PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

コメント新着

紫苑(しをん) @ Re[1]:日々の出来事(11/24) しの〜445さんへ 本当にご無沙汰していま…
しの〜445 @ Re:日々の出来事(11/24) おはようございます。☀ 今日の三重は快晴…
しの〜445 @ Re:カウントダウン1825(10/07) 紫苑さん、こんばんは~☆彡 何気なく、過…
紫苑(しをん) @ Re:ともだち(02/01) ものすごい亀レスでごめんなさい。 美味し…
しの〜445 @ Re:ともだち(02/01) こんにちは~☀ 私もそう思います。 学生…
2006年04月02日
XML
テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay

 母が桜の花びらと共に散って、もう17年の歳月が過ぎた。
 生きていたら90歳はゆうに超えているのだけれど、わたしの中の母は、やはりあの階段をとんとんとんと一気に駆け上る若き日の姿が浮かぶ。
 働き者で、貧乏のどん底にあっても弱音を吐いたことがない。
 『貧乏人の子沢山』とはよく言ったもので、七人の子供を持てば稼いでも稼いでもお金が足りない、という日々だったに違いない。
 それでも一度も嫌な顔を見せたことがないのだ。
 見るに見かねた親切な隣人に、養子に出してはどうかと打診されたこともあったそうである。
 でもは母きっぱりと断った。
 一人娘で何不自由なく育った母は、その寂しさを誰よりも知っていたからだった。

 二人の娘の子育てにさえ、時折息切れをするわたしは、母ならどうしたであろう、あの時どうしてくれたっけ、といつも母の姿を思い浮かべるほど、今でもわたしの人生のバイブルだ。

 それにしても、やはり母には手が届かない思いがしている。
 些細なことで揺らぎ、娘の恋愛でおたおたしてしまう自分がいる。
 母が生きていたなら、なんていうだろうか?
 「ケイちゃん。娘を信じなさい」って、笑うだろうか。

 「母さん、わたし美人?」って聞くと、
 「美人じゃないけど、あなたは可愛いよ。性格がとっても可愛いよ」
 と笑った。
 「嘘でも良いから、一度で良いから、美人だと言ってよ」
 「だから、美人じゃないけど可愛いってば」


 母のまっすぐな気持ちは、いつもわたしのハートに届いていたことを、今懐かしく思い出す。
 母に一度もけなされたことのない自分の人生を振り返ると、偉大だった母にどこまでも頭が下がる。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年04月09日 20時21分30秒 コメント(2) | コメントを書く
[Essay] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: