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2004年05月19日
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カテゴリ: Essay
 今朝起きたら、テーブルの下に大きなゴミ袋が置いてあった。中身はすべて、シュレッダーされた写真だった。
 ああ、ようやくすべてが吹っ切れたのか、と思った。
 袋の中に手を突っ込んで、細く刻まれて姿の変わった写真を掴んだ。それは、刻み切れずに、長女の笑顔の上に幾筋も白い線が走った破片だった。
 わたしは少し悲しかった。これも彼女が過ごした青春の一頁であるのに、と。
 傍らには、前の彼が好んで吸ったタバコとジッポーのライターが置いてあった。床に座り込んで、それを吸いながら、深夜一人で訣別のセレモニーでもしたのだろう。ジャックダニエルのボトルも空になって転んでいる。一年前の彼女の笑顔は想像以上にあどけなくて、そこに、本人の悲しみの深さをわたしは感じた。

 新しい彼氏ができた時、わたしには複雑な思いが交錯した。彼女が、どれほど前の彼に恋こがれていたのかを、知っていたからだ。遠距離恋愛をもどかしく思い、気儘な彼からの連絡に一喜一憂していた。この恋が、万が一にも破局するとき、彼女はきっと精神を病んでしまうだろう、と思ったくらいだ。
 アルバムは、彼女が会いに行ったときのもので、すでに数冊たまっていた。いわば、大事な大事な宝物のような写真だったのだ。

 でも、今、こうしてそれらと訣別できたのだ。

 新しい恋は、彼女を本当に明るくチャーミングにしてくれた。

 ゴミ袋を捨てようと玄関まで運んだけれど、思い直して元の場所へ戻して置いた。
 眠っている長女の顔をみて、わたしは、少しほっとした。
 彼女は、今こそ確かな道を歩き始めたのだから。







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最終更新日  2004年08月27日 15時44分05秒
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