灯台

灯台

2010年05月12日
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 緑色のフェルトを貼った記入台には、十数名の人々が群がって、

 「会社名・・・ 氏名・・・ 面会指定時刻・・・」

   ・・・肺を満たすニコチンが恋しかった

 (俺は携帯電話に手を伸ばしていた)

 ―――受付嬢がちらりと見たのは気のせいだっただろうか、
 そそくさと相手先の課長と予約をとり、書くもの書くもの、
 どうぞこちらへと目礼をかわし、ボールペンとびりりと破ったメモ帳の一枚を

 速いスピードで数字と指定された場所を書き殴る。

   ・・・眦のするどさ、まがまがしい一重を感じたまま、
      紺の地味な事務服を 毎日 そう毎日 
       間違っていく過程の戦利品のような気がした

 (知ってるか! ・・・電話に出て身体が、
 動くようになったらベテランだ)

 じゃあ失礼と数歩エレベーターへと向かいながら、あ、とボールペンが、
 まだ俺の指のなかにあって、それを右ポケットにしまおうとしていた。
 ちらり、と壁の時計を眺めてから、意を決して、受付に戻る。
 すると、受付嬢は、プラスチック製の名札を差し出してきた。

   ・・・夜空からはじけた花火のように 弾けて消えた


 あなた、こんな面倒くさいことをするのよ)

 照れくさくなった俺は、ぽりぽりと後頭部をかき、ありがとう、
 とボールペンを差し出し、それと引き換えに名札を手に入れる。
 そこには、ばっちり、俺の名前が書かれている。


      ささやかな参加者になったのを感じた瞬間≪つかのま≫
       それはとても正しいことに違いない

(知らないの? ・・・これを貰うために、
 あなた、こんな面倒くさいことをするのよ)

 エレベーターを昇れば、鼻歌混じりに踏み潰していく自分がいる、
 会社の人、同僚、そしてささやかな良心。
 そして仕事に慣れきって、胸の鼓動は波立たなくなるが―――

 せめて誰もが気づかない程度に 燃えつきて鎮まる

 ・・・祭りの終わりを







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最終更新日  2010年09月26日 01時32分32秒


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