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竹炭もいいが、その前に竹細工に挑戦
家の傍らの竹は冬場はヤエ(山羊)の餌になるが、他に使い道がない。
春に生えてくる乳児のタケノコはいただくが、必ず取り残しがある。気がつかないうちに幼児期を終え少年期にさしかかっていたり、青年から完全に成人してしまったものなどが20本ほど見つかる。少年期(勝手に2メートルくらいと思っている)くらいだと引っ張ったり、足蹴にして折るのも容易だが、青年やら大人の竹は足蹴にもできない。
何よりも切った後の使い道があまりないのに困っていた。先端の細いほうは枝を払って野菜の支柱に使えるが太いほうは竹藪の横に積んでおくしかない。前から竹炭を焼こうと思っていたが窯作りが容易でない。竹炭にすれば畑にまいて土壌改良にもなるし、焼いた時の副産物の竹酢液も消臭や殺菌・防菌・防虫効果などがあり幅広く利用できそうだ。
暇(毎日暇なんで取っ掛かりかな)を見つけてドラム缶窯を作ろうと思う。そのためのドラム缶も2本知り合いから頂いた。あとはその気になるだけだが、趣味の世界だから逼迫するものもなく、これがなかなか足元に火がつかない。
そうこうしているうちに竹細工に興味を持った。先住者が遺していってくれたザルや籠がとても便利で重宝している。その籠の一部が壊れてきたのだ。自己流に修理しながら使っていたが使い勝手がいま一つだし見てくれも良くない。というわけで本を図書館から借りてきて読んでみた。これは一筋縄ではいきそうもない。奥が深そうだ。しかも実用的。体力もさほど使わなくてよさそうだ。それに加えて家の周りには遠慮容赦もなく竹が生え出てくる環境だ。
というわけで軽佻浮薄な私は、またまた未知の新しい世界に迷い込むことになった。参考にした図書は『図説 竹細工の実際』(富民社 佐藤庄五郎 昭和25年発行 430円) 『竹細工入門』(日貿出版社 稲垣尚友 平成21年発行 3500円)で、どちらも県立図書館から借りた。後者は写真がついて、編み方もひごの色を変えて解りやすいが、籠の種類や編み方の種類が少なすぎて物足りない。入門とあるので仕方がないことかもしれない。反対に前者は戦後間もなくの出版でカラーはおろか写真はもなく図のみの解説だが、内容が豊かだ。ただ旧字で、長さも寸尺という世界なのは、戦後生まれには少々つらい。値段が時代を感じさせる。
1. 竹を切る
竹を切るには鋸か鉈を使う。家の竹林は密林状態で振り上げる余地がないので竹用の目の細かい鋸を使っている。年数は用途によるが縁用は若くてもいいというが、大体3年以上5年くらいのものがいいという。竹の種類も真竹は節間が長く籠作りに最適なようだが、ここには孟宗竹しかない。孟宗を使っている地域もあるので、無いものねだりはしないで自分のところにあるものを使う。
2.竹の油抜き
竹の表皮には油がコーティングされていて、それゆえに雨にあたっても腐敗しないのだが、根元から切った場合はこのコーティングされた表皮だけが残って息をしていないので内部の水分だけが残って腐敗していくそうだ。竹のひごをつくるには、まずこのコーティングした油を取り除く作業が必要となる。
その方法は3つ紹介されていた。一つは苛性ソーダーを入れた湯で煮る。二つ目は火であぶり溶け出したところを布で拭き取る。三つ目は木灰をつけたタワシでこすり洗い落す。ここでは後者の方法を使って油抜きをした。
右2本は油抜き前、次は油抜きの途中、左が抜き終わったもの。
この油抜きした竹を日陰に1月くらい乾燥させておくと完成。その頃に、次回のひごを作る作業を紹介しよう。
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