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カテゴリ: 本の話





例えば、名作「乃里子三部作」の復刻判(単行本)は、こんな感じ。



講談社文庫で復刊された作品は、上楽藍さんが作られた手ぬぐいが表紙になっています。本棚に納めてしまうのがもったいなくなるほど、かわいい!



今回読んだ「春情蛸の足」は、美味しい食べものとオトナの恋ごころをモチーフにした短編集。

「何たって、男女二人して、(これ、おいしいわ、ね、あなた)(うん。うまいなあ)というのが人生至福の境地なのだ」 -“慕情きつねうどん”- 

という一文が象徴するように、どの物語にも、全然高級ではないけれど、奥深い魅力のあるご馳走たちが登場して、空腹時には絶対に読んではいけない本です。
おでんって、うどんって、お好み焼きって、こんなにも美味しそうで魅力のある食べものだったのか…と、頁をめくる都度、再発見させられました。(そしてすぐにでも食べに行きたくなりました・笑)

おせいさんの小説の何が好きと言って、どの小説にも、ハッとさせられる、読む側の心のツボに鍼を打ち込むようなアフォリズムを見つけられること。

そして何より、歳を重ねていくことって悪くない…と、心の底から思えることです。


そういうオトナたちを指す言葉は、「おじさん、おばさん」よりも、やっぱり関西弁の「おっっちゃん、おばちゃん」が似合うみたい。
若さの持つキラキラ感とは別の種類の輝きが、確かにそこにはあるのです。

解説の小川糸さん(食堂かたつむりの著者)も書いておられましたが、読後は心を満腹にして「ご馳走さま!」と言いたくなる一冊。男女を問わず、お奨めです。





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最終更新日  2010.05.18 21:49:52
コメント(8) | コメントを書く


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下手に手を出すと  
嫌好法師  さん
ほんとうに素敵な表紙ですね。
仰るとおり本棚で背表紙しか見えないのは勿体ないかぎり。

おせいさんもハマりそうで怖い作家の一人です。だからまだ敬遠しております。でも、絶版だったのを復刊してくれてるというのは嬉しいです。どうしても読みたいのが二、三編あるのです。 (2010.05.19 01:02:34)

お料理本をご存知ですか?  
子どもの頃からおせいさんのファンで、母が買っていた小説やエッセイを手当たり次第に読んできました。ストーリーもさることながら、食べ物の描写がなんとも美味しそうなんですよね。
おせいさんの書かれたお料理本がありますが、ご存知ですか?1990年に講談社から出たもので、『田辺聖子の味三昧』というタイトルです。『春情 蛸の足』からは、すきやきやお好み焼きが取り上げられ、おせいさん本人のレシピと調理風景の写真が出ていますよ。 (2010.05.19 20:58:10)

Re:下手に手を出すと(05/18)  
サリィ斉藤  さん
嫌好法師さん

>おせいさんもハマりそうで怖い作家の一人です。だからまだ敬遠しております。でも、絶版だったのを復刊してくれてるというのは嬉しいです。どうしても読みたいのが二、三編あるのです。

やるせないため息ばかりつきたくなるご時勢に、世代を超えて「おせいさん再発見」のムーヴメントが(1Q84ほどのインパクトはなくても)起きたというのはとてもわかる気がするのです。私としては、嫌好法師さんにも「一刻も早くハマっていただきたい!」というのが本音です(笑)
「春情蛸の足」の表紙になった元の手ぬぐい、「I LOVE STAR」という名がついているそうですよ。 (2010.05.19 21:13:28)

Re:お料理本をご存知ですか?(05/18)  
サリィ斉藤  さん
935うさちゃんさん

>ストーリーもさることながら、食べ物の描写がなんとも美味しそうなんですよね。

そうなんですよね。豊富な語彙が生み出す表現力は素晴らしいと思うのですが、こと食べものに関しては唸らされてばかりです。
お料理本、教えていただいてありがとうございました!ぜひぜひチェックしてみたいと思います。そういえばドラマ「芋たこなんきん」にも、レシピ紹介のミニコーナーがあったんですよね。 (2010.05.19 21:15:51)

素敵!  
miyuki  さん
サリィさん、こんにちは。葉山のmiyukiです。
本大好き。本が無い人生なんて!の私です。

それにしても講談社すごい!(笑)こんな素敵な装丁だったんですか。まさにブックカバー入らず。今度本屋さんで手に取ってみます。 (2010.05.20 13:16:42)

Re:素敵!(05/18)  
サリィ斉藤  さん
miyuki さん
>サリィさん、こんにちは。葉山のmiyukiです。
>本大好き。本が無い人生なんて!の私です。

私も、本といつも一緒の生活を送ってきました。電子書籍しか読めない時代が来る前に寿命を終えたいです(笑)

>それにしても講談社すごい!(笑)こんな素敵な装丁だったんですか。まさにブックカバー入らず。

確かに、カバーをかけるのがもったいない愛らしさです。今回の復刊には、担当者の「田辺聖子愛」をひしひしと感じますね。ぜひお手にとってチェックしてみてくださいませ! (2010.05.20 19:20:08)

田辺聖子さんLOVE♪  
kao さん
わたしも田辺さんにはお世話になっています(笑)。
まずは源氏物語を身近に感じられたのは田辺訳のおかげだし、
乃里子三部作では、「あんなふうにカッコイイ女になりたい!」と大人になることが素敵に思えました。
残花亭日暦では「看取り」について考えさせられ、覚悟というものを胸に刻んでもらいました。
そうそう!田辺さんの本にはおいしいものがいーっぱい!
大人になるってしんどいかも知れないけど、こんなに楽しいよって教えていただいているようで
また明日もがんばろーって思えますよね。 (2010.05.23 11:18:59)

Re:田辺聖子さんLOVE♪(05/18)  
サリィ斉藤  さん
kaoさん

>大人になるってしんどいかも知れないけど、こんなに楽しいよって教えていただいているようで
>また明日もがんばろーって思えますよね。

まさにまさに、その通りですね。
「残花亭日暦」は、私も身内の看取りに直面している最中に出会った一冊で、ドラマ「芋たこなんきん」のシーンともあいまって、読み返す度に涙ボロボロになってしまう本です。
田辺作品に出てくる、芯が一本通った、腹の据わった女の人が私も大好きなんですが、田辺さんご本人がまさにそういう方なんですね。 (2010.05.25 22:27:50)

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