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2004年12月21日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay


 袋に入れた柚子をそっと押してみると、懐かしい母の匂いが広がった。

 冬至の夜。
 亡き母が手拭で縫った袋には、いつも四~五個の柚子が入っていた。
 袋の外からぎゅっと抑えると、中から優しい香りが辺りに散らばった。
 それでようやく、ああ、今日は冬至なのか、とわたし達は気づかされた。

 昔の人は、そのまた昔の人に教わった通りを黙々と踏襲してきた。

 母はどんな風に、四季を生きてきたのだろう、と…。

 寒い冬の朝。
 目が覚めると、母はもう居なかった。
 朝暗いうちに起きだして家族分の食事を用意し、一番列車に乗るためだった。 
 当時、母は最寄駅から七つ先のT市まで仕事に通っていた。
 真っ暗で凍てついた駅までの道は、母の足で悠に三十分はかかる。
 わたしは温い布団の中で、ピシャンと閉まる玄関の引き戸の音を聞いていた。
 早く楽をさせてあげたい、と思いながら。

 柚子の匂いで、もうひとつ思い出した。

 我が家の、祭定番の鯖寿司は柚子の香りがした。
 母の十八番だった。
 今では何処の家庭でも生姜や柚子を入れて作るけど、当時は母だけのオリジナルだった。
 大嫌いだった鯖寿司は、いつしかわたしの大好物となっていた。


 これからも母を鑑に素敵に生きていけたら……と。





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最終更新日  2004年12月22日 15時33分14秒
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