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『包帯クラブ』
この本も今回購入した箱に入っていた一つだ。天童荒太の作品はどれも心の内面を扱っ
ていて面白い。どれもサスペンス調だったが、この『包帯クラブ』は違う。10代を読者とし
て意識したのか軽いタッチで、他の作品のように読後に重たくやるせない感じがしない。で
も扱っているのは心の問題であることには変わりはない。
心に疼きを感じていた高校生が、偶然出会った変な男の子に自分の気持ちを見透かされ
たように傷ついた心象の一部に包帯を巻いてもらった。不思議と気持ちが癒されたことで
悩んでいた親友にも試してみると同じように心が晴れたという。そこから友達を誘って「包
帯クラブ」が結成され、同じように何かの原因で落ち込み悩んでいる人たちの原因となっ
たモノに包帯を巻いて携帯で画像を送る活動が始まる。
人は何らかの心の痛手、心に傷をもって生きている。その傷をつけたのは心ない人の言
葉であったり行為なのだが、その傷を癒すのも人の優しさだと言っているのだろうか。二
か所でホロリとさせられた。僕は本を読んだり映画を見ていて何よりも幸せを感じるのは
このホロリだ。いい映画、本に巡り合ったと実感するのは、このホロリとした時だ。
この本は2007年に映画化されたという。
一度見て観てみたい映画だ。