さまよいの記

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Nikon310QD


 AF一眼で目から鱗のボクが次に選んだニコンはMF一眼ではなく、コンパクトカメラであった。無論そうなるとニコンミニだろやっぱと思う方がいるかもしれないが、僕はそれには手を出さなかった。というか手が出なかった。そうなりゃ高級コンパクトのTiも手が出るわけがなく、何を手にしたかといえばニコンの310QD、通称メタルズームである。

 このメタルズームは前々から気になってはいた。
 標準ズーム域の35-70のレンズを持ち、スペックではなんの見るべきものがない。しかし、あるHPで見た作例にヤラれてしまい、どこかで見つかったら絶対買おうと密かに思っていた。
 いつも行く近所の写真屋でこの機体を見つけた時に喉から手が出るほど欲しかった。値段も手ごろ。でも何故か迷いまくってやめてしまった。結局売れてしまい、後悔することしきりで、次に会うまで5ヶ月近くかかってしまった。

 その昔ニコンがマジメに作ったコンパクトカメラは何もニコンミニだけではない。このメタルズームも非常にマジメに作られたコンパクトカメラである。表層にメタルを纏い、プラカメが隆盛を極めようとしていた時期のアンチテーゼである。そのレンズの素性も悪くなく、その後の自社コンパクトカメラに連綿と受け継がれて行く。
 描写は極めてシャープ。
 色ノリもよく、素直で解像感のある描写は文句のつけようがない。
 AF一眼レンズの35-70f3.5-4.5に似た描写で、このコンパクトあったらこのレンズいらねえじゃんと思う。いや実際は必要なんですけどね。
 その描写力、逆光の強さは隠れた名機を匂わせる。
 この後に続くニコンのコンパクトは失速して行くハメになり、OEMでの販売になっていく。ED搭載したりして挽回して行くけど、まあ回復はしなかった。

 今使うにはやや動作が重いし、ボタンも押しにくいし、シャッター音やかましい。
 でもその上がりは信頼出来る、たのもしいズームコンパクトである。
 コイツのおかげでズームコンパクトのメインの座を追われた自動少年120は旅に出してしまったほどである。
 もし、もしもこのメタルズームを見かける機会があるなら、ぜひ手に取る事をオススメする。試しに手を出してもその痛手は中古のライカに手を出すより軽くすむ。偉大なる平凡はある意味非凡であると思う。

追記:唯一のニコン
F70Dを放出しちゃったんで、我が家での唯一のニコンになった。
これを放出する気はさらさらない。
ニコンだからモノクロが案外いいかなと思い、使ってみたけどドンピシャ。
メタルズームといい、スリムTといい、モノクロ描写に不満はない。
カラーでも良いし、あのシャッターだけなんとかなればいいんだけど、ないものねだりだわな。


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