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「さぁて、仕事終わった、終わった。」

「あぁ、帰ったらまた黒雪姫にパシられるんだろうな。」

「「「「「「「ハァ~。」」」」」」」

小人たちがため息混じりに話しながら自分達の家(もはや黒雪姫の家)へ帰ってくると、家の前で黒雪姫が倒れていた。

本編『白雪姫』では、小人は悲しむ場面なのだが、これはあくまでも『黒雪姫』。

そう、甘くはない。

小人達はそろいもそろって同じことを考えていた。

(((((((ラッキー☆)))))))

そして、2人の小人が家の中へ入り、ドラキュラが眠ってそうな感じのする棺おけを出してきて、いそいそとその中に黒雪姫を入れ始めた。

どうして、棺おけがここにあるのかということはつっこまないでいてあげよう。

他の小人も手伝い、黒雪姫は、『眠り姫』とは程遠いドラキュラへと化した。

ちなみに言っておくが、黒雪姫は、倒れているだけであって決して死んでいるわけではない。

それは小人たちもよーく分かってる筈である。


「「「「「「「フ、これで完璧だ。」」」」」」」

いいんですか、小人さん!?

小人たちがそう言った瞬間、林の向こうから男が白い馬に乗ってやってきた。

着ている服からすると、きっとどこかの王子なのだろう。

これが世に言う白馬の王子ってやつなんだろう。

「やや、これは美しい!!」

王子が棺おけに入っている、ドラキュラへと化した、黒雪姫を見て言った。

美しいことは美しいんだけどね、王子。

腹の中は、素晴らしくどす黒いよ。

悲しい現実さ。

「どうして棺おけに入っているんだい?」

王子が小人に聞きました。

「死んだんです・・・?」

死んでねぇよ。

「生きてたよな?」

「生きてたな。」

「気絶してるだけなんだな!?」

そう言うと王子は嬉しそうに黒雪姫を抱き起こし自分の方へ引き寄せて黒い笑みを浮かべながらこう言った。

「姫は王子の口付けで目を覚ますものだろぅ。」

兄さんそれは『白雪姫』と『眠り姫』のお話だろ。

これは『黒雪姫』だ、そんな甘い設定など無い。

そして、黒雪姫に口付けをしようとした瞬間・・・

「何しやがんだ。変態野郎がっっ!!」

そう言い、ボディーブローを喰らわせアッパーをかけ、浮いた体に見事なまわし蹴りをくらわせました。

黒雪姫復活!!

そして、ケホッっとせきをしてのどに詰まっていた毒リンゴを吐き出した。

毒リンゴは口に入れた瞬間即死になるというものだったのにやはり黒雪姫、びくともしない。

「痛いじゃないか、黒雪姫。」

あの黒雪姫のボディーブロー+アッパー+まわし蹴りを喰らったのに王子は生きている!!

それどころかピンピンしている。

そのうえにこやかに笑っている。

そして、今度は黒雪姫の顔から血の気が引いた。

「み、帝!?」

そうこの王子、黒雪姫の知り合いなのだ。

帝(ミカド)は王子の名前。

帝は、黒雪姫の許婚的存在なのだが、黒雪姫は帝を見るとこれでもかと言う
ぐらいの拒絶反応を起こしてしまうのである。

そして、黒雪姫の底知れない強さも帝の打たれ強さにはかなわなかった。

「さぁ、愛の口付けを。」

「嫌だー、ボケー!! と言うより貴様が何でここにいるんだ!?」

「愛の力さ。」

「気色の悪いことを言うな!!」

「君の母上に聞いたら帰らずの森に行って死んでるって聞いたものだからね。」

「あんのクソババァ。誰が死んでるって。毒リンゴの次は、この馬鹿王子かよ。」

「さぁ、愛の口付けを。」

「うっせぇ。」

黒雪姫が睨みながらそう言うが、顔からはいつもの余裕の笑みも消え、冷や汗がこれでもかと言うほど流れ、じりじりと後ずさりをしていた。

一方、帝は、満面の笑みを見せ、壊れたように「さぁ、愛の口付けを。」と言いながらこの世の終わりという顔をする黒雪姫の方へ迫っていった。

なんとも不幸な黒雪姫である。

なんでも、黒雪姫が帝を嫌いなわけは、生理的に受け付けない、顔が無駄に爽やかだ、性格が嫌、顔が嫌、オーラが嫌、全てが嫌いだそうだ。

もはや、救いようが無い。

それを知ってか知らずか爽やか笑顔で帝が黒雪姫に近づく。

「I LOVE YOUだよ、黒雪姫。」

「ぅゎわあああぁぁぁぁ――――!!キモイ、寄るな!!死ね!!お願いだから死んでくれ。ってか殺してやる。」

「黒雪姫に殺されるのなら本望だよ。一緒に死のう!!」

「意味分かんねぇよ。」

こうして、後ずさりしながらの黒雪姫とじりじりと迫る帝はそのまま森を出て、黒雪姫の家まで戻りました。(アリエナイ)

母は、『殺しそこねたか。』という顔で黒雪姫達を出迎えました。

その後、母は屋根から逆さづりにされているところを通りかかった町人A・Bに助けてもらったそうな。


あ、ついでに、この何年後かに黒雪姫と帝は結婚し、(色々裏事情有り。)2人の間には子供ができました。

その子供は、男の子で黒雪姫に瓜二つの顔で、とても美形でした。(黒雪姫曰く、そりゃー、私の子だからな。あいつに似なかったのがせめてもの救いだ。だそうです。)

その子供が黒雪姫の性格まで受け継いでいる事は誰1人として知らない。(黒雪姫の家の鏡だったら知っているかもしれんが)


とりあうえず、めでたし、めでたし。



―あとがき―

個人HPから引っ張り出してきました。
昔書いたやつですね。
気が向いたら続きも書くかもしれませんね。
主に息子中心。
帝が黒雪姫と息子からいじめをうけてたらいい。(オイ





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