七夜式の小説用ブログ

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第八話 とある戦士の休息時間

くら い。



恐らく、この カラダ の宿主が眠っているのから、夜だ。


とは言っても、宿主は寝る時間がまちまちなので特定し難いのだが。


そんな道を独り、歩く。


出来れば、今日こそ独りで歩きたかった。


「・・・それで気配を消しているつもりか?」


後ろに声をかける。


ゆらり、と陰から何かが出てきた。


「・・・息を殺してても殺気が消せなきゃな」


陰から出てきた『何か』と向き合う。シルエット的に人だ。暗くて良く見えないから『影』と呼ぼう。


「・・・俺はな、本気になれば、世界だって壊せるんだよ」


「・・・は?」


訳が判らない。いきなり何を言い出すんだこの影は。


「・・・はぁ。世界がこういう腐った奴らを作り出すってのかい。掃除する奴等にとっちゃいい迷惑だよ、たく」


ポケットに入れておいたナイフを抜く。


「お前みたいな女が俺に振り向かないから、お前らが俺を蔑むから俺はお前らを皆殺しにするんだ!」


影は手に持った武器で襲い掛かってきた。


「お前の世間への不満なんて聞きたくないよ。それより・・・」


距離が、詰まる。


オレ ・・ が・・・女、だって?」


大きく振りかぶられた武器をいなし、流れるような動作で影の後ろに回る。


「!?」


「オレは、男だよ」


影にナイフを突き立てる。何も言えぬまま、陰は倒れた。


「餓鬼が、粋がるな」


ナイフを引き抜き、一振りで血を祓う。


「あーあ、また無駄なモンを殺しちまったよ。トウコに何て言おうか」


別に悪びれた風はなく、再び昏い道に戻る。


第八話 とある戦士の 休息時間 ティータイム


―――AM 8:00 シオン邸


「眠っ」


それが今日居間にいてシオンの発した初めての言葉だった。


「どしたの?やつれてるよ?」


「目の下に熊さん二匹飼ってる」


円とリーズバイフェがさも不思議そうに訊いて来た。


しかもリーズバイフェのは字が違う。正しくは『隈』だ。


「よくわかんね。最近はアラートとかないから睡眠時間はばっちりなのに」


因みにシオンは居間のテーブルに顎を乗っけて丸まっている。他の二人は反対側でお茶を啜っていた。


「寝直せばいいのに」と円。


「できたらやってるよ。一度目が覚めたら暫く寝られないのが俺」とシオン。


「じゃぁ何でこんな時間に起きてるの?」とリーズバイフェ。


「仕事」とシオン。


言った後でシオンがいきなり立ち上がったのは言うまでも無い。


―――AM 10:00 六課隊舎、訓練場


「は~い、ちょっと休憩~」


教官であるなのはの声でフォワードメンバーの動きが止まった。


それぞれが栄養ドリンクなどを口にする。


「あれ、そういえば、シオンさんの姿が見えないんですけど」


異変に気が付いたのはスバルだった。別に今日のシオンは休みでも午後出勤でもなかった筈だ。


「あ、そういえば見ませんね」とエリオ。


「ああ、シオン君なら心配しなくてもいいよ」


「何か急な仕事でも?」


ティアナがふと思った事を口にした。


「でも、シオンさんが行くなら私たちにも大抵はあるはずですよね?」


キャロがその疑問の答えを口にする。


「そうだね。シオン君が出るなら私たちも出撃する自体だもんね。でも違うよ。『遅刻』で橙子さんの所で特別任務♪」


―――時空管理局、ミッドチルダ中央区画、ミッド地上本部地下区画


「シオン、そこの資材はV13区画に運んでくれ。あ、その資材はN68区画だ」


淡々とした口調で、メガネを外している橙子がシオンに指示を出す。


「ぐっ重い・・・!地下で魔力供給が出来ないからって、この・・・!」


シオンが運んでいる資材の重量は平均で約5kg。誤差は増減1kg。


そして地下数十mでは魔力供給が出来ない。その謎については解明されていない。


よって、シオンの様な純粋に力のある人間が資材を運んでいる。


「仕方が無いだろう。お前は『遅刻』したんだ。それなりの仕事はしてもらうさ」


「ぐっ・・・文句が言えない・・・!」


「あ、そうそう」


橙子がふと思い出したように振り向いた。


「な、何です?」


「もう少しでフォワードメンバーの訓練の第一段階が終わる」


「へ、へぇ~。そいつぁ良い事じゃないですか」


「恐らく、奴らが仕掛けてくる時期と重なる」


「・・・そうですか」


流石のシオンも動揺せざるを得なかった。


「準備しておけ。カブトゼクターも調整を第二段階に移す」


「判りました。俺の方もリーズ姉さんや智に言っておきます」


To Be Continued...

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