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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年12月31日
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「あの……!」

暗めの栗毛の女の子が、ひどく切羽詰った顔をしている。
何だ? 何があったんだ? と彼は不思議に思った。服装からすると総務課だろうか、女の子は真っ赤になったまま、うつむき加減に口を開いた。

「あの…アルディアス様の部隊の方ですか? お…お聞きしたいことがあるんですが」
「はあ」
「アルディアス様って……普段何なさってるんですか」
「普段? ……知らねえなあ」

オーディンは濃いブルースピネルのような目を細め、指先であごを掻いた。彼女は何を聞きたいのだろう。

「ご趣味とか……」
「へ? 趣味? 仕事だろ?」
「いえ、その…今度何かご予定がありそうな雰囲気とか、ないですか」
「予定? 今度の作戦会議のことか?」

ますます混乱してオーディンは言った。
栗毛の女の子が、どうしたらいいものかと困り果てた様子をしている。しかし彼女の意図が見えず、どうしていいのかわからないのは、オーディンも一緒だった。

その夜彼は、ニールスの部屋で酒盃を傾けながらため息をついた。

「昼間、こんな変な女がいてよ。参ったぜ。今度准将の後方支援担当、変わったりするのか? あれこれ聞いて」

ニールスが明るい茶色の髪を振って、ああと顔をあげる。彼はオーディンよりも少し年下だったが、気が合ってよく二人で話していた。
元々後輩だったが、オーディンが昇進を渋っているため、階級に関しては今では彼のほうが上になっている。

「それ、准将狙いの子なんじゃないか? 今度ダンスパーティがあるだろう。春の予定が伸び伸びになって、もう秋になるけど」
「ああ、そうか、そんなのもあったな。お前よく気がつくな」
「当たり前だろ。准将みたいなルックスで、出世も華々しくて、しかも偉ぶらないときたら、独身の子たちが騒がないわけないよ」

春からアルディアスの副官として働いているニールスは、銀髪の上司を取り巻く女性たちの視線を思い出した。もっとも当の上司は、あれはきっと気づいてもいないのだろう。
女性に興味がないというわけでもないのだろうが、なんというか、やわらかな淡白というか。

もう以前になるが中佐昇進直後のパーティで一緒になったときは、わらわらと女の子に取り囲まれていた。
その後「可愛い子はいましたか?」と聞いたとき、「そうだねえ、色とりどりで賑やかで、キャンディの詰め合わせみたいだね」と笑っていたが……ほとんど気がないと言っているようなものだから、それを聞いたら女の子達はがっくりするだろうな、たぶん。
しかしそれは言わずに、ニールスはグラスを傾けた。

「で、准将はいらっしゃるのかな」
「知らねえよ、副官のお前が知らねえことを俺がわかるわけねえ。だがよっぽど気が向かなきゃ行かねえだろ、あんなところ」
「だよなあ」

ニールスはつまみのピーナツを口に放り込んでうなずいた。

だいたい、准将は今とても忙しそうだ。就任直後、新しく自分が預かることになった部隊の人員を確認しながら、ずいぶん引き抜かれたようだねと苦笑していた。

それまでの部隊長は年老いた少将だったが、他所からの応援要請を断ることができず、いつもあちこちに兵を貸していた。おかげでニールス達も引越しに付き合えなかったわけだが、他にもばらばらに動いている者も多かったのだ。

応援要請を出す側は、他の隊に優秀な人材がいれば引き抜きたいという下心を持って、来る人間を見定めようとしていることも多い。
部隊長からの招聘要請と当人の異動願いが重なればまず拒否はできないから、部下の人心をつなぎとめることができていなければ、部隊はどんどんと優秀な人材を引き抜かれてしまう。

新しいフェロウ隊は、将官の預かる部隊の人数としては軍内で一番少ないといってよかった。だからこそ新参の若い准将に任されたともいえるが、それをそのままにはしておけない。

人員の少なさを逆に武器とするべく、少数精鋭となるように訓練や演習に余念がなかった。アルディアスはそのすべてに顔を出し、的確な指示や模擬戦の相手をしている。
これはなるべく隊員の前に露出して顔見知りになり、これ以上の人材の流出を防ぐためでもあった。顔も戦いの腕も知らない上司では、より条件のいいほうに流れられても文句は言えないからだ。

同時にアルディアスは、秘密裏の捜査にも関わっている。先日のエル・フィンの件から自動的にそうなったのだが、会議や書類仕事もあって忙しいことこの上ない。

あれだけ働いているのだからプライベートも充実してほしいとは思うけれど、のんきにダンスパーティに出てる暇などないんじゃないかとニールスは思った。




リフィアは友人と一緒にショッピングモールを歩いていた。
いつものアンナとジェズが隣にいる。

春予定のダンスパーティが秋になってしまったから、何か小物でシーズンに合った感じにしようと思って、三人でパーティ用の品を扱う店に向かっていたのだった。

「リフィア、ここいいわよ」

そう薦められた店に入ろうとしたところ、やはり三人連れの後輩の子と入れ違いになった。互いに挨拶を交わしたものの、なんとなく様子が妙な感じだ。
立ち去りながら、振り返ってこちらをちらちらと見たりしている。

なんなのかしら、と思いながらストールを見ていると、自身もコサージュを物色しながらアンナが言った。

「接点無い後輩が抜け駆けしようとしたんですってぇ。部隊の人に質問したらしいわよ」

ああ、それでか。
リフィアは合点した。フェロウ准将のことだ。

軍部がギルドと関係をもちたいために、男性士官と総務の女性士官とを「くっつけようと」しているのは事実だが、だいたいパターンというものがある。

総務課で担当している青年士官達の中からだんだん親しくなる人が現れて、それでお付き合いが始まるか、パーティを利用して知り合うか、どちらかだ。
関わりがなくて、いきなり関係者に質問というのはかなり珍しい。

女性たちの中には一応暗黙のルールのようなものがあり、先を越されても横槍はNG、という空気がある。

だからリフィアがアルディアスとパートナーの約束を取りつけたときも、特に嫌味などを言われたおぼえもなかった。沈黙の中、音が出そうに凝視してくるような視線は感じたが。

「まあね、その聞いた部隊の人ってのが悪かったらしくて、口悪いしろくに話通じないしでさんざんだったらしいわ。名前はたしか、オーディンとか」

くっきりした赤いバラのコサージュを鏡であわせ、満足げに会計に向かいながらアンナが言う。すると、彼氏が軍以外なので買い物にはついてきただけのジェズが、急に形のいい柳眉を跳ね上げた。

「あの男、無礼よっ」
「そうなの? あ、ジェズその人の担当なのね」

リフィアもストールを求め、話は喫茶店でのティータイムに移る。

お茶とケーキを前にして、ジェズは不満げにさらさらした長い髪をかきあげた。
彼女はぶっきらぼうな物言いする人が好きではないらしく、しょっちゅうぶつくさ言っているのだ。逆に朴訥な感じの人にはとても丁寧なのだが。
それを知っているから、二人は笑って話を聞いていた。

アンナは男性受けのいい艶のある美人で、彼女から男性への文句はあまり聞いたことがない。今度のダンスパーティも誰かに申し込みされたとかで、その相手と出ることになっていた。

「ねえ、リフィアはなんで急に約束取りつけたの? あんまり参加する気なさそうだったじゃない」

自身の相手の話をひとしきりした後、アンナが振り向いた。
リフィアはしばしカップの湯気を見つめた。

「そうね。急に心に、言ってみようかな、と浮かんだのもそうなんだけど。踊ってみたいなと思って。……なんでって聞かれてもよく分かんない」

自分でもよくわからない、不思議な気持ちを追いながら答える。
だが、二人はそこまで深くは考えなかったらしい。

「素敵ですもんねえ」
「わかりやすく~ハンサムよね~」
「そうじゃなくて、いえ、そうなんだけどあの……」
「うん、気持ちはわかるわ~」

もはやリフィアの話を聞いてもいない。
そういう結論に落とすならわざわざ聞かなくてもいいのにと、わずかに頬をふくらませながらリフィアは紅茶をごくりと飲みくだした。




















【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次



今年最後の更新ですw
ぷろぢゅーさー様のご意向により、付き合うまでいきませんでした^^;

でもここのところまとめて更新してますので、お正月の暇なときがありましたら
上の目次からごゆっくりと楽しんでいただけましたら幸いです。
ご感想も心よりお待ちしております♪

そして新年一発目はお待ちかねダンスパーチーのお話ですから、皆様お楽しみにwww



しばらくメールのお返事など滞りますが、お許しくださいませ。


本年中は色々とどうもありがとうございました。
おかげさまで色々と怒涛でしたが、実りも多い一年でした 笑

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


それでは皆様よいお年を



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1/5 地のエレメントの浄化ヒーリング






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最終更新日  2009年12月31日 03時06分21秒
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