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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2011年09月09日
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「よう、リフィア」


ショッピングモールで声をかけてきた背の高い男性に、リフィアは笑顔をむけた。
赤みがかった金髪の男性は従兄なのだが、実の兄よりも年が近く、リフィアにとっては親しい相手だった。

地方赴任中の従兄が結婚祝いを兼ねて訪ねてきてくれるというので、彼女は甘党の彼のために茶菓子を買いに出ていたのだ。リフィアの従兄だから、当初はアルディアスが買い物に出る予定だったが、急な仕事が入ってしまったのだった。
従兄の手にもケーキの包みらしきものがあるところを見ると、手土産を同じモールで物色していたものらしい。
朱色の瞳で優しく従妹を見て、彼は言った。

「久しぶりに中央に来たから、家に連絡とったらお前が結婚したって言うからさ。でもおじさんもおばさんも、何か要領を得ないんだよな……。変な奴じゃないんだろう?」
「もちろんよ。いやね、もう」


上級将校で大神官の夫を歓迎しつつも、どうやら完全に両親の理解の範疇を超えているらしい。

「私、ここまでは車で来たの。一緒に乗っていきましょ」
「じゃあ俺が運転するよ。そのほうが道順覚えるから、隣で教えてくれ」

金髪の従兄は運転席に座ると、慣れた様子で車を走らせ始めた。

とりとめもなく話しながら一緒に官舎まで帰り、玄関のドアを開ける。
家の中が静かなところを見ると、奥の書斎でアルディアスはまだ仕事中なのだろう。端末で映像を見ながら話さないと、どうにもならない用件のようだった。

「どうぞ入って。彼はまだ仕事中みたいで悪いけれど」
「こちらこそ、忙しいときに失礼」

リフィアは従兄を明るいリビングに招きいれた。普段はパーテーションで真ん中あたりを区切って使っているが、今日はお客様が来るということで全解放して広くしてある。

昼下がりのリビングで紅茶がカップ半分ほど消費されたころ、奥の書斎のドアが開く気配がした。

「初めまして。遅くなって申し訳ありませ……」



「デオン?」
「准将!?」

同時に声をあげる。作戦で会った時は子供の手前もあってマスターと呼んでいたデオンだが、その後通信などで話す機会があってからは呼びやすい階級呼称に戻していた。
間にはさまった格好のリフィアが、双方を見比べて不思議そうな顔をした。

「まあ、二人とも知り合いなの?」



「大祭前の作戦は、デオンの隊と一緒だったんだよ」
「ああ、エル・フィンさんが戻るきっかけになった」
「そう。デオンとエル・フィンも、結構昔からの知り合いらしい……ああ、堅苦しい挨拶はいらないよ。ここは軍じゃないのだから」

台詞の後半は、思わず立ち上がって敬礼しかけたデオンに対するものだった。

「それより、改めて。今度一族の端に加えてもらった、アルディアス・フェロウです。どうぞよろしく」

にこにこと手を差し出す。その手をとって握手しながら、デオンはまだ狐につままれたような顔をしていた。

「デオン・グラッシェアンスです。それにしても、まさかあなたがリフィアの相手だったとは……」
「そんなに不思議かい?」
「教えてもらった住所表記がフェロウだったので、おや?とは思ったんですがねえ。一族の跳ねっかえり娘が首尾よく准将兼大神官を射止めるとは、よもや思わないでしょう」
「まあ、ひどいわね、にいさんたら」

アルディアスの分の紅茶を淹れながら、リフィアがぷっとふくれてみせる。それに笑って、デオンは続けた。

「いや実は、伯父伯母の話がどうも要領を得ないので、リフィアの相手が変な奴だったら殴り倒して取り返そうかと思っていたんですよ。でも准将なら安心です」
「ありがとう」

アルディアスは、デオンの腕っぷしがかなり強いことを知っている。だからはったりではないのだろうし、もし本当にやったとしたら、その相手は気の毒なことになっていただろう。
リフィアには優秀なナイトがついてくれていたものだ。

それからしばらくは、一族の話題に花が咲いた。
なにしろリフィアは、生まれた瞬間にもう叔母だったくらい親族が多い。
いきなり一族が増えに増えたアルディアスにとっては、誰が誰か、覚えるのも難しいありさまだった。

「仕方がないですよ、准将。俺達ですら全員はたぶん把握してないですから。な、リフィア」
「そうねえ。私もいとこたちは、年の近い人の名前しかわからないわ」
「……そんなものかい?」

一族の少ない家に生まれたアルディアスには、その感覚はよくわからない。といって、一生懸命全員覚えようとしてもとても無理な人数ではあった。

「だって、二十歳から年が違ったら、いとこっていうより伯父伯母になっちゃうでしょ、感覚的に」
「親達は、住んでいる地域や屋号で呼びわけしてますけどね。ファーストネームの同じ奴も結構いますから」
「あの会話にはついてゆけないわよね。私達まだ未熟者だもの」
「まったくだよな」

デオンは従妹と顔を見合わせてうなずいた。リフィアの実家に挨拶に行ったとき、アルディアスもその一端を耳にはさんでいる。
賑やかで話好きが多くて、……とても暖かい家族だった。

やがて日が落ちて、話は夕食とともに続けられた。
腕をふるった湯気の立つ料理を取り分けながら、リフィアが男達を見る。

「ねえアルディ、にいさん、誰がどう知り合いなの? 言える範囲でいいから教えてくれる?」
「うーん……、エル・フィンとデオンは、数年前の作戦で知り合ったんだろう?」
「そうです、あのときは同じ部隊にいましたので。准将とも同じ部隊だったと知っていれば、引き抜きにも応じなかったんですがね」
「ああ、私もそのころはまだ部隊を預かっていなかったが、まったく知らずに惜しいことをしたよ」

アルディアスは笑った。
どうやら三人とも同じ部隊にいたことがあったようなのだが、階級もそれぞれ違ったし、ちょうど入れ替わりのように作戦に駆り出されて会ったことがなかったのだ。

それからオーディンとも、彼は面識があるらしい。とはいえこちらは、先日の作戦まではせいぜい見覚えがある、という程度のものだったようだ。
アルディアス隊の面々については、会ったことのあるないにかかわらず、全員の名前をひととおり知っていると金髪の青年は笑った。

デオンのような優秀な人材を引き抜かれていたとは、後から知ってみると非常に惜しい。
まあ、他部署に気心のしれた相手がいるというのも悪くはないが。

「デオンの隊はいつからだい?」
「彼らも一緒ですね。エルンストはちょっと遅れてますが、他の奴はだからほぼエル・フィンとは面識があったわけで」
「なるほどね。じゃあうちの部隊は、将来有望な人材をごっそり持っていかれてしまったわけだ」

銀髪の男が肩をすくめると、スープを飲み下してデオンは笑った。

「何をおっしゃいます。今、准将の部隊は羨望の的ですよ」
「お祭り騒ぎ、だろう? いや、ピクニック隊、かな?」
「さすが良くご存知で。羨み半分、やっかみ半分ですからね」

互いににやりと笑う。アルディアスの隊は雰囲気が和やかで、周囲からそう陰口を叩かれることがあった。しかし実際戦場に出たときの戦果はもちろん、生存率も高いのが特徴だったから、実際兵士たちの羨望の的というのは外れではない。

和気藹々のうちに食後のお茶も終わって、リフィアが泊まりの準備をしようとしたころ、デオンは椅子から腰を浮かした。

「泊まってはいかないのかい?」
「すみません、今日は実家に顔見せろって言われてまして。久しぶりなもので」
「まあ、それじゃ家まで送るわ。ねえアルディ?」
「いいってリフィア、適当に帰るから」
「いや、今車を出すから」

アルディアスは気軽に席を立って駐車場に向かった。自家用車は所有していないが、今はちょうど立て込んでいるので軍の車を一台借りている。

「准将に運転していただくわけには……」
「従弟なら別にいいだろう?」

玄関先に車を廻し、運転席から微笑む。
デオンの実家は、リフィアの実家の近くにあった。官舎からだと10キロほどの距離だ。

「今日はありがとう。また中央に来たらぜひ寄っておくれ。リフィアも喜ぶから」
「こちらこそお世話になりました。リフィア、またな」

デオンの実家の前で、車を降りた彼と窓越しに握手をして別れる。リフィアはまたね、と手を振った。

道もわかったことで、それからデオンはアルディアスの長期不在の折など、中央にいればたまに顔を出してリフィアの話し相手になってくれた。
それは、一人ぼっちのリフィアを心配していたアルディアスにとっても、願ってもないことだった。







従兄.jpg
(c) Ciel photography 2011














【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次


こんなところに親戚関係がw

今日は重陽の節句。おととしはフェンリルシリーズを出して、去年は大祭の祝福あたりを出したので
今年も物語を出すことにしました。
そして今時点(朝8時半)、あと200くらいで200万アクセスになりそうです。
御節句に重なって、なんだかおめでたいー♪ いいこと重なりそうで嬉しいな♪
遊びに来て下さる皆様、いつもどうもありがとうございます♪♪

そうそう、昨日寝る前に、ふと、「あ、変わったな」って思ったのです。
何が変わったかわからないんだけど←
そしてちょうど、0時過ぎて30分ほど経った頃だったので、日付は9月9日。
もしかしたらなにかふわっと、花びらが開きだすような日なのかもしれません。

陽の重なるめでたい日をはじまりに、しあわせがいっぱい重なりだしますように♪




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 ☆ゲリラ開催☆ 9/6~9/11 はじまりの闇 一斉ヒーリング





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最終更新日  2011年09月09日 09時29分35秒
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