灯台

灯台

2014年01月31日
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ト レ ー ニ ン グ ル ー ム ――

どうしても納得できない、と彼等は言う――・・。

 「 そうだな、俺も無理だと思う・・ 」

 覚悟を決めてきたのだ。(だから身体の奥に『 崩壊 』を感じる)選ばれた人々にとっての、永

遠的な観念。それが一刹那の間に、繰返しサインを送る。そしてそれが澱んだ沼のような脳味

噌にする。密集した臭い男たちの体臭が流れでるとともに、何時の間にか吹きはじめていた、



平無私のスポーツなら、晴朗な宣言なら純粋の美を望むのは、善いことでもあり自然のこと。

何かさせろ、それなら自分は納得する、と言っている。

 ( しぼんだ花を摘みとったり、度重なる海からの霧に落とされたりしたくない・・ )

 人間の奥深い臓腑を揺り動かす、不安のざわめきが、そこを通り過ぎただけで、要注意者を

ぞくぞく現われさせる。[ 懲役を求刑されるより辛い・・ ]

 平たい布が、呼吸を苦しくする。衰弱する。熱をうしなう。でもそれは嘘だ。ただ、放縦に

振舞っているだけだ。シミだ。自分よりも他人に打ち克つことが正義だと思っているタイプの

典型的な特徴だ。俺は惨めさと醜くさとを人一倍深く感じ、そして人一倍深く憐れんでいる。

 まるで自分の王国という題で、模型を作り続けている。蠱惑の力と情熱の炎。敵を斃さなけ



いっさい焼き尽くして見せる。神も彼が潔白ならんことを欲する。

エクト プラズム ・・

 「では、えーと、お前の名前は?」( 薬品検査の不行届! )

 グッと、身体をのけぞらせると、『 停止する、いっさいのコマーシャルメッセージ

胸をふくらませる。血の気の多い若者は嫌いではないが、そんなことで、無理矢理承諾するわ

けにもいかない。嘲笑的な憶測。庇護をうけているがゆえの醜聞。何だか、俺が使い捨て出来

る日雇いにすごい扱いをして、帰りに襲われる工事主任のような具合ではないか、と思う。明

確な感情を表現せよ、と思う。左右相称の非定形模様の無機的なうつくしさ。

 「ブロンクスです。」( 言葉が呪文のようにひびき、海藻のようにちぎれる。 )

 耳を引きちぎり、睫毛を引っこ抜いてやろうか、と思う。雪渓が白布を流したように、刻々

激しさを加えていく鳴動から、奈落へ。けばけばしい虎の皮の自粛へ。

 「では、ブロンクス――最初に言っておくんだが、俺はお前の気持ちがよくわかる。俺はい

ま、前時代的な扱いをしてると思う。神経質的な自動主義。敏感さ、用心さに対しての欠如が

あると思う。( 動かなくなる、 動かなくなる! )――お前達は花形だ。トレジャーハンター

ごときに、と思ってるかも知れない。その瞬間の感じのことだ・・動物的な、満足である。いや

そうでなくとも、お前たちはいわば最新設計のビルだ。風景の莫大な消費だ。計算された壁の

色で、心理をあらわすようなオートメーションがあちこちにある。お前はいわば、目隠しをさ

れて、部屋をぐるぐる回らされているような犬だ。お前の言いたいことは、こうだ。社会的な

矛盾をしてる。( 小刻みに揺れてる―― 控え目な動きに揺れている・・ )指が一体

なんだ。赤い血が流れているのはわかる、かすかに汗ばんだ生き物の汗ばみがひめやかな吐息

をする影絵のようなてのひらがなんだ。お前のスキルがなんだ。そう言いたい気持ちもわかる

。理屈をこねだした十代前半のようなお前だが、そういう革命的な情熱は俺の望むところだ。

ひどい歪形。お前たちの深さをまじさえたすばやいまなざし――・・」

 皆も、一様にうなずく。まず、変な奴と思われては困る。

 情熱が燃え尽きて抜けがらになったような、さみしさ――

 しかしこの喜ばしい物質が同時に、冷たい物質だ。操り人形。 誇大妄想 。 拡大解釈 ・・

蜘蛛の巣にかかった蝶を、抱擁と称するくらい――熱意にあふれた偽りだ。[

せよ!
]上流から木を流す時、浅瀬に乗り岩に堰かれ、どこかで、止まる。それが何

処であろうが、迫力と訴求力のポーズにすぎない。

 仮に、無智なおだてかたをしても、ほんとうの淋しさは、誰も知らない。

 少し斜めに歩を移すと、向うの崖に通ずる一条の道がたえだえに見られる。そこがお前の道

だ。お前はまだ、本当の川の流れを見つけていない、と言えるだろうか。微熱が出て、眼にう

つる世界がかすかに消耗されてゆく。引け目は、簡単に補償や、保険を欲しがる。

 それでいて、まともさに対して一切の眼を瞑ろうとする。

 「でもお前はいま、ギャングどもと一緒だ。」と俺は指摘した。

 少し怯んだような気配があった。( 知覚をうしなってしまった―― )話せばわかる相手が、鉄

面皮だったからだ。眼に映る過去は、映らない時と大差ないほどに、貧弱。愉快で、変てこに

あくせくと、滑稽に通過してゆく。( 赤道へと――。 )

 まるい地球儀にふれると、くぼんでる、欠陥商品。口から、風が生まれ、転げ落ちるように

、臀部へといざなう。放屁。今までテキパキ動いてきた人間が、急に人形になったように茫然

と俺を見続ける。救済はない。お疲れ様と、俺はお前の肩を叩いている。

 「お前に決定権は一つもない。秩序は俺が作る。未開の段階において、お前はただ、素朴で

わびしい模倣を得ているだけだ。異常な成績。自尊心の回復・・お前は劣等感を克服するために

、がむしゃらにやれると言うかも知れない。だが、俺はお前のマシュマロみたいな感情の性質

に、いちいち思想や、安定的な言動をすることはできない。貧困だ。想像力も貧困なら、貧困

のどん底に蠢めいている白蟻みたいなものだ。はっきり言って、邪魔だ。時間の無駄だ。お前

等はみんな口癖のように、溜息をつきながら、どうして、と言う。わかる。お前は同じ酒が飲

みたい。俺がお前をきちんと指導してやれば、お前は道理から外れることはしない。俺の所ま

で来たい――自分は猿じゃない、人間だ。きちんと扱ってくれ。握手なんかで俺の才能を見極

めないでくれ。そうだ、でも、そういう人間の自尊心ほど、猿だ。ついでに言えば、ザルだ。

世間知らずを強くする。俺はお前を慰めることはできない。他を当たれ、女に腕まくらしても

らえ。繰返すが、俺はお前に命令してる。丁寧にこれ以上説明せよ、ということはできない。

俺はこんな若者の展覧会みたいなシュールレアリスムの状況自体が、不快だ。お前には最初か

ら上下関係がある。小利口な愚鈍な群れの中で、他人の檻を見て勝手に吐き気しているような

ものだ。モヤモヤが嫌なら川で泳いでこい。だがそれに反発を感じる必要はない。お前はこれ

から無限の努力をして、俺を見返せばいい。それだけだ。失せろ。」

 と、俺は挑発する。相手はもちろん、カンカンになる。傷口を酸をそそぐ――ようなもの・・

でも、キャラメルが欲しいのか? それともドロップが欲しいのか?

 しかし、俺が優しい言葉を吐いた所で、どうせ、納得がいくわけはない。ただ、根も葉もな

いあてこすりが底に残り、提供されるのは、防衛本能からの不干渉だ。善意の押しつけは不毛

だ。贅肉を緊張させたって、皺はとれない。半ば地面に埋まりながら、俺のことを思うだけだ

――これは避けて通ることはできない人間同士の対立だ。空間を生物が電波と同じ速さで輸送

される。生ぬるい異臭・・首や手足から、フェロモンを発散させ、感情を増幅させる。

 ( 君は空き巣狙いだ! )

 「頼むから、納得のいく説明を聞かせてくれ。俺はこの兵の中でも、一二を争う身体能力を

持ってる。生まれつき義務を拒まない性格もある。強くなりたい・・それに、今回の参加は、俺

自身とてもいいことだと思ってる。できうるなら、アンタの指導を受けたい。はっきり言って

、アンタの言ってることもよくわかる。俺は、アンタの規格において外れたんだろう。何か理

由がある。それは絶対だ。わかる、でも本当にそれは確実なのか。俺は絶対に、先生を後悔さ

せたりはしない。」

 「うん、わかる――俺が、命知らずの兵士が欲しい時なら、お前を一番にあげる。」

 それは予想外という台詞が一番妥当なのかも知れない。

 「だがな、お前には精神面の弱さがある。本当は言うつもりはなかったが、お前のそれが、

決定的な弱さだ。お前は、それが欠点だと気付いていない。お前みたいな奴を何度も見てき

た。自分なら絶対にやれる。お前の場合は、肉体に対する過度な信頼だ。そしてそれが、お前

を駄目にする。ナルシズムとか、精神の成熟とか言ってるんじゃない。お前にはまだ何かが足

りない。それが、俺にはよくわかる。いまのままいけば、お前は近い将来、モンスターに喰わ

れる。俺は賭けてもいい。」

 ひびの入ったように、奴の顔つきが変わった。獅子奮迅、阿修羅・・血を流すほどの努力が、

吠えさせる。求められた行為はしかし自分の意志ではなく本能のむなしさであるかも知れな

い。あれは何だ?・・と尋ねたならば、彼はこう答えたかも知れない。血の昂ぶり、と。

 「俺は我慢できない。」

 そうだな、と俺は思った。( お前は傷口に手を突っ込んで血を流したい。 )わから

ないんじゃない――わかりたくない・・動作や表情の影が、そう言ってる。俺は強い。確かにア

ンタにはかなわないかも知れない。でも、アンタの意見が的外れだという自信がある。

 いつでも人の心には、独特の遊びがあり、独特の悪戯がある。虫がいる。蟷螂に、ゲジゲジ

に、蜈蚣に、足長蜘蛛。それが人の心を狂わせる原因でもあるかのように――・・。





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最終更新日  2014年02月01日 02時46分16秒


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