サヨナラ ダイスキナヒト-part 2-



◎Brett
アメリカの大学で彼と知り合った。Brettという1つ下の子だった。
付き合ってもないのに、この人と結婚できたら幸せだろぉなぁ。って思った。
ブレットの仕事からの帰りだったら、家でご飯作って、何時まででも待てるなぁって。
彼の存在を知ったのは随分後だった。2月くらいだった。
あまり目立たない控えめな子だったけど、私からしてみたらとってもキュートだった。
Brettは私の友達の友達だったため、すぐに友達になることができた。
私の場合、アメリカ人生徒と接する時、壁を感じる人とそうでない人がいる。
彼の場合、後者だった。
日本に興味を持ち、日本語を少し覚えてはよく使ってた。
ずっと引きずってた元彼を忘れられそうなくらい、好きになった。
でも彼には地元に彼女がいた。
壁には1枚だけ写真が貼ってあった。彼女との写真だった。
そしてさらなる悲劇が襲った。
「僕、来セメは転校するんだ!」
彼は嬉しそうにそう言った。
残されたちょっとの時間だけは、なるべく彼と過ごそうって決めた。
だからよく彼の部屋に遊びに行った。すごい楽しかった。
ある日リスニングの勉強にと思ってDVDを借りてきた。
その帰り道に彼と会った。そしてリスニングのためにDVDを借りたことを伝えた。
そしたら彼は「だったら僕が本を読んであげるのに!」って言った。
彼のこういう発想が好きだった。
そして彼はとても賢かった。
「第二次世界大戦で爆弾を落としたことについてどう思う?」
「真珠湾攻撃のことはどう思う?」
こんな質問をされることがしばしばあった。
こんな質問をしてくるアメリカ人の友達は私の周りにはいなかった。
他にも色々な質問をされた。「子供の名前は何がいい?」とか「お相撲さんとは結婚できる?」とか。
すごい愛らしかった。
一緒に映画に行ったり、ご飯食べに行ったりした。
ある日、彼が突然実家のあるニュージャージーまで帰った。
ロックバンドをやってるおにいちゃんが帰ってくるとのことだった。
「何か持って帰ってくるよ」と言った彼は1週間後、私に大きな貝をもって帰ってきてくれた。
机の上に、一緒に見に行った映画のチケットと並べて大切にかざった。
学期の終わりも近づいた頃、一緒に外を走ろうっていう話になった。
走り始めた1分後、私は思い切り足をひねってしまった。
痛かったけど、2人で大笑いした。
でも足が痛すぎて歩けなかった。そしたら彼がおんぶしてくれた。
そして途中の道にある大きな橋の下で少し休もうってことになった。
彼が「I love youって何て言うの?」って聞いてきた。
「愛してるだよ。」って教えたら、「アイシテル」って何回も練習してた。
その言葉を私にくれたらいいのにって思った。
しばらく経って彼が私の履いている靴・アディダスを見て、「adidas」の意味知ってる?って聞いてきた。
A=All
D=Day
I=I
D=Dream
A=About
S=Shoko
って言ったもんだから、「えー!すごい!!」って言ったら
「はは!SはきっとシューズのSか何かだろぉね」って言った。
でもシューズのSだろぉが何だろぉが、その瞬間だけは、Sは私のSだった。

退寮の日が迫ってくると、Brettは私に会うたび退寮の日までをカウントダウンするようになった。
「Shoko!あと○日だよ~!」って。
彼は私の気持ちに気づいてないんだろうな。と思った。
けど、気持ちは伝えないことにしてた。
元彼のことがやっぱり好きだってことに気づいて、中途半端な気持ちだったし。
退寮の日間近はほぼ彼のとこでハングアウトした。
あまり興味もないサウスパークも一緒に見た。彼は大爆笑してたけど。
彼が退寮の日、私は彼を見送ることにした。
今まで仲良かった人みんなに手紙を書いてあった。
前のルームメイトにもちゃんと手紙が書かれてあった。
駐車場に向かう途中、「早くここをでたかったけど、やっぱり少し寂しいな」って言ってた。
彼が車に乗る前にハグをした。ぎゅーってハグを。
「寂しくなるよ」彼はそう言った。
付け足すように「寮の近くまで送るよ」って言ってくれた。
でも泣きそうだったから、「歩いて帰れる」って伝えた。
人とお別れするのって好きじゃない。
彼の車が去った時、涙がでた。

ブレットの転校先は頭が超超いい大学に決まった。
そこまでは追っかけていけそうにないわぁ。
メールにこう書いてあった。
Someday,We’ll meet again.Don’t worry.
その言葉を信じるよ。
大好きだったよ。 I loved you, Brett.
今はI like youかな(笑)


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