Show Case

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June 23, 2004
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カテゴリ: 【芝居】
@紀伊国屋ホール(千秋楽)

先週になって急遽行くことが決まりました。譲っていただいた席が中央ほぼセンターというとても見やすい席でグッド。原作は未見です。

良かった。とてもよかった。
前半の「身体を失くした百鬼丸・心を失くしたどろろ」という対比~後半の「身体と心の黒子の入れ替わり」への流れが活きていたと思う。
身体を失った百鬼丸という特異な設定を「声」「動き」という二人の黒子を使うことによって上手く表現していて感心。高橋嬢の声が非常に良く、黒子でありながらあえて隠さずに見せていたその表情と共に胸を打った。あれだけ舞台の上を動いていながら進むにつれてなぜか存在が気にならなくなるのが不思議。どろろ=山中さんの演技のせいもあると思うが、舞台上に存在するのはあくまで「のっぺらぼうの百鬼丸」で、本当に彼の心の声が頭に直接訴えかけてくるような錯覚を覚えた。

後半、百鬼丸が身体を取り戻し、それまで「心の力」としてただ物(刀)を動かしていた黒子(顔も隠してたので単なる黒子だと思ってた)の衣装が引き裂かれ、百鬼丸の「身体」として暴走し始める。
最初は逃げ回り、嫌々旅をしていたどろろが徐々に失くした「心」を取り戻し、最後はばらばらになった百鬼丸の心と身体を繋ぐその演技に涙ぼろぼろ。山中さんが出てくる度に泣いてた気がします。

そして客演の平栗あつみさんの演技が素晴らしかった!つか舞台のビデオで散々見ていたけれど、実は生で演技を見るのは初めて。設定的に「銀ちゃんが、逝く」を思い出しつつ、たまにセリフ回しがつか調になっている気がしつつ、切ない表情と悲痛な声にまた涙。

とにかく百鬼丸・どろろ・阿佐比という三人の力が強かった。

白眼童子の岡森さんは人外の魔物の雰囲気を上手く作り上げていたと思う。

途中で革命軍(時代的には一揆?)が蜂起するシーンがあるのだが、案の定出てきた赤い旗、真っ赤なマントや衣装、出方の演出で百鬼丸(身体)か瀬川梶之助が今にも♪闘うものの~歌が聞こえるか~♪と歌いだすのではないかとちょっとドキドキした(笑)いや、衣装的にはどっちかというとブライ様@キャシャーンだったんですが。
民族楽器系を使った生のBGM・効果音が非常に演出・戯曲に合っていたと思う。母と再会する藪の中のシーンとラストシーンは特に秀逸。
浄瑠璃ということで所々に「語り」を取り入れていたけど、百鬼丸を河に流すシーンは良かったが、部分的には多少浮いている印象もあった。いずれ再演することがあれば、もっと流れに馴染んだ形になるんだろうな…という程度だったけど。語り部分の「和」の伴奏と通常をBGMのクロスフェードさせる演出はあんま上手く行ってなかったかも。最初誰かが携帯鳴らしたのかと思ってしまった。
途中百鬼丸の身体の一部として、目玉の張りぼてを頭に被った二人が出てくるんだけど、「これじゃ目玉親父じゃん」と内心思っていたら岡森さんの台詞で「これは手塚ではなく水木の世界じゃった」というのが出てきて場内大爆笑。そうか、わかっててやってたのか(笑)

横内さんの戯曲は個人的に当たりはずれが大きいんだけど、今回は大当たり。高橋さんの声、母・阿佐比とどろろの演技あっての舞台だったと思う。初見が楽日でなければもう一回見たかった。





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Last updated  June 24, 2004 11:52:18 AM
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