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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2010年03月10日
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部屋はドアの横が壁一面の棚になっており、おもちゃや文房具がきれいに整頓されて並べられていた。

向こう側の壁はゆるやかに弧を描き、森に向かって窓がいくつか切られて、やわらかな緑が目を和ませてくれる。
全体に、子供のプレイスペースのような雰囲気だった。

セシルは入って左側にあるL字型のソファに二人を誘い、ひととおりの説明をしていった。手に持ったリモコンを操作すると、段階を経て部屋の明かりが落とされてゆく。

「室内照明のバリエーションも豊富に用意してありましてね。何パターンもあるのは、お子さんを緩やかに催眠導入させるためなんですよ。そこでまず力の制御から学んでいくんです」

そう言った後、はたと顔を見合わせてセシルは頭をかいた。

「……すみません、ミス・ルーテウス、アルディアス様。ついいつもの癖で、お子さんを預ける親御さんに説明する調子になってしまいました」
「かまわないよ。ご夫婦で来る方も多いからね」


リフィアは笑って言った。

「でも私、制御するような力が元々ないんですわ。お役に立てるかどうか……」
「大丈夫、特定の誰かや何かとリンクしたときだけ発現するサイキックというのも、けっこうあるものなんです。よろしければ、まず測ってみたいのですが」

リフィアは促されるまま、円筒形のガラスの中に入った。人が手を広げても触れないくらいの大きさだろうか。外から見たのに比べて、入ってみるとけっこう広くて思ったよりも圧迫感が少ない。

ガラスは外部刺激の遮断も兼ねているらしく、上部のスピーカーからセシルの声が聞こえた。
筒の外で振っている手に、小さなぬいぐるみを持っている。

「ミス・ルーテウス。それでは、このぬいぐるみを『動かす』『透視する』『サイズを測る』……なんでもいいです、できそうなことをやってみてください」

そういって小さなテーブルにぬいぐるみを置き、距離をとる。
リフィアはペリドットの瞳でぬいぐるみを見つめた。できそうなことって?

動かすとか透視するとかセシルは言ったけれども、そもそも何かができるような気がしない。アルディアスが時々荷物をふっと消しているのを思い出したけれど、いったいどうやっているのかなんて見当もつかなかった。

「……はい、いいですよ。お疲れ様です」


一度筒から出て、彼の指す端末の画面を見にゆく。画面に出ているラインはまったくもって単調で、一般レベルの能力であることを示していた。

「サイキックが発現した場合はどうなるかと言うと……いや、私よりアルディアス様の方が適任ですね。よろしいですか?」

いいとも、とアルディアスがうなずくなり、彼らの視界で棚からいくつものおもちゃが飛び出し、空中で先程のぬいぐるみを恒星にして惑星や衛星軌道を回りはじめた。

思わずぽかんと眺めた後に慌てて端末画面に目をやると、賑やかな虹色のラインが踊っている。

「だいたいこんなようなものだよ」



次に、二人一緒に筒に入ってみることになった。
リフィアの後ろに立ったアルディアスが、両肩に手を置いて誘導してゆく。
まずは力の感覚に慣れる練習からということだった。

「いいかいリン……いくよ」

アルディアスの言葉にあわせて、彼の力がリフィアに流れこんでくる。
無意識に手を伸ばしたガラス面の向こうで、ぬいぐるみがふわりと浮きあがった。

「アルディ。身体の中に何か流れて……いえ、手が、むこうにあるような?」
「大丈夫。その感覚を憶えて」

びっくりして振り返ると、アルディアスが微笑んでいる。
手に触る感触と同時に、頬にぬいぐるみの被毛が触れる触感、中の詰め物……綿の匂いのような、そういうことがすべて同時にわかる。
空間を隔て、さらに強化ガラスの筒で遮断されているのに。
これがいわゆる六番目の感覚というものなのだろうか?

「触感だけ、嗅覚だけ、という人もいるけれどね。私の場合は、リンが今感じているようなことだよ」

リフィアの心の響きを感じ取ったアルディアスの声が聞こえる。心話を使わないのは、彼女の負担をなるべく減らしておくためだろう。

「さてリフィアン、あのぬいぐるみをどうしたい? なにか好きなようにイメージしてごらん」
「どうって……」

おじぎしたら可愛いかしら? そうリフィアが脳裏に想像した途端に、くまのぬいぐるみは被っていたシルクハットを脱いでぴょこんとおじぎした。

「あ」

考えるより早くぬいぐるみが動いたから、リフィアは驚いた。おじぎの後起き上がることを想像するとその通りになる。
目をしばたたくリフィアの背後から、アルディアスの声がした。

「手を使ってぬいぐるみにおじぎをさせる時ね。右手の人差し指と親指で胴体を支えて、左手で頭を下げさせて……とか、いちいち考えないだろう? それと同じなんだよ」
「ふうん……」

わかったようなわからぬような。しかしなんとなくその感覚はつかめてきた気がする。
次は踊らせてみようかしらと思っていると、アルディアスが何かに気づいたようにリフィアの周囲に目を動かした。

「リフィアン。オーラが揺らいでいるよ。……気分は悪くない? 無理しなくていいんだよ」
「え? ええ、大丈夫よ。なんともないわ」

リフィアは自分の状態を観察してみた。高揚状態で、気分は悪くない。
今ならあのぬいぐるみを踊らせることができる気がする。

彼女の思い描いたとおりに、ぬいぐるみが手足を動かして素朴な動きをする。
しかりくるりと回ったところで、リフィアの視界も傾いだ。

ぬいぐるみが操る糸を失ったように机の上に倒れる。
同時にぐらりとよろめいた細い身体を、大きな腕が抱きとめた。


冷たい水をもらい、長椅子でしばらく休んでリフィアが落ち着いた後、セシルはファイルを見せながら説明をはじめた。

最初のページには直立した人体と、その中心を縦に貫く金色のライン、そしてそのラインの上に、虹のように色分けされた円がいくつか描いてある。

「人間の身体には、いくつものエネルギーラインが通っています。その中でも一番太くて重要なのが、この中央管と呼ばれるものですね。ラインには要所要所にジャンクションのようなポイントがあり、重要なものはだいたい七つあると言われています」

胸ポケットに入れていたペンの先で絵のラインをなぞりながら、セシルは続ける。

「サイキックを使ったりヒーリングをしたり場合には、この中央管に大きなエネルギーが流れることになります。そうですね、水道管をイメージしていただくといいかと思います。パイプが詰まっていたり、流そうとする水量に対して狭かったりすると、どうなると思いますか?」
「あふれる……?」
「そうです。端的に言うと気分が悪くなったりしますが、それが今、ミス・ルーテウスが体験なさったことですね」

人間は生きているから、このパイプには常にエネルギーが流れている。日々使っているものであり、ある程度の詰まりがあるのは当たり前と言ってもいいことで、気にする必要はないと彼は言った。

「そうなんですの?」
「ええ、誰だってそうですから」

倒れてしまったことで申し訳なさそうにしているリフィアに、セシルは微笑んでみせた。

「大祭では大きなエネルギーを流すことになると伺っております。そうすると、わかりやすく申し上げて、パイプの掃除をしてさらに太くすればいい、ということになりますね。
このパイプは、エネルギーを流すことによって掃除されますし、まただんだん太くもなっていきます。今度は川の水量が増えて川幅が増してゆく感じ…といえばわかりやすいでしょうか。つかぬことを伺いますが、お二人はいつからお付き合いを?」

突然の問いに目をぱちくりさせながら、去年から、とリフィアは答えた。
セシルがうなずく。

「エネルギーというのは、水と同じで高いところから低いところに流れる性質があります。
さらにアルディアス様はヒーラー体質ですから、そばにいれば自然に流れる量は多いでしょう」

ましてツインであれば、共振してエネルギーが同期することも多い。
ミス・ルーテウスのエネルギーラインは、この一年のうちにかなり流量が多くなっているはずです、と彼は言った。






















【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次



じつに10日ぶりの更新になってしまいました^^;

すでに書きあがっている回も多いのですが、この回は昨日書きあがりました。
書き始めから一ヶ月もかかって 爆
遅かったのはそのせいもあるのですけれど、でもなぜか、現実の色々ともリンクしていたりして。
今でないと書けなかったのかもしれないな~なんて思ってみたり。
毎回思うけど、プロデューサー様すごすぎます~。


☆ヒーリングのご感想をメールでくださる皆様、ありがとうございます。
すべて大切に拝見しておりますが、コメントに書いてくださる方への義理が欠けてしまいますため
お返事をご遠慮させていただいております。
申し訳ございませんがお許しくださいませ。

☆また、最近メールが多いので、お返事の必要なもので1週間たってもまだ返事ないよ!という場合はタイトルに再送の旨書いていただいて送っていただけると助かります。。。
(特にmixiはすぐ埋もれてしまいますので)
なるべくお返事しているつもりなのですが、ちょっと自信がなくなってきました orz
お手数で恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。


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最終更新日  2010年03月10日 15時59分09秒
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