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2005年07月07日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay


 だから七夕が大嫌いだった。
 大好きだった彼の結婚した日は、七夕だったから……。

 その日。
 ホテルの大きな七夕飾りの下で、わたしは身じろぎもしないでそれを見上げていた。
 時折、ほろほろと涙が頬を伝わったけれど、拭いもしなかった。

 「何か願い事を書きましたか?」

 「いえ。願い事はもう叶いませんから」
 「おや。どうしてですか?」
 「だって、今日は大好きだった彼の結婚式なのですから」
 「人生はね、それだけじゃないですよ。きっともっと良いことがこれからもいっぱいありますよ」
 M氏はそこに置いてあった短冊に、さらさらと何かを書いて笹にぶら下げた。
 「人生ってね、案外捨てたものじゃないからねぇ。諦めないでくださいよ。それじゃあ」
 と、右手を軽くあげて、彼はその場を去って行った。
 その後姿を見送りながら、わたしは頬の涙を手の甲で拭っていた。

 翌年の七夕の日。
 わたしは、おかげさまで次の恋をしていた。

 人生は捨てたものでは、なかったなー……、と。










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最終更新日  2005年07月07日 16時30分45秒 コメント(2) | コメントを書く
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