さしの部屋

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サンティアゴ、最後の目的地


紹介していますが、今から4年前、聖年の前の年、
私は巡礼道を沿って長い旅行をしたのでありました。

巡礼道とはどういうものなのかというと、
キリスト教3大巡礼地スペインはサンティアゴ・ディ・コンポステッラ
(他の2つは、ローマ、エルサレム)までの道で、幾つかの説があるけれど
4つくらいが主な巡礼道とされ、特に、現在のフランスとスペインの
国境のピレネー山脈沿いをメインに、中世に巡礼者の訪問を目的として、
また、少々アクセスの悪い所なんかにも、修道院を建てたりして、
ロマネスク建築が栄えたのが1000年を迎えた頃。

つまり、その時代にはもうすぐ世界が滅びてしまうんじゃないかって
不安の中で、1000年という、聖年を迎えたものだから、
その喜びで一気に教会堂が建て直されたりして、
それで、私の好きなロマネスク建築が花を開くわけです。

前置きが長くなりましたが、
その旅行をした頃の私は、まだパソコンを持っていなかったし、
日本語の本なんて言うものも、日本から自分が持ってきたものくらいしか
ないわけで、しかも、当時は建築に興味を持ち始めた最初の頃。
自分自身でも何にも知らない。とにもかくにも、
掻い摘み読みしかしていないイタリア語の中世建築の本の
記述と、慌てて買った情報量の非常に少ないイタリア語のガイドブックを
引き下げ、旅行に挑んだのでした。

旅の長い紆余曲折は置いておいて、
今回の一日は、最終目的地、サンティアゴ・ディ・コンポステッラ。
ヨーロッパの西の西、ポルトガルの上に当る所です。

いつもの旅行のパターンとしては、前日にホテルをおさえ、
午前中に移動、という感じでした。この町のホテルも、
前日電話してとっておいたのです、、が、
ガイドにはちゃんと記述がなかったけど、これって、
宗教施設。部屋はこじんまりしていて、なかなか悪くなかったのですが
いちいちシスターがなんか言ってくる。
私が出かけようとすると、夜は何時に帰るのか?
門限があるのですか?何時に帰ればいいの?と私が聞き返すと、
いや、何時に帰るつもりだ?わかんないよ、そんな事。
どうにも頭が固い人で、問答の末、夕飯後には帰るから、
遅くても~時って言ったら、あっけなく納得してくれた。
英語も分からないから、無理矢理のスペイン語での会話、
かなりつらいです。

さあ、長い旅行の最終目的地、サンティアゴのバジリカに向かう。
周辺には本当に長い道のりを歩いてこの街に来た巡礼者がいっぱい。
って、バジリカに到着すると、とんでもない行列が。。。
しかも2本あるし、意味が分からないので、
強引なスペイン語でその辺のおばさんに尋ねる。
「私、中には入れればいいだけなんだけど、この行列並ばなきゃいけないの?」
おお、やっぱり、より長いほうの行列は、みんなが触りながら礼拝する
柱(事実、みんなに触ってお祈りされるからすっかり彫刻が磨り減っていた)
の為のもので、私みたいな人は関係ないものだった。
ああ、聞いておいて良かった。

無事、堂内を見学、建築的なコメントはいいとして、、、
さてと、一番の目的は、はたしたから、数日後ミラノに帰る為の
(予定ではバルセロナ経由で)電車の予約の為、
旅行代理店へ飛び込んでみました。実は、サンティアゴの
駅に着いたときも、チケット予約のカウンターに行ったのですが
電車はもういっぱいで取れないから、バスで帰れば?って
言われていて、車に弱い私がそんな事、出来る訳もないから断ったんだけど
どうなる事やら。

うう、その旅行社でも、電車はないって言ってる。
じゃあ、分かった。安い飛行機はないの?
いろいろ調べてもらって、4日バルセロナに泊まりさえすれば
何とか飛行機は若者料金で取れるって。。。でもね、
バルセロナにつくのは夜。ミラノへ発つのは早朝。
しかもバルセロナのホテルがない。

分かった、とりあえず、エアーは抑えてもらって、
ホテルの方は、私が、個人的に電話してとってみる努力するから、
取れなかったら、また戻ってくるわ。って旅行社を出て
片っ端から電話するが、20件以上もかけたけど、どこも満室。
仕方なく、旅行社に戻ると、さっきは見つからなかったけど、
4つ星のホテルのキャンペーンで安くなっているのがあるという。

今までの旅行はいつも、1つか2つの星のホテルに泊まっていたし、
そんなの、、、高いんじゃ、、って思ったけれど、
でも、どこにも寝れないんじゃ仕方ないからって、とってもらっちゃった。
今考えてみれば、かなり豪華なホテルで7千円程度だったから
悪くはないし(とかいっても、最初の1日だけとって、後は
バルセロナで安ホテルとったんだけど。)

ああ、早くミラノに帰らないと、日本から友人がミラノに来て
泊めてあげる約束があるから、困るんだけど。。。

もう、でも、本来の予定を超えても、バルセロナにとどまる事は
避けようもないし、、仕方ない、サンティアゴ観光を続けるとするか。

ところで、さすが、巡礼道の最終地点。観光案内所みたいな感じで
巡礼センターが存在するんです。
よく分からないけど、私も行ってみました。何でも、
巡礼証明書を発行してくれるって。

今でこそわかりますが、巡礼証明書とは、一定の区間を
要所要所でハンコをもらいながら、歩いて巡礼旅行した人に
発行されるもの。でも、私はそんなこと知らなかったし、
巡礼したんだからって、、とりあえずオフィッスに行って
主張してみると、
君、歩いてないから駄目だよ、、でも、これこれこういう工程ふんだんだね、
だったら、正式な巡礼証明書は発行できないけど、
書類を出してあげよう。

というわけで、頂きました、準、巡礼証明書(仏教徒でごめんなさい)。

ところで、サンティアゴの町にいる巡礼者は
巡礼の聖人である、サン・ロッコの象徴持物、帆立の貝殻を
ペンダントのようにさげている。
そういう事に踊らされるタイプの私ではないけれど、
買っちゃいました、帆立。帆立、買いちゃいたくなるほどに、
長い旅行の終焉を喜んでしまっていたのですから。

旅行も最終地点に近づき、予定外のバルセロナ滞在が加わったとは言え、
まあ、終わりと言うか、目的地で、、、
夕飯に入ったレストランで、旅行工程の間、磨ききった私の素敵な
スペイン語でオーダーをすると、
君はスペイン語が上手だね、と言われました。
いいえ、私はイタリア語が分かるだけです。と、
いんちきスペイン語で答えると、たいそう面白かったみたいで、
素敵な対応してもらっちゃった。

後日談ですが、例の旅行社でとってもらった、バルセロナ-ミラノ間の
チケットは手書きで、全然ブッキングされていなかったけど、
相手はアリタリア、早朝だから仕方なくタクシーで空港に
行った事もあり、ここぞとばかりにイタリア語で主張したら
列の後ろのイタリア人も同調して私の見方をしてくれ、
お情けで乗せてもらえました(一人だったからなんとかなったのかも。)

とまあ、こんな感じで、本当は私がフランスやスペインで見た
素敵なロマネスク建築について語りたかったけど、
話の向きはすっかり、またもや苦労旅行話になってしまった。

今思えば、予定外に泊まったバルセロナもどれだけ素敵だったかは
ここにコーナーをもうけて書きたいくらいだし、
あの時のサンティアゴのなんともいえない雰囲気は
言葉で表現するのは難しい。

あ、そう言えば、あの硬いシスター、
数日後、出かけ際に、あなたは友達と出かけるの?って
私に聞いてきて、私が、いや、友達なんてここにはいませんって言ったら、
根掘り葉掘り色々聞いてきて、って、1人活動を信じられなかっただけ
みたいだけど、一日の活動の出だしに、30分ぐらいの足止めをくらったの、
思い出してしまいました。


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