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2005年12月18日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay


 わたしが生まれ育った中国地方の山間部も、例外なくとても寒かった。
 現代のように環境が整っているわけではなく、暖房の手段はせいぜい掘り炬燵で、後年石油やガスストーブが出回るまでは、そんなものだったと記憶する。
 手も足もシモヤケで赤く膨らみ、最後にはそこが崩れて痛い思いをしたものである。
 その時の名残が、今もわたしの両手にしっかりと刻まれている。

 小学校の三年生か四年生の頃。
 父が知り合いに預けた自転車を、わたしは取りに行くよう言いつけられた。
 正直、断りたいくらい寒い日の午後だった。
 川沿いの堤防をとぼとぼと歩いているうちに、天候は急変し粉雪が寒風に舞い始めた。

 でも冷たい向かい風にあおられて、全く前に進まない。
 仕方なく自転車を押して歩いた。
 歩いても、歩いても堤防は際限ないように感じられた。
 終いには鼻水が涙に代わり、寒くて辛くて情けなかった。
 だから、冬は嫌いなのよ、と大声で泣いた。
 そんな記憶から、いつしか冬は苦手で大嫌いになっていた。

 秋の終わり頃、わたしは本当に憂鬱になったものである。
 冬が来なければ、と真剣に思うのだった。

 この冬は、近年になく寒いらしい。
 今朝の寒さに、わたしはふと幼い日を思い出した。

 と、大笑いをした父の顔が浮かんだ。






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最終更新日  2005年12月18日 22時06分20秒 コメント(4) | コメントを書く
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