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2004年04月19日
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カテゴリ: 紫苑の日常
 日曜日、夕方の上り東海道の乗客は極端に少なかった。
 わたしは二宮駅から乗車し、がらがらのボックス席に、一人で座って、ぼんやりと窓外に視線を泳がせていた。頭の中では、別のことを考えていたので、次の大磯に止まったことすら、思考の外であった。
 酒臭い臭いに辟易しながら、向かいに座った男に目をやった。片手に缶ビールを持った男が、なにやらしきりと話しかけてきたからだ。
「ねえちゃん、渡辺真知子?俺、大ファン。何か歌って」
 無視をして、窓外へ再び視線を移した。
「ねえちゃんは、別嬪さんだねぇ。ラブミーテンダーラブミーツー」
 呂律の回らない舌は、すでにもつれまくっていた。
「ねえちゃん、キスして良い?」
「馬鹿いってんじゃないわよ」

「おー、恐い。冗談、冗談」
 そう言いながらも、また同じセリフを繰り返す。
 うるさくて耐えられなくなった。
 わたしは、空いていた隣のボックス席へ移った。
 それでも、彼は回らない舌で、下品な言葉を投げてきた。
 実際のわたしは、悩み事で頭がはちきれんばかりであった。怒りが湧いてきて、喧嘩を吹っかけてしまいそうになった。それを必死でこらえて、無視をし続けた。

 わたしが先に下車したのだけれど、彼は背中に言葉を投げてよこした。
「ねえちゃんのために人生が狂った」
 とか、なんとか。
 狂うわけないだろ、初めて遭ったばかりなんだから。


 馬鹿なセクハラオヤジ。
 わたしはこういう手合いが、一番嫌いなのだ。
 不愉快さを、冷たいビールの液体で流し込んだ。





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最終更新日  2004年08月28日 17時08分07秒
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