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2005.04.09

父、帰る・・・ロシア映画

(4)

テーマ： DVD映画鑑賞(14233)

カテゴリ：～2006年　映画・ドラマ

ウラジミール・ガーリン・・・・・・アンドレイ(兄）
イワン・ドブロヌラヴォフ・・・・・イワン(弟)
コンスタンチン・ラヴロネンコ・・・父

ストーリー
ある日突然、写真でした見たことがない父が帰ってきた。
今までなにをしていたのか、何で戻ってきたのか、なにもわからず戸惑う兄弟。
そんな二人の息子を父は旅行に連れ出した。
道中、高圧的な命令をする父。
その父を慕う兄、徐々に反抗的な態度を取る弟。
この3人の旅行は・・・・?

～～～～～～～～～

ロシア映画って初めてだなあ。

この映画は、父親がどんな事で家を離れたのか、どんな暮らしをしていたのか、何故また戻ってきたのか、とにかくそういう事は一切出てこない。
とにかく父親が戻り、突然｢ドライブに行くぞ｣と宣言される。
12年前に出て行った父親の顔は、写真でしか見たことがない。
母親に、｢パパがベッドで寝ているのよ｣と言われ、そっと覗き込み慌ててアルバムで確認する兄弟。

兄弟の父親に対する接し方。
物心ついてから、父親と暮らした事のない二人にとって、父親とどう接してよいのかと戸惑う。
しかし兄は、割とすぐに父親の存在を受け入れる。
父親の厳しい言葉や命令も、従順に受け止めている。
父親の大人の男というものに憧れと尊敬をもっているのだと思う。

弟の方は、最初は父親が大きな包容力があって自分を守ってくれる存在と思ったのだが、厳しい言葉や、時に乱暴な物の言い方に徐々に反抗心を募らせるのだ。
反抗心と、上手く父親と接する事ができず、ますます意固地になっていく。
父親に自分の気持ちを気がついてほしいという甘えももちろんその陰にあるのだろう。
なんだか兄だけが上手く父親となじんでいく寂しさもあったのだろうな。

そして父親。
赤ん坊だった二人の息子しか知らない彼が、大きくなった息子達にに戸惑いがあったのかどうか・・
父親としての義務感か、彼の息子に対する言葉は確かに高圧的ではある。
父親の存在になれていない二人にとって、のっけからあの態度はまずかったかもしれない。
たぶん、父親も息子とどう言葉を交わしていいのかわからなかったのではないか。
まるで、軍隊の新兵訓練的な命令であり、教育なのだよね。
でも、この小旅行で父親は父親にしか教えられない事を息子達に教えようとしていたように思うのだ。
ただ、それ以前の心の絆がなかった・・

父親が、どんな生活をしていたのか、どうしても想像をめぐらす事になる。
刑務所に入っていたのか、最初はそう思った。
しかし、彼の命令口調はほんと軍隊みたいだなあと思うのだ。
でも、結局やっぱりわからなかった。
今、彼がどんな仕事をしているのか、それもわからない。
彼は謎ばかりだった。

そして、息子達の成長。
兄はすっかり仔犬のように父親を信頼し、彼のする事を吸収しようとしている。
弟は、かなり反抗的で、すねている。
そんな弟に、父親は腕力を振るうのかと思っていたのだが、そういう事は一切なかった。
根気よく彼と接しているように思う。
しかし、言葉は足りないかもね。

今まで味噌っかすのように兄の後ろにくっついて遊んでいた弟。
それが、父親に反抗心を抱くようになって兄よりも大人びた考え方をし、時に兄をリードする場面が見られる。
ところが、後半ある事件が起きてから、兄の急成長振りには目を見張る物があった。
なすすべのない弟をリードする兄は、もう大人だった。

～～～～～～～～～

謎の部分や、知りたい事があるのだけど、その説明はなくてね。
｢あの箱｣はなに？あ～、知りたい！
でも監督も中身は考えてなかったのかも・・・

父親役の、コンスタンチン・ラヴロネンコ、かなり渋くていいです。
表情を隠した押さえ気味なのだけど、いるだけで存在感がある。
息子にとっても、｢居るだけで大きな大人の男｣を見せ付けているだろうな。

兄役ウラジミールは、気弱な感じのやさしそうな少年。
しかし、この映画の撮影後、不慮の事故で亡くなったそうだ。
弟の演技に隠れているものの、彼の成長振りはかなり良いなあと思ってみたのに、残念な事だ。

そして、この弟君、実際は明るい少年のようだ。
ここでは最初は味噌っかすのチビ助で、それが父親と行動するに連れ、父親に対して反抗し自分の中で葛藤し成長していく、そんな役を好演していた。
彼のすねた顔は、かわいいようなかわいくないような、そこのところが、ピッタリなんだね。

この父親がどんな事をしたいのか、先が読めずにちょっとサスペンスぽくて、しっかりラストまで見た映画だった。

それにしても、あの箱の中身が知りたかったな～～。

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