わたしのブログ_ウミグマ3の漁業日誌

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見習い時代のウミグマ3



 それは、高校3年の、秋のことでした。

 いきなり、親父〔漁師〕から、「おまえ、漁師を、継がないか。?」と、聞かれました。

 「ほかにやりたい仕事や、進学したいのなら無理にとは、言わんが。」

 「もし、漁師になるなら、車買ってやるよ。」

 自動車学校に通っていた私は、二つ返事でOK!!しました。

父は、魚を獲るのも上手いけど、人を釣るのも上手かった。


 見習い時代のウミグマ3 2

 高校卒業と同時に、いきなり親父〔船長〕から、「とりあえず、小型船舶操縦士の免許を、取れ。」と言われました。

 渡されたテキストに、4級小型船舶操縦士と書かれていました。

 親父が言うには、「まあ、海の原付バイクみたいなものだから簡単だから。」

 「どこが、簡単だ。!!」 

 何とか、合格して、ヤッターと思っていたら、親父がニコニコしながら

 「なっ、簡単だったろ。次、2級小型船舶行ってみようか。」

 親父の手には、4級のテキストの4倍ぐらいの厚さの2級小型船舶操縦士のテキストが、握られていました。

もう、笑うしかありませんでした。

 ちなみに、親父は、1級小型船舶操縦士の免許を、持っています。

当時は、欲しければ、すぐにくれたそうです。

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 漁船には、偉い人順に、社長〔網元〕、漁労長、船長、ベテラン乗組員、新人乗組員、見習い、とあります。

 社長〔網元〕 漁業権を持つオーナー。
 漁労長    漁全体を取り仕切る人。
 船長     漁船の操縦や船上での全てを、取り仕切る人。

小規模だと、ここまでは、大体1人で、兼任します。

 ベテラン乗組員 自分の担当部署で、動き新人や見習いに指示を出し、場合によっては、船長、漁労長の仕事もこなします。

 新人乗組員  担当は決まっていますが、上からの指示を聞いて動きます。

 見習い  基本的には、指示を受けて動きますが、たいてい邪魔なので、船の中央あたりで待機していて、必要な時だけ呼ばれて仕事します。

 その当時、私の担当は、船酔いする見習いでした。

 船酔いする見習い   何も仕事が出来ずに船酔いし、漁を中断させ、大迷惑をかける人。

「本当にすいませんでした。」

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 船酔いする漁師。 自分が、船酔いしやすい体質だと気づいたのは、初めて、漁に連れて行ってもらった時です。

 準備は、万端のはずでした。 酔い止め薬、飲みました。 朝ごはん、食べました。 睡眠、十分にとりました。 酔い止めのツボ、押えました。

「自分には、全然効きません。」

 激しく船酔い。 涙ながらに「もう、うごけないですぅ。」の訴えに、船長は、渋々「しかたねえなぁ!!、じゃ、もう1本、網を揚げたら帰るか。」

「網を揚げるまでの1時間、とてつもなく、長い時間に感じました。」

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 船に乗り始めてから、三ヶ月間。 なんとか、網を、全部揚げるまで、倒れなくなりました。
 自分なりに研究し、酔い止め薬の代わりに、胃腸薬を、使ってみたり〔体質的にこちらの方が、効果的だったようです〕
 手首のツボを、押さえたり。
 自己暗示で、呼吸法を、やってみたり。〔妊婦さんが、やってるみたいなやつ〕
で、少しずつ船酔いは、しなくなってきました。

 「やったー、船酔いを、克服できた~♪」 無邪気に喜んでいました。

「冬の荒波を知るまでは!?」

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  夏場になると、 磯まわり と言って、小型の船に乗って、 海草〔もずく、えご、〕 や、 サザエ、アワビ、うに 等を採る漁があります。

 今は、電動の小型船外機で、操縦しますが、当時は櫂を、漕いで操縦していました。

目的地までは、エンジン船外機で行き、岩場や浅瀬では、櫂を使っていました。

 一応、櫂の使い方は、 初代漁労長〔祖父〕 から教えてもらったのですが。 

 港の中で、まず手本を見せてもらいました。

くぃっ、くぃっ。 軽いリズムと共にスムーズに磯舟は、進みます。 」 

 次に、私が櫂を、使いましたが。  「ぐぐぐっぐ、おっ重い。何で!!。 しかも、真っ直ぐ進まない、ふっ船が回ってる~」

祖父に、笑われながら 「真っ直ぐ漕ぐな。少し斜めに漕いでみろ。 どう動くのか体で覚えろ」 とアドバイスを受けながら、何とか 港の中 を自由に進める様になりました。 

 実際に、現場に着いてサザエを取ろうとしましたが、 風に流され、潮に流され、波に運ばれ、その場に留まる事すら出来ませんでした。

 まともに、サザエが取れるようになるまで、3年ぐらいかかりました。 

当然、大きい船よりも揺れるので、船酔いしてしまい、砂浜で、のびてました。

思った以上の重労働でした。 



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