時の旅人

時の旅人

その11


「はい、久保田ですが」この声は彼の母だ。
「北小で一緒のクラスでした鈴本といいます」その日初めての会話らしい会話だ。名乗るとすぐに僕の事を思い出してくれた。彼の近況を訪ねると、再び川崎に転勤したとのことで、今年は夏休みも未定であるという。近々電話させると約束してくれた。
 彼や彼のご家族にはいささか申し訳なさを感じている。三島に居るころ、毎日とはいかなくとも頻繁に遊びに行ったりしていたからだ。当時の僕としては家に居たくないという気持ちから外に出ていたのだが、時には迷惑ではなかっただろうか。
 でも、とても親しく接してもらったので印象に残っている。
 まさか久保田氏のお母様も、自分が三島市内から電話を入れているなど思っていないだろう。

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