MM第一法則、ペキンオーダー



企業が資金調達をする際に、株式と債券をどのように組み合わせて発行すれば良いのでしょうか?

この質問に答えるのが、モジリアニ、ミラーの法則です。後述するいくつかの仮定の下で、答えは、「株式と債券をどのように組み合わせて調達しても、企業価値は不変である」というものです。

<仮定>
1.資本市場が効率的である。
2.法人税、所得税の効果が無い。
3.倒産リスクを考慮しない。

つまり、企業価値は、保有資産から得られるキャッシュフローの現在価値が全てであって、資金調達の方法には依存しないということです。これが本当だとすれば、企業の負債比率は、業界によらず、ランダムとなるはずですが。。。

しかし、現実には、業界固有の負債レシオが存在するようです。現実世界では、上記仮定が成り立っていないからです。最も支持されている考え方として、最適な負債比率は、仮定2と仮定3の間で、価値のトレードオフが行われた結果であるというものです。

単純に説明すると、債券発行による金利支払いは、課税所得から控除することができるので、「タックスシールド」としてのプラスの価値を持ちます。つまり負債比率上昇のインセンティブとなります。

一方で、負債比率が上昇すると、倒産リスクが大きくなってきます。倒産リスクとは、例えば、ある企業がつぶれるらしいということになってくると、銀行から、調達金利に、過剰なリスクプレミアムを乗せられたり、また、有能な社員が逃げ出したり、また、一発逆転を狙った経営陣が無謀な投資に走る、などが発生し、これが、企業価値を損なうというものです。

上記の2つの事項は、プラスとマイナスでお互いに相殺しあいます。この適切なところで、最適な債券と株式の組み合わせが決まるというものです。

さて、この相殺理論のほかに、「ペキンオーダー」理論というのがあります。ペキンのペックは、鳥などが、餌をつつく、という意味らしい。資金調達担当者はまず、内部調達を考え、その後、外部調達を考えるというものです。つまり、まず、儲けた金の内配当にまわさない金で、内部調達をし、その後、債券調達、最後に株式調達をするというものです。

実世界では、どうなのでしょうか?

企業は、NPVが正である新規事業をファイナンスするのに、3つの方法があります。

(1)内部調達。。。これは、「純利益」+「減価償却費」-「配当金」
(2)債券発行による調達
(3)株式発行による調達

実証的には、アメリカでは、内部調達による資金調達が最も多く、次に、債券発行、最後に株式発行となっています。

内部調達が好まれる理由は、外部調達には、アレンジャーに支払うコストがかかるという理由が一つと、外部の投資家には、新規事業のリスクリターン特性が詳しくわからないために、コストがかかるということがあげられます(情報の非対象性)。そこで、余計なコストを支払わなくてよい、という観点から、内部調達が好まれます。

債券発行と株式発行の間のトレードオフについては、前回もふれたように、これは、債券発行による税優遇と、倒産リスクのトレードオフです。

企業がファイナンスする際の、上記の順番、(1)内部調達、(2)債券発行、(3)株式発行のことを、「ペキンオーダー」といいます。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: