買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2009年12月24日
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「え?」
「神様が、そう言ってくれたら、どんなにいいだろう」
「え?」
「私が、悪かったねえって。おまえたちを、こんなふうに創ってしまってって」
それを聞くと、身体中の緊張がいっぺんに緩んだような気がした。
新しい風が体内に吹き込んだようだった。

(梨木香歩さん「エンジェルエンジェルエンジェル」文庫版P147)

というわけで、梨木香歩さんの「エンジェルエンジェルエンジェル」を読みました。

「さわちゃん」の過去には、一生償うことが出来ない、とあきらめていた罪の意識があります。
その孫娘である「コウちゃん」は、何かに導かれるように、水槽の中に世界を創造し、その中で起こる惨劇が、結果的に、「さわちゃん」を重荷から救うことになります。

このお話しの根底には、悪魔は、もともと天使だったという事実(?)が、あるように思います。
「さわちゃん」が、押しつぶされていた罪の意識から救済されるためには、悪魔が必要だったという意味では、悪魔は、やっぱり天使だったのだと思いました。

しかし、「神」として「さわちゃん」を救う役回りを割り当てられてしまった「コウちゃん」自身は果たして救われているのでしょうか?

それと、「隠し引き出し」にあった「木彫りの天使」は、誰が彫ったものなのでしょうか?
「さわちゃん」はそれを知っていたでしょうか?

そんなこんなで、とても考えさせられるところの多い、堕天と救済の物語です。

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Last updated  2009年12月24日 07時31分21秒
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