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カテゴリ: 本の話
少し前から就いた仕事で、数年ぶりの電車通勤をしています。
20分ほどの時間ですが、ラッシュの時間帯から外れていて座れるので、読書の時間が確保できた、と喜んでいます。

…とはいえ、読みごたえのあるものにどっぷり浸るには中途半端な時間なので、区切りのつけやすい、短い随筆や日記の類を選んでバッグに入れるようになりました。

池波正太郎の銀座日記改版

1983年から、亡くなる2ケ月前の1990年まで、雑誌に連載された作家の日記をまとめたもの。
グルメで知られた作家だけあって、食事の記録を見ているだけで、お腹が鳴りそう(笑)

…ただ最後の方で、食欲や気力が衰えていく様子は、その後に死が待っていたのだと知りながら読むと切ないものがありますが…中村吉右衛門主演でドラマ化した「鬼平犯科帳」は、最初の年の放送を最終回までご覧になって、満足気な感想が書かれていました。

この日記、私がちょうど、中学生から大学生になった時期にかぶっていて、何より懐かしかったのが、頻繁に登場する封切映画のタイトルです。

あの渋い作風からは想像できないような、ハリウッド・アクションムービーがお気に入りの様子なのが意外でした(「エイリアン2」とか「ダイ・ハード」とか激賞しておられます)。

当時の私、お小遣いで映画館通いを覚えて、ぴあで話題作をチェックしてはミニシアターに足を運んでいたものでした。今や、東京ではそんな思い出の映画館が次々と閉まっているそうですが…

「眺めのいい部屋」「ダウン・バイ・ロー」「バベットの晩餐会」「真夏の夜のジャズ」…書き出したらキリがない、柔らかかった私の心に強烈に響いた名作たち。映画のタイトルが出てくる度に、あの頃の街の風景が鮮やかに思い起こされて、懐かしく楽しい読書でした。
今度銀座に行ったら、久しぶりに煉瓦亭のメンチカツを食べたいなぁ…



◇幸田文  雀の手帖

こちらは見開き2ページ分にまとめられた短い随筆。新聞紙上に、1月末から5月の初めまでの100日間連載されたものが1冊にまとまっています。

せっかちな自分の気性を「万事にとぱすぱしている」とか、丁寧でない暮らしぶりを「ごろっちゃら乱雑に住んできた」とか、独特な下町っ子の言葉づかいで、相変わらず鋭い観察眼を発揮していて、目からウロコが落ちます。

人生の後半戦に入ってから、物書きを生業にした作者。
生まれ持った感性で、目ざとく様々なことをアンテナにキャッチしてしまう自分の心を、どう正確に文章で伝えるか。
天分にも恵まれていたとは思いますが、ご本人も地道な努力を怠らなかったのだなぁ…と感じました。




電車の中で、本や雑誌より携帯を手にする人の割合が圧倒的に多い時代ですが、「通勤読書」もなかなか良いものですね。





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最終更新日  2011.01.20 19:54:18
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相互リンク  
くーる31  さん
突然のコメント、失礼いたします。
私はこちら⇒ http://blju.net/
で無料オンラインゲームサイトをやっているfarrといいます。
色々なサイトをみて勉強させていただいています。
もしよろしかったら相互リンクをお願いできないでしょうか?
「やってもいいよ」という方はメールを送ってくだされば、
私もリンクさせていただきます。
よろしくお願いします^^ (2011.01.20 20:10:27)

車中読書  
まろ0301  さん
 昨年三月まで片道一時間のところに通勤していました。幸い、行きは40分、帰りはまるまる一時間座れましたので、とにかく読みました。
 乗り過ごしたこともありましたが、楽しい日々でした。今は帰りの20分ほど、週三日通勤となりましたが、それでも、サンデル教授の本を読むことができました。
 池波さん、「鬼平犯科帳」は、現在再放送を録画しながら楽しんでいます。
 「ダウン・バイ・ロー」「バベットの晩餐会」「真夏の夜のジャズ」、懐かしいです。特にマヘリアジャクソンの「主の祈り」、言葉が出なくなりました。 (2011.01.20 20:34:41)

参考にしています!  
miyuki さん
サリィさん、こんにちは。
お仕事変わられたんですね。色々な意味で新鮮な毎日のことと思います。
私も本が大好き!多かれ少なかれ毎日必ず読んでいるので本が無い生活は考えられないのですが、図書館に行ってもついつい同じ作家さんを選んでしまったりするんですよね。なので、サリィさんの記事は参考になります。今度読んでみようかなぁと。。。
銀座の煉瓦亭・・・懐かしい!とーい昔、会社の仲間たちと大勢で行きました。久しぶりに食べたくなってしまった~。 (2011.01.20 22:01:15)

Re:車中読書(01/20)  
サリィ斉藤  さん
まろ0301さん

> 昨年三月まで片道一時間のところに通勤していました。幸い、行きは40分、帰りはまるまる一時間座れましたので、とにかく読みました。

席さえ確保できれば、電車の中は読書の空間として最適ですよね。没頭してしまうと、確かに乗り過ごす危険はありますが…

> 「ダウン・バイ・ロー」「バベットの晩餐会」「真夏の夜のジャズ」、懐かしいです。特にマヘリアジャクソンの「主の祈り」、言葉が出なくなりました。

賑やかに熱狂していたジャズフェスティバルのしめくくりが、感動的な「主の祈り」なんですよね。あの時代ですでにリバイバル上映でしたが、カメラワークも編集も古びないセンスのある映画でした。 (2011.01.23 09:59:54)

Re:参考にしています!(01/20)  
サリィ斉藤  さん
miyukiさん

読書の幅を広げるきっかけ、私もテレビや新聞のブックレビューのほかに、色々なブログを参考にしています。つたない感想文がお役に立てているなら、うれしいです。
最近、いつも行っている図書館が指定管理者制度を適用して、民間会社が携わるようになり飛躍的に運営の質が向上したんですよ。税金の払い甲斐があります(笑)

>銀座の煉瓦亭・・・懐かしい!とーい昔、会社の仲間たちと大勢で行きました。久しぶりに食べたくなってしまった~。

独特なオムライスにロースカツ、大勢で行ってお皿を取っかえひっかえ、っていう楽しみ方もいいですよね!映画見て美味しいもの食べて街をブラブラ、という余暇の過ごし方は最高だと思います。 (2011.01.23 10:09:07)

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