さしの部屋

ロードス島の１日

今日は素敵な１日について書いてみます。
うちの母は、毎年夏にミラノにやってきて、そして
一緒に旅行に行くのが恒例です。
自分ひとりの旅行の時は、やはり、貧乏旅行してしまうんだけど
母との時は、母の希望に合わせて、まあまあのホテルに泊まったりするので
私も毎回とっても楽しみ。

数年前、私たちはギリシャに行ってきました。
ギリシャにはそれからもう数年前に友人と
一週間ほどの旅行をしたことがあったのですが、それじゃあ、全然足りない。
だから、母に、さんざん吹き込んで、素敵だよ～、絶対行かなきゃって。

１０日ほどの旅行の最後の滞在はロードス島。
ギリシャの東の東。トルコももうすぐそこです。

実は、母の希望で、その数日前に、１日クルーズをしたのですが
これがひどい。日本人は日本人で集められ、
船での食事も完全なるツアー食。
そこでたまった鬱憤を晴らそうと、今日は、
ロードスタウンから、リンドスへと向かいます。

リンドスはロードス島の中にあるんですが、
陸路よりはきっと船のほうが面白いし簡単って、
私が主張して、朝、港へと向かう。

そして、超適当に、そこいらの船に乗り込む。
リンドスに日帰りで行ってくるような船はいくつも出ているのです。

船は出発。周りにはいろんな国の観光客がご機嫌に、くつろいでいます。
ちなみに船の規模としてはお客さんが５、６０人って感じでしょうか。
初めはとにかく、場に慣れないのと、海のあまりの美しさに
ぼーっと座っていたのですが、少ししたら、
ギリシャ名物のアニスの味のリキュールが豪快に振舞われ始める。
その頃には、みんなご機嫌。小さい船の中をみんな散歩とかしはじめるんです。

ふと気付くと、母が居ない。まあ、居ないといっても、小さい船の中、
迷子も何もないだろうと、私はぼんやり海を眺める。
２０分くらいした頃でしょうか。母が戻ってきて、
「さっき蛇行してたでしょ。」
「？」
うちの母は、日本語しか分からない典型的なおばさんなんですが
コミュニケーション力はすごい、、のは、知っていたのですが、
私の知らない間に、船長さんとお友達になり、全く、、
運転室に誘われ、挙句の果てには運転して戻ってきたのであります。
みんなが私の事、キャプテン○○子と呼んでいた｡｡｡って。

さてと、リンドスに到着。リンドスの丘の上にある、アクロポリスが
私たちの目的地。結構、高い所にあるんです。
ロバに乗ってその坂道をあがる事ができるって言うのは
知っていたのですが、やはり、観光船がついたばかり。
お金の交渉とかどうするのぉ、なんて迷いを見せた瞬間に
ロバはまわりの人にどんどん奪われ、居なくなっちゃった。

言っても、そこまで高い場所でもないし、
じゃあ、歩いて登ろうかって、歩き出したとたん。。
母の叫び声と共に、ロバの上からおじさんがカモンカモンしてる。
喋れないくせに、ロバのおじさん引き止めるのは早いんだから。

とまあ、そんな訳で、ロバの背中に乗って、
上まであがったわけです。
結構、乗り心地悪いんですよ。歩いた方が良いんじゃない？って
思ったりもしたけど、母は、高い所に登って歩くのは
大嫌い、いつも説得するの大変なくらいだから、ご機嫌極まりない。

遺跡自体は。。。語りません。ギリシャには、はずれがない。
乾燥した石と砂が、ダイナミックな神殿後をもっと自然に近いものに
転化して、、、それから、中世にイタリア人によって修復の手が
加えられた後も確認する事が出来ました。
そして、彼方には、青すぎる海が広がる。

下りは、徒歩にしました。案外遠くないって分かれば、
母も歩いてくれるんです。

忘れてはいけない。リンドスは素敵なビーチでも有名な場所。
早速、ビーチベッドをレンタルして、ほんの数時間の
リラックス。私たちったら、何にもない海でゆっくりするって
慣れていないから、しかも、気が弱いから、
順番にちょこっとだけ海につかって来て、
あとは、お互いに日焼け止めかなんか塗って、ドリンクかなんか飲んで。
こんな調子じゃあ、海しかないリゾートなんて行っても、
楽しめないなぁ、、、なんてね。

さてと、帰りの時間。キャプテン○○子と私は船へと戻ります。
帰りはやっぱり、少し慣れがあるから、もう、すっかりくつろいでしまって。
船の前側のところで、柵の下に、足を下ろして、
風に向かいます。お母さんにも、ほらぁ、サンダルぬいで、
足下ろしてごらんって、皆さん、どれだけ気持ちが良いか
想像してみて下さい。前には青い海しか見えない。
足の先には、海のしずくがかかって来るほど。

行きにはリキュールのサービスがあったけど、
帰りは、ザクザク切ったスイカ。そう、私、フルーツ嫌いなんだけど、
ギリシャのスイカって本当に自然な味がして美味しいの。

突然、船が停まります。そして、湾の所で、
みんな、船から飛び降りるの。透明極める真っ青な海に、
若い乗客が順番にダイブしてはしごで登って船に戻る。
私もねぇ、やりたかったけど、残念ながら、アトピーが出ちゃってって
もう、海水は厳しいかなって感じだったので、上から大騒ぎ。
みんなが船の片方に寄って大騒ぎしてて、船、傾いちゃわないかなって位の
大騒ぎでした。

船を下りるとき、すっかりお友達になった船長さんと
記念撮影したのは言うまでもありません。
もう、行かないと思うけど、でも、もし何かきっかけがあって
ロードスに行ったら、また、この船に乗るからね。

教訓です。日本から予約できるようなクルーズに乗るくらいなら、
こういう、地元な感じのお船に乗るほうがずっと楽しめます。
払ったお金なんて、バカみたいな額。

疲れきった私たちも、夜はお腹がすきます。
ロードスタウンの港の近くで夕飯を食べることに決めました。
ギリシャは写真でお料理を紹介しているお店が多く、
母が絶対これ頼もうって騒ぐ一品が。って、つまりは、海鮮の盛り合わせ。
これでもかって乗っかってるお皿をやっとの事で
平らげて、その頃にはやはり海沿い。
夜風が強くなってきて、寒さを感じ始めました。
寒いから、お会計頼んでもう帰ろうって、
それなのに｡｡｡やっぱり母って、地元の人に訴える力があるんだわ。
会計の後に食後酒としてオマケで先程のリキュールが
運ばれてきました。

食べ物は残しても酒は残すな、の家訓があるほどの私たち。
寒さで震えようが、意地でも飲み干す。
さてと、って、帰ろうとすると、何のことやら、
飲みっぷりのよさを、さんざん誉められ、
もう一杯入れてくれちゃいました。
もちろん、そのもう一杯も、震えながら飲み干したのは言うまでもありません。

ロードスからミラノへの帰り、飛行機が遅れて、乗り換え地の
アテネでもう一泊する羽目になった大騒ぎは、今回は書くの
やめときます。
だって、ご機嫌なまま、この一日が終わったのは、
濁しちゃったらもったいないもの。

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