第一章 テキヤ稼業の実態――元世話人の回想 由緒あるテキヤ組織の事務局長/野球と永ちゃんと中学時代/暴走族のシノギはパー券とアンパンの販売/最初の逮捕は保護観察処分だ った/お次は在宅試験観察/少年保護施設で暮らす/シャブの縁がテキヤへの道/部屋住みは、親分の理不尽にひたすら辛抱/昔は警察公認で「手配師稼業は簡単にまかり通った/親分の目を盗みパチンコ三昧/障害事件で逮捕される/本格的に商売の道へ/我が家のネタは「ソースせんべい」/少しずつネタを増やす/バイはつらいよ/酉の市の熊手の商売は助け合い/昔は刑事さんもお客さん/商売を研究する/テキヤ組織での役割/祭りの混雑をさばくのも世話人の仕事/暴排条例で何もかも一変した/バイだけでは食えず、建設職人と二足の草鞋/足を洗う覚悟の時/妻の病再び/二人だけの最後の戦い/それぞれの旅立ち/これからの決意 etc.
第二章 戦後縁日史――帳元の娘の回想 江東三寸帳元の娘の話/テキヤ稼業は闇市から始まった/江東三寸の帳元に推される/結核を患い入院して大暴れ/お陰様のテキヤ稼業/「三回目は捨てる」という子育てのルール/博打で負けるも付き合いのうち/家借りるなら買っちまえ/帳元の娘が就職する/「あんた、表しか戸はないじゃないの」/義兄へのアドバイスがテキヤ稼業の入口だった/テキヤのショバ入りと母のバイ/人形作りは職人技「知りたいと思ったら盗め」/テキヤの葬式じゃあ、ちらしちゃダメ/太陽は空にだけではなく、下町に住む人たちの心の中にあった/人形師になるために試行錯誤/父亡きあと最初のバイ/前金も契約書もない、ご縁による商売/一期一会の出会いと思わぬ再会と/縁日という人間交差点 etc.