せび邸

せび邸

2008.10.17
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カテゴリ: つれづれ日記
私は以前、とある大手なスーパーマーケットに勤めていて、本社に行くまでの数年間、売り場で働いていた。学校を出てすぐの頃の話である。

「今思うと」と、付け加えたのは、今ならそういう人はいっぱいいそうだから、なのだけれど。。

私はどういうわけか(自分も変わり者の一員だから?)、2時間前に機嫌のよかったそのコにちょこっと仕事上のお願いをしたら、頼みは聞いてくれたもののなんだか無言で「ぷいっ」とされても、「ああ、機嫌が悪いのだな」くらいにしか思わなかったのだけれど、おそらくこういう感じ方は、世間では少数派である。悪い噂を流す男とか女とかもいるようで、「まじめそうだけど遊んでる」とか、「性格が悪い」とか、まぁ、そんなふうな話を散々聞かされたものだ。
私としては、どっかの田舎の島から都心に引っ張り出されてきたコが、不器用にもがいとるなぁ、的な印象だったし、今思ってもそれが正解に近いんじゃないかと思う。戸惑っていたのは都会に対してではなくて、他者とか自分とか、なんかそういう心の世界のことだったとは思うようになったが、子供の頃から知ってる人ばかりの環境から就職を機に引きずり出されたことも関係があったのかもしれない。

たしかすぐに退職したか、地元に近い店舗に異動していったか、どっちかだったので、一緒に働いた時期は1年もなかったと思う。それでもかなりはっきりと彼女のことを記憶しているのは、美人だったからだっ、というのはウソで、ある伝説を残していったからだった。
それが、タイトルである。

お客さんがびっくりして、他の店員に教えてくれた、というエピソード付きの伝説だった。
ホントかどうか分らないが、上司が現場に到着したとき、そのコは、

なんて、中年の女性のお客さんになぐさめられていたらしい。
「そんなにつらい仕事なら辞めちゃいなさい」
とかも言われてたとか言われてないとか。。
本人はその声にまったく反応しないで、レジ打ちを続けていたそうだが。。

もっとも本人も、なぜ悲しかったのかよく分らなかったらしい。
レジを打ってたら悲しくなったのか、悲しくて涙が出たけどがんばってレジ打ちを続けていたのかも、不明である。
私は、エア・リーディングより好奇心を優先させがちなんだけれども、特に仲良くしていたわけではない彼女に対して、そのあたりを聞き込むことはできなかった。

上場企業だからなのかその会社の方針だからなのか分らないが、高卒で入ってきてるコたちはみんな地方の裕福な家庭で育った人(で二番目以降の子供)ばっかりの会社だったから、保守的な雰囲気がとても強い職場だったので、私もつらかったがそのコも相当つらかったんじゃないかと思う。しかもおそらく、今の時代だったら、そのコはそのコでフツーの範疇に入ってたような気がするので、たまにそのコを思い出したりするのである。





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Last updated  2008.10.17 19:08:08
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セビセビ @ Re[1]:元気です(06/17) blue rose2792さん あそことはまた別のあ…
blue rose2792 @ Re:元気です(06/17) それはなによりでした。 ほっといたしま…
セビセビ @ Re:やっぱり!?(01/22) せしるんさん おぉ。。 だいたひかる…
せしるん @ やっぱり!? 私も鳥居みゆきを見たとき、戸川純を思い…
セビセビ @ Re[1]:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) sally-1020さん ご無沙汰っす^^ 絶望…
sally-1020 @ Re:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) ご無沙汰しております。 先日は有難うご…

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