落ち葉が散るように・・・

落ち葉が散るように・・・

光~shininying~



僕は何かを失った。

白い煙がふわふわと宙に溶けていった。

この薬は僕の体を蝕んでいく。

でも僕はそれから離れる事は出来なくて。

そんな勇気も無くて。

ただ我武者羅に生きる事すら知らなくて


今の僕には光に向って走っていくほどの体力(ちから)もなくて。

ただ光が闇と溶け込んでいく様を見届けるしか出来なかった。

無力な自分が悔しくて殺してしまいたかった。

光が何かを見極めるには僕の眼は開きすぎていた。

闇に住むには僕の体は弱すぎた


君は言ったね。

「何が欲しいの?」

僕は答えに困りただ首を傾げた。

あの時の僕にはそれしか出来なかった。

今なら言える。僕は光が欲しい。

掴めなくても。

届かない事を知っていても。僕は欲しい。


今の僕には光に向って叫ぶしか出来ないだろう。

でもただ見届けていたあの時よりは強くなっている。

無力な自分にもできる事はあった。

叫び続けるには僕の喉は枯れすぎていた。

枯れきった頃僕の体はもう消えかけていた。



消えかけた僕を温かい光が包む。

僕の目指していた光とは違う光が僕を包み込んでいた。

それは温かくて優しい光だった。

今の僕には僕にとっての光が何かわかる。

光は今はまだ届かない場所にあるけど僕は走る。

動かない足を引きずりながらでもいい。



走り出すには少し遅いスタートだった。

ハンデも抱えすぎていた。

走り始めた時から僕にはゴールが見えていたんだ。

前には見えてなかった。

でも今ははっきり見える。はっきりいえる。

あれは…。あれは・・・。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: