色々大変だったのですね…。
トールさんがどれほどのエネルギーを使っていたのか私には想像もつきませんが、愛する人のためにそこまでできるトールさんが凄いです。

話はそれますが、そんな凄い人じゃないけどうちの彼氏さんはトールさんに雰囲気が似てます。
読むたびトールさんの台詞が彼氏さんのそれと重なるんですよね…。
まったくスピ系には興味ないし信じてない人ですけどw (2009年06月17日 11時05分39秒)

のんびり、やさしく。

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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年06月16日
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トールが神殿にこもってやっていることは、いわば安定剤や鎮静剤の役目を果たしている。
実際的に動けるエネルギーが少なすぎたという事実もあるが、少女は眼がさめても部屋の中でじっとしていることが多かった。

ベッドの上にぼーっと座っていたり、寝転がっていたり。
そもそもの総エネルギー量が低いところへもってきて、今はその半分もないのだから仕方がないし、実際部屋から出ないようにもしているのだが、いつもの彼女からみたらまったく精彩がない。
自分でしたことではありながら、どうしていいかわからない部分もトールにはあった。

そもそも彼女の自由をこんなにも長い間束縛していたことなどないのだ。
彼にとっては、少女の自由はまず第一に優先するべきものだったのだから。

トールは少女のベッドに座って、さまざまな話をしたり求めに応じて色々なものを出して見せたりと相手をしていた。
部屋の中をたくさんの花やぬいぐるみが惑星軌道をつくって飛び回る。
療養中の白い寝巻きを着た少女はひどく甘えん坊になっていて、トールが部屋を出ようとすると「いっちゃだめー」とその袖をつかまえたりした。

けれども段々エネルギーが回復して60%近くになると、やはり退屈になってきたらしい。
部屋の中を歩き回って、まだ破ろうとはしないものの結界を確かめたりし始めた。
しかしびくともしないことを知ると、やってきたトールに向かっていった。

「結界にとじこめたりしないって前に自分で言ったじゃん!!」

エメラルドの瞳がきらめく。その輝きが戻ってきたことに安心しつつも、冷静な声でトールは答えた。

「それとこれとは話は別だよ。あなたが元気なら束縛なんかしないが、今はそのへんの次元のポケットで行き倒れになられたら困るからだめ」

頑として動じない態度に、反抗は無駄と思ったのだろうか。少女はふくれてベッドに座りこみ、以前もらったミニハープをひっぱり出した。

「じゃあ、これ弾いて」

もちろん、とトールは笑った。
トールは以前、少女にハープの弾き方を教えたことがある。その後二人で合奏してみたりして、時は平和に過ぎていった。



きっかけは、少女のエネルギーが70%になったときに現れた。
夜更け、ルキアの部屋で悪夢を見て彼女は目覚めた。目覚めたところでなぜかと周囲を観察する。
普通の人間ならば気づかなかったかもしれない。けれども彼女は、そういった結界などの「仕掛け物」を見破って破壊することに関しては得意中の得意だった。
閾値ぎりぎりで流されているその波動を彼女はとらえ、それと同時に猛烈に腹を立てた。

(トール! なんだこれ。お前の作ってる結界の仕組みがわかったぞ。
ありがとう、もういいだろ? さもなきゃこのままじゃ共倒れになる。ちがうか)

まだ夜中であることも忘れてトールに心話を送る。
応答はすぐにあった。

(今あれを外せばあなたが持たない。オペがなくても総エネルギーが足りない状態だったのを忘れたかい? 何と言われようと、それだけは譲れない。
大丈夫、共倒れにもさせない。あなたは怒るだろうが、見切ってやっていることだから。
私としては、あなたが早く寝てくれたほうが効果が高いことを保障するよ。あまり夜更かしめさるな)

(見切って? 逃げないから大丈夫だよ)

(わかっているよ)

トールはまったく譲らない。
わかっている、って? それじゃあデセルが可哀そうじゃないか。少女の本体は寝る前、デセルが見たという異界の記録を読んだばかりだった。
そして彼女が見た悪夢も、それによく似ていた。ルキア全体の波動が下がっているのじゃないか? デセルはそれで悪夢を見たんじゃないのか?

なんでそこまでして、デセルに迷惑をかけてまであたしを留めておかなきゃならないんだ。

それを言うと、デセルが異界を見たのは過去の話で今じゃない、彼には影響を与えていないと返事がきた。

それでも納得できない。
怒りがふつふつと湧きあがる。
心話では埒があかないから、下の本体を起こしてむこうの本体にメールさせた。それにも邪魔が入る。だがむこうはむこうで喧嘩を始めたようだった。


やがて朝になりトールが部屋を訪れると、怒れる猛獣の姿がそこにあった。

「こんなとこ出てってやる!」

叫ぶなり衝撃波の攻撃を叩きつけてくる。とっさに左手でふせいで視線を走らせると、案の定彼女はポータルを作って脱出しようとしていた。

「ポータルはだめだ」

右手から魔法陣をはしらせ、出来たばかりのポータルを覆って無効化する。

「いやだっ!」

少女は噛み付くように叫んでもう一度攻撃をしかけた。ほとんど本気であり、ルキアの壁が衝撃に振動する。
銀髪の錬金術師が部屋内にそれを押さえようとする間に、むきになって同時にいくつもポータルを作り出した。いくつもの瑠璃の魔法陣がそれを追う。

「まだそんなに力を使っちゃいけない。倒れてしまう」

トールの声を少女は聞いていなかった。別に行きたいところがあるわけではなかったが、とにかく頭にきており、腹いせに出て行きたかった。
ドアのほうにはトールがいるから、窓を開けてポータルをつくり、飛び込んで逃げようとする。

そのとたん、透明なカプセルが彼女を包んだ。
カプセルはふわふわと浮いたまま移動し、ベッドの上に戻る。申し訳なさそうな、残念そうな表情をしたトールが彼女を見上げていた。

「ごめん。でもまだあなたにポータルは無理なんだ」

「なんだよこれ! 出せ! 出せったら!」

叫びながら、少女はどんどんと両手でカプセルの内壁を叩いた。
透明な壁は硬くてびくともしない。

トールはため息をついた。本体からも詰め寄られていたが、これ以上エネルギーを裂く余裕はない。喧嘩はこちらだけでじゅうぶんだ。
しかし本体もエネルギーの枯渇には気がついたらしい。自分の受信能力に問題があると思ったのか、そのうち何も言わなくなった。

少女は檻に入れられた猛獣よろしく騒いでいた。困った顔でそれを見ていたトールだったが、そっとカプセルに手をあて、何か言い置いて部屋を出ていく。
彼が何を言ったのか聞く気もなかったくせに、部屋を出て行かれるとますます腹が立つ彼女だった。

しばらくして彼女が落ち着くと、カプセルは氷が溶けるように消え、少女は解放された。だがムッとした気持ちはおさまらず、ベッドの上で拗ねながら、本体に顛末のメールを書かせる。

やがてトールの本体から返信がきた。
本体の目でそれを読んだ少女の背筋が凍った。

彼女が感知していたことは間違っていなかった。けれどそれをするために、トールが何をどうしていたのか、を初めて知ったのだった。

ひとりがルキアの神殿に行き、そこでもう一週間、寝もせず飲まず食わずでひたすら瞑想している。それもずっと光の滝で滝行をするような感じで、きつい精進潔斎をしていると。

結界の仕組みについて、おまえの精神力がもたなければ、ここにいる数人が共倒れになるだろう、と彼女はトールを責めていた。
もちろんそんなことは彼は知っていたのだ。少女の本体にも少なからず影響が出ることを承知の上で、だからこそ自らを苛むようなきつい潔斎をしているのだろうと、少女にも察しがついた。

(わかった。ごめんなさい)

ひどく反省して、本体からのメールでも彼女は謝った。するとすぐに、

(どういたしまして。今日は早く寝るんだよ)

とやさしいエネルギーの返事がくる。なんでひと言も怒らないんだよ、と少女は大きな目に涙をためて、歩いて森に行ってみた。
神殿とやらを探しにいこうと思ったのだ。
だけど場所はわからないし、どういう顔をして会ったらいいかもわからない。行っても彼の邪魔をしてしまうだけかもしれなかった。
結局彼女は神殿には行かず、森の木の根元に座ってしばらく泣いていた。

やわらかな月の光が、そんな少女をそっと照らしていた。

















*************

この【銀の月のものがたり】シリーズは、現在カテゴリを images から  銀の月のものがたり  へと移行中です。
移行期間中はご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ両方をごらん下さいませm(_ _)m

→→ 登場人物紹介(随時更新)

なんだか今日アップしとけー、って感じなので。
なぜかわからないけどアップしておきます 笑


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どれも大切に嬉しく拝見しております♪
続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪


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最終更新日  2009年06月16日 15時07分12秒
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ため息・・・  
トールさんの精神力の強さには脱帽です・・・
凄すぎです・・・ (2009年06月16日 16時47分41秒)

Re:【銀月物語 56】 喧嘩  
ゆえつん さん
自分ちの旦那様にトール先生のこの愛を求めてもだめでしょうか。
ダメっすよね…
トール先生すげぇっす。 (2009年06月17日 01時24分05秒)

大変だったのですね…  
ゆうあ さん

Re:【銀月物語 56】 喧嘩  
ともさん さん
いつもトールさんの献身には脱帽です…愛は強し☆
お二方とも、お疲れ様でした^^ (2009年06月17日 23時01分04秒)

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