買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2011年04月29日
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家はなくなるが人は残るのか。貴子はうまれてはじめて夢をみた。どうせならもっとあえやかなものをみたいと思ったが、自分の都合でみられないのが夢であるのかもしれなかった。
(朝吹真理子さん「きことわ」P140)(再掲)

というわけで、朝吹真理子さんの「きことわ」を読みました。

歳のはなれた幼ななじみの「貴子」と「永遠子」は、いっしょに時を過ごした家が取り壊されることになったのを契機に、25年ぶりに再会します。

現在の中に過去が流れ込む、時と記憶をめぐるお話で(「失われた時を求めて」みたいな)、「流跡」と同じく、これといった明確な筋を持っていないうえに、よくわからない「夢」というテーマがからみ、より複雑な感じになってますが、やはり、書かれてあることそのものを楽しめるか楽しめないかで、評価の分かれるところでしょう。

もともと詩的言語というのは、ストーリーや通りいっぺんの意味を破壊することを本質とするわけで、そこにわかりやすいストーリがあるとかないとかいっても、それこそ、あまり意味がないともいえます。

そんな中で、ぽやぽやしたここちよさを感じさせるのは、僕としては、さすがと思えましたが、一方で、朝吹さんが今後どのような方向で、小説を書き続けていかれるのか気になるところでありました。

夢の言語で描かれたストーリーというのがあるのかも知れません。

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Last updated  2011年04月29日 09時06分34秒
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