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カテゴリ: 映画の話
myblueberry.jpg



未練を断ち切れず、元恋人の家の、通りをはさんだ向かいにあるカフェに出入りするようになる。
彼女を受け止め、ブルーベリーパイを用意して話をしてくれるオーナー、ジェレミーに、徐々に心の傷を慰められていくエリザベス。二人の間に流れる親密な空気。
しかし、どうしても終わった恋を断ち切れない彼女が、突然とった行動は・・・


ウォン・カーウァイ監督が、初めて英語圏に進出し、ハリウッド俳優を起用して撮りあげた最新作は、トニー・レオンもチャイナドレスも出てこないけれど、まぎれもない「ウォン・カーウァイ印」の映画でした。

監督自身が、過去の自作を引用し、そのエッセンスを抽出して、自らの映画づくりをプレゼンしてみせたかのような。
劇中、私の大好きな「 花様年華 」の映画音楽(というか、元々は鈴木清順監督の映画「 夢二 」のテーマ曲)まで流れてきたのには、さすがにビックリしてしまいました。

そんな訳で、基本的にこの監督の映画のファンである私などは、鑑賞中からただうれしくて、またもやお気に入りのカーウァイ作品が増えた!という感想です。

どんなに辛い失恋でも、それを甘いブルーベリー・パイで慰めてくれるのがジュード・ロウだったら、私だったら二秒で方向転換しちゃいそうだゾ、という思いはありましたが(笑)

演技初挑戦のノラ・ジョーンズ扮する主人公、エリザベスは、二秒どころか、長い長い旅に出る決心をするのでした。
映画の舞台はここからニューヨークを離れて、以降、エリザベスが旅の途上で経験した出来事が描かれていきます。



心のどこかが死んで、空っぽになってしまった人物を演じることは、心が満たされている人を演じるより何倍も難しいことだと思うのです。
その点、どのキャストも見事だと思いました。レイチェル・ワイズもナタリー・ポートマンも、本当にきれいだったし。

自分の旅(=この映画)では主人公だけれど、各々の場面では、エリザベスは出会った人々の人生の脇役であり、傍観者であり。
本来、俳優ではないノラ・ジョーンズの素朴な佇まいが、かえってこの“受け”の演技をリアルに見せているようです。

そして、そのノラが本業の歌も披露している、サントラはとにかくかっこいい!
クレジットを見たらライ・クーダーの名前を見つけ、さすが、と納得。
渋くて、大人っぽい心地よさは、スタイリッシュな映像をより魅力的にしていました。

小洒落たカフェやバーで、片隅のモニターでエンドレスに流すのにはおあつらえむきかも。
でも、ただのおしゃれ映画というのではなく、そこには“人と人のつながり”というものの確かな描写が息づいていて。

自分の足で人生に立ち向かったことで多くを学ぶ、エリザベスのリセットと再生の物語は清々しく、カーウァイ作品には珍しく(?)心がスーっとした映画でした。



マイ・ブルーベリー・ナイツ オリジナル・サウンドトラック





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最終更新日  2008.04.03 20:43:30
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