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春に 谷川俊太郎
この気もちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気もちはなんだろう
枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気もちはなんだろう
あの空のあの青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたヘと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気もちはなんだろう
3年生の授業が始まった。思春期の若者が感じる様々な心の葛藤を表現した詩からスタートである。
「いらだちだ しかもやすらぎがある」「あしたとあさってが一度にくるといい」が「よく分からない」という感想があった。そうね、「よく分からない」というのものも立派な感想ですね。これから考えていこう。
しかし、この詩を読んで「何も感じません」という感想を言う生徒が複数いる。「本当かぁ?」と思うが、本当なんだと思う。
これからの授業で、「春に」をどう料理していくか。楽しみである。