浮雲」のあの役、ジでは?と思うぐらいですねー!

ほんと、実生活ではあぁいう色男とは関わらないほうが吉ですね(笑)「挽歌」は見たことがないのです…いつかぜひ見てみたい! (2005.09.07 18:47:42)

友愛もまた…  
サリィ斉藤  さん
quutaroさん

>今の恋愛ドラマってなんかしらけてしまうけど、昔のものって、意外に受け入れやすいんですよね~。

確かにそうですね~。自分を取り巻く現実とはちょっと違った世界の出来事だからでしょうか。

>家も恋愛が完璧!友愛に変わっています(^^)

それもまた良し(笑)ずーっと燃え上がっていたら、そのうち焼け焦げてしまいそうですものね。 (2005.09.07 18:50:14)

光と影と湿度  
サリィ斉藤  さん
紫0204さん

>サリィさんは本当に本や映画を色々楽しまれているので、こちらに来ると参考になることがたくさんあって大変!(笑)

紫さんが、スポーツやハンドメイドを幅広く楽しまれている時間も、私はジーッと動かずに映画や本に埋もれているのです(笑)

>色がついていない分、影などの効果がとっても美しかったりするんですよね。

そうそう、光を使った表現とかため息が出ますね。黒澤明の「羅生門」とか代表選手でしょうか。

>日本の映画はやっぱり表情や間、その持っている湿度が肌に合うのか落ち着いて見ていられる気がしますね。

この「湿度が肌に合う」というご意見、激しく納得!同感です~!!
(2005.09.07 18:54:04)

光と影と湿度  
サリィ斉藤  さん
紫0204さん

>サリィさんは本当に本や映画を色々楽しまれているので、こちらに来ると参考になることがたくさんあって大変!(笑)

紫さんが、スポーツやハンドメイドを幅広く楽しまれている時間も、私はジーッと動かずに映画や本に埋もれているのです(笑)

>色がついていない分、影などの効果がとっても美しかったりするんですよね。

そうそう、光を使った表現とかため息が出ますね。黒澤明の「羅生門」とか代表選手でしょうか。

>日本の映画はやっぱり表情や間、その持っている湿度が肌に合うのか落ち着いて見ていられる気がしますね。

この「湿度が肌に合う」というご意見、激しく納得!同感です~!!
(2005.09.07 18:54:05)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: