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サイド自由欄

nmcard_128128.gif
トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2010年07月06日
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先日の人間恐怖症発症時に出てきていたものです。

苦手な方はスルーしてください。




******





幼いグラディウス。7~8歳くらい。数人の男に押さえつけられて虐待を受けている。
銀髪に紅い瞳が観賞用によろしいとか、そんな理由らしい。

それから時々狙われる。がまだ屈強な男達に敵うわけもなく、逃げても施設の中で追い詰められた兎。
制御チップの効果とあいまって、恐怖と痛みがしだいに麻痺してくる。

そのうち、その中のリーダーみたいな男に気に入られ、彼に”飼われる”ことになる。

部下達の餌にされたり。

貝のように心を閉じて、時を待つ感覚すら薄くなってくる。




大きな手に口をふさがれ、コンクリートの床にうつ伏せに押さえつけられる。
男の体臭と煙草の匂いに息がつまった。
苦しくて痛くて涙がぽろぽろこぼれて灰色の床に染みをつくる。
暴れてこすれた手や足に血が滲む。

(馬鹿、鼻まで押さえたら死んじまうだろ)
(そうしたら楽しめねえぞ)
(死体とやる趣味のやつならいいけどな)

下卑た笑い声がいくつも聞こえる。

(久々の上玉だ、壊すなよ)


口を押さえていた手がなくなったと思ったら、何か細くて長いもので背中を殴られた。
痛い、と叫ぶと打擲はひどくなる。
延々と続く責めに身体中のどこが痛いのだか、だんだんわからなくなって意識が遠くなる。

何もかもが終わってぼろ雑巾のように放置された後、しばらくして目が覚めた。
身体のいたるところからだらだらと血が流れている。


顔をコンクリートに押しつけたまま、ぼんやり眺めた先に灰色の空。

雨が、降ればいい。
全部流しさってしまえばいい。


(こいつはどうする?)
(あれくらいで死にゃあしねえよ。でも次にすぐ使えなくても困るな。医務室に放り込んどけ)

乱暴に身体を抱えあげられ、痛みに思わず息を止める。
文字通り放り込まれた医務室で、医師が(またか、お前ら)と呟いた。

(お楽しみもいいが、後始末する俺の身にもなれ)
(なかなか美味かったぜ。あんたも楽しめばいいじゃねえか)
(生憎と俺は、ガキは趣味じゃねえ)

彼らがいなくなると、医師は機械的に傷を消毒し、包帯を巻いた。
血は止まったが、身体中の傷が酷く疼いて熱を出した。

しばらく立つことも座ることも、横になることもできなかった。

しかし二日ほどである程度熱が下がると、訓練に参加させられた。
そしてようやく治ってきたと思う頃にまた襲われる。
どんなに逃げようとしても無駄だった。

そんなことが続いて、いつか涙も枯れ果てた。



-----



それは多分実験薬だった。

飲まされた翌日は必ず、嫌な匂いのする、泡立つコーヒー色の血を吐いた。
割れるように頭が痛む。

吐瀉物を見ると朧な記憶のうちにも気持ち悪さがせりあがり
口に指を突っ込んで、空になった胃壁と喉から赤い鮮血が出るまで吐き続けた。

無理に吐いたから目尻には涙が溜まっていたが、もう泣くことはなかった。
紅い瞳は氷河のように凍りついて、感情を映すことが極端に減った。

なんとか口をゆすいで部屋に戻り、壁にずるずるともたれて意識を手放す。
次に目覚めることがなければいいと思いながら。








9歳、初陣。

それまで人形や教官相手だった人殺しの技が、ほんとうにできることを知る。

戦場から帰ったその足で(メイン人数扱いではなかったためか、蒐集家の小部屋へは義務がなかったらしい)
彼を飼っていた男のもとへ。

(初陣か。おま――)

お前もようやく一人前だな。 あるいは
お前は俺のチームに入れてやるからな。

そのどちらだったのだろう。

笑顔で近づいていって、彼が言葉を言い切る前に血塗れた剣でその喉笛を掻っ切った。

ひゅうっと笛のような音を鳴らして男が倒れる。
取り巻きたちがいっせいに掛かってくる。

まだ小さな体を生かして興奮状態のまま、叩き込まれた急所を狙う。
生まれた数日後からこの施設にいる。
人を殺すためだけのこの施設に。
幼児を戦闘員に育てるための実験材料でもあった。
幼くても必要な知識は全部、すでに叩き込まれている。
頭で考える前に身体が動く。


幾重にも返り血をあびて、銀髪がまだらに見える。
その間からのぞく、感情のない冷たく燃える紅い瞳。




-----




がば、と布団から跳ね起きる。

心臓が音高く鳴っている。

ベッドを出て、握りしめた拳で胸を押さえるようにしながらルキアの荒地へ。

かの記憶から、遠く時を隔てた場所。

今ではない。
今ではない。わかっている。

荒れた気分を岩に叩きつけたあと、荒地に転がって星空を眺める。


……自分をめちゃくちゃに傷つけたい衝動がおさまらない。

そのままやるわけにはいかないから、今度はブルーヤロウの滝へ。
瀑布に打たれて、水流の身体を叩く冷たさと重い痛みに少しほっとする。

滝に叩かれ、削られ、すべて流れ出してしまえばいい。


きっとどす黒い色をした己の血も。

















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最終更新日  2010年07月07日 15時42分22秒
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