ごみかきの恋


ごみかきの恋


 ごみかきの初恋は例の「うんち漏らし事件」があった幼稚園の頃だが、記憶が断片的でうまく話しがまとまらない。そういう意味で一応形になっている?中学生の時のことを書こう。

 中三になってすぐ、同じクラスのMさんのことがとても好きになった。
 ある日、下校時の下駄箱の前で呼びとめられた。
 振り返るとそこにはなんとMさんが立っている!
 もしかして、もしかして・・・。
 好きな人からコクられるなんて、まるで夢のような展開だっ!
 そして彼女はこう言って封筒のようなものごみかきに手渡した。
 「 あの~、これ親友のHさんからごみかき君に渡して欲しいって頼まれたの
ガーン
そう言って封筒を手渡すとMさんはとっととその場を立ち去ってしまった。
 「ちょっと待ってー。
ごみかきが好きなのはMさんなのだよー
 心の中で叫んだが声にならなかった。

 トボトボと家に帰り封筒を開けてみるとやはりMさんの親友であるHさんからの告白の手紙と誕生日プレゼントとして四葉のクローバーのペンダント(もしくはキーホルダー)が入っていた。

 ごみかきはまだ中学生なのに辛い決断を迫られた。

 Mさんの親友が自分を好きであることを知っていながら、Mさんとつき合うことはできない。かといって自分を偽ってHさんとつき合うこともできない。

どうすればいいんだぁぁあああ

 悩み抜いた末、ひとつの結論を出したごみかき。

 Hさんの申し入れはお断りし、Mさんのこともあきらめようと・・・。

 ごみかきはその通りに実行した。
 Hさんに対してもはっきりとその旨を告げた。彼女は意外にもさばさばした様子でホッとした。実際にはそうではなかったかもしれない。だがごみかきは疑うということを知らなかった。

 そして立ち直りが早いごみかきは性懲りもせず、またすぐに 新たな恋 にチャレンジするのだった。

 あれは中3の夏休み前のことである。
 とても暑い日だった。


 新しい恋に進む前にもうひとつMさんとのことではっきりさせておかなければならないことがあった。

 まず、Hさんがごみかきを好きになった理由。
 「 私は背が高くて髪の長い人に憧れていた 。3年生になり、そういう理想の人が同じクラスにいた。それがごみかき君」
 まぁ、だいたいこんな感じ。

 一方、ごみかきがMさんを好きになった理由が思い当たらない。ただ、変な話見た目で好きになったということはないと思う。彼女は少々ふくよかな体型であり、決して可愛いとはいえない愛称で呼ばれていた。
 こういうことはあった。
 座席がとなりのMさんに
Mさん「 ごみかき君て字がとてもきれい (もしくは上手)ね」
ごみかき「そう?自分ではものすごく汚い字だと思っているけど・・・」
Mさん「そんなことないよ」

 自分が気にしている部分を誉められたのは生まれて初めてだったと思う。

 Mさんはそういうところがあり、きっとそんなMさんのことをごみかきは好きになったのだと思う。

 さて、やっと新しい恋に進むことができそうだ。
 新しい恋の相手とのきっかけは「下駄箱の悲劇」の反動からか、Hさんの影響を受けたからかビジュアル的な部分だった。

 ビジュアルといってもHさんのように特に理想像があるわけではなかった。それにいわゆる顔とか体型とかファッションのことではない。それはなんと 体質 だった。

 夏休み前の暑い日に見たのはSさんの汗のかき方。
 ごみかきはバレーボール部に所属していたのだが、ハードな練習をしてもほとんど汗をかかない体質だった。

 ふと見ると一人の女子の 白いシャツの背中の部分が汗で皮膚に張り付き皮膚の色が透けていた
 いろんな意味で 衝撃的 だった。

 それがSさんを意識し出したきっかけだった。

 Sさんはどちらかというと自分を積極的にアピールするタイプではなく目立たない存在だったのだ。

 それからというもの、とても気にはなるが話しかけられないという状態がつづき、とうとう夏休みに入ってしまったというわけだ。

 会えなくなると会えていた時の重みを感じるもので、中学生のごみかきも例外ではなかった。
 今思うと、夏休み前に一言でも声をかけていればそれ程 悶え苦しむ ことはなかったと思うのだが・・・。

 その状態を脱却するためにあることを思いついた

いきなり電話してみよう!

 余談だが最近ごみかきは主に不動産関係のセールスのテレアポの多さに困っていて電話の呼び出し音をOFFにしている。
 それで一応問題は解決したのだが、電話の半分の機能は失われてしまった。うちの電話は公衆電話みたいなものになっている。余談終り。(原田宗典先生調)

 電話番号は小学校の卒業アルバムから入手したと思われる。その辺の記憶は定かでない。
 今気づいたのだけど、Sさん口には出さなかったけど相当 迷惑 だったかなぁと。

 そうとは知らずにごみかきは電話まで行ったり来たりで、かなり長い時間かけようかかけまいかで悩んだ。
 その時の心臓の バクバク はおそらく、もしインタビューされたら
 「今まで生きていた中で一番 激しかった です」
と答えてしまう程だったろう。

 中学生のごみかきはその若さゆえ、無事心臓麻痺をおこすことなくSさんと通話することができたのだった。


        完(終わっちゃったよ)

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