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梶原家次男、梶原 最はこたつでぬくぬくしながら、兄弟と一緒に正月特番を見ていた。
5分ぐらい鳴り続いてるチャイムを無視しながら。
“初詣に行こう”
「サイちゃん、アンタでしょ~。シンちゃん、リョウちゃんと初詣行くんでしょ~。」
「えー、ヤだー。外寒いから出たくなーい。」
「お父さーん、お客さん来たから出て~。」
「ダメだよ、ソラ姉。お父さんもお母さんも2人で初詣行っちゃったよ。」
「空ー、玄関行けー。」
「サイちゃん、お兄様に向かって何それ。ってか、絶対シンとリョウだろ。出なきゃいけないのはサイちゃんだよ。」
「えー、誠司さんかもしんないじゃん、姉さん出てよ。」
「誠司は、こんなチャイムの鳴らし方しません~。ってか、5分も出なけりゃ帰るわよ、フツー。」
「サイ兄、出なよー。」
「うー、わかったよー。あーあー、うぜぇな。」
嫌々ながら、コートを羽織って玄関のドアを開けると、チャラ男とエロメガネの2人がいると思っていたが、もう1人いた。
そのもう1人がチャラ男とエロメガネの前に立って、チャイムを鳴らし続けていた。女の子だ。
あー、誰だったかなー。確か2日前ぐらいに見たはずなんだけどー。思い出すのもめんどくさいやー。
「よー、最。あけましておめでとう。」
「あけましておめでとう、最。てめーさっさと出てこいよ。」
「あけおめー、カジ。」
「おけましておめでとう、愚民共。何コレ何でいるの?」
「お前新年1発目でソレかよ。」
「コイツが何でここにいるのかなんてコッチが聞きてぇよ。」
「何でいるの、雪美?」
「2日前に会った時に初詣一緒に行こー。って言ったじゃん!」
「えー、承諾した覚えがなーい。」
何故か来てしまっている女は、平河 雪美(ひらかわ ゆきみ)。
俺が昔通っていた空手教室で一緒だった同い年女だ。
そして、何故か高校が同じ・・・
「ま、いいや。行こうか。」
「オイ、最ちゃん。行くって家にか?何家の中に戻ろうとしてる。」
「寒いじゃん。初詣なんてめんどくさいよ。3人で行ってくれば。」
「初詣は大事なんだぞー。行くぞ、カジ。神社の近所のたこ焼き屋でたこ焼き買ってやるから。」
「し、仕方ないなー。」
「物につられるなよ。」
「さぁて、行くぞ愚民共ー。」
「「・・・おー。」」
何故だか嫌そうな顔をしている亮介と新平を従えて、神社に向かった。
雪美は隣を歩いている。何故だ。
雪美が話を大量にふってくる。返事は「へー」、「ほー」。完璧だ。
きっちりたこ焼きはおごってもらった。
やはり、たこ八(店の名前)のたこ焼きは美味いな。たこがでかいし、外はカリカリ中はトロトロ。
常連+俺の巧みな術(?)でたこ八のおっちゃんにたこ焼き3つおまけしてもらったし。
ふー、満足、満足。
さて、帰ろうか。
「待て、最ちゃん。何故帰ろうとする?」
「え?たこ焼き食べたしもうすることないじゃん?」
「初詣に来たんだよ、俺達は!!たこ焼き食いに来たんじゃねぇ!!」
「そうよ、カジ。神社すぐそこじゃん!」
「えー、階段のぼるのめんどくせー。」
「ほらほら、若いのに、体動かさなきゃ。」
「うー。」
しぶしぶながら、目の前に神社へと続く階段をのぼった。
なんて長い階段。
のぼりきったところに見えるのは、人、人、人、人、人!!
人ばっかりー・・・わー、帰りたーい。
どうにか人ごみかきわけ進んでいき、賽銭箱の前にたどりついた。
えーと、十分ご縁がありますようにで15円だっけ?
まず、コートのポケットに手を突っ込む。
その後、ズボンのポケットに手を突っ込む。
もう、ポケットは無い。
「あぁ、サイフがないや。亮介、15円ちょうだい。」
「はぁ?サイフ忘れたのかよ。わーったよ。やるんじゃなくて貸すんだからな。」
「えー、15円くらいー。」
「15円くらいじゃねぇよ。」
「そうだよね、亮介にとったら15円って大きいよね。5円チョコが3つも買えちゃうもんね。」
「おい。俺は5円チョコを食って生きてるのか。」
「まぁ、いいから金、金。」
「ハイハイ。」
サイフから10円硬貨を1枚と5円硬貨を1枚取り出して俺の手のひらの上に載せた。
力の限り、全ての煩悩をぶっ潰すかのごとく賽銭箱に2枚の硬貨をぶち込んだ。
特に理由は無い。やりたいからやったのさ☆
2枚の硬貨のうち1枚はどうにか入ったが、もう1枚は1度はね返ってから賽銭箱の中へ入った。
「おし!」
「あっぶねぇなー。」
「今年も愚民共が今まで以上に下僕らしくなってくれますように。」
「おい!お前下僕って!!」
「なぁ、聞くまでも無いがそれは俺達のことか!?今まで以上にって何だよ、オイ!!」
「うるさいなー、冗談だよ冗談。」
今年も昇、姉さん、父上殿、母さん、空、父さん、あとついでに亮介と新平も健康でありますように。と
勿論、俺は万年元気でありますように。
「よし、OK。」
「カジ、なんてやったのー?」
「秘密。」
「あ、そ。私はね、カジのスバラシイ性格がこの先ずっと変わりませんように。って。」
「「おい!!」」
「やめて、それだけはやめて!!」
「願わなくてもそうなりそうなのに!!」
「やっだー、冗談に決まってんじゃん。」
「さて、人ごみから出よう。」
「うーわー、大変そう・・・」
人をかきわけ、甘酒なんかを売ってる広場に出た。
少し離れたところに甘酒飲んでる見知った人を発見した。
俺はさっきまでめんどくさがってたことなんて忘れて、嬉々としてその人の方へ駆けていった。
「父上殿ー!!」
「おー、最。あけましておめでとう。」
「あけましておめでとう!!」
俺の目の前に立つのは身長165cm前後の成人男性。
女よりのカワイイ顔。と言うと本人は怒る。俺も言われれば怒るが。
「え、父上殿ってあの人カジのお父さん!?」
「いや、違う違う。あんな若いわけねぇじゃん。」
「あの人は、真島 修一(まじま しゅういち)さん。最のお姉様、宙さんの高校の時の後輩で今確か・・・何歳だっけ?」
「23歳。最ちゃんの性格形成に1番影響与えた人だな。」
「何で“父上殿”?」
「修一さんが最ちゃんを養子に欲しいって言いまくってるから。」
「養子って・・・」
「息子もしくは弟みたいで可愛くてしょうがないらしい。」
「息子って7つしか違わないじゃんー。」
「まぁ、宙さんの通ってた空手教室に修一さんも通ってて、ケッコー家に遊びに来てたみたいだしー。」
「初見が確か・・・・修一さん10歳で最ちゃん3歳だっけ?」
「いや、それでも息子は無理があると思うよ。ってか、7つ違いの息子なんてありえないしー。」
「ま、いいじゃん。」
「ホレ、あの最ちゃんの嬉々とした顔見てみろ。俺らといる時は、めんどくせー、家帰りてー、あの御神木どうやったら折れるだろうって顔してたのに。」
「最後のはどうなの?ま、確かにカジの顔さっきと全然違うよね。」
「懐いてますから。」
なんか色々言われてる気もするが、気にしない。
「久しぶりだなー、1週間ぶりか?」
「そうだね、クリスマスに遊びに行ったからね。」
「明日か明後日ヒマかー?」
「うん、明後日なら大丈夫。」
「じゃぁ、明後日うち来い。母さんが連れてこいってさー。親父も年玉やるってさー。」
「やったー、行く行く♪」
向こうでバカ3人が「お父様お母様はさしずめおじい様おばあ様ですか?ククク」などと言っている。
おいおい、殴るぞてめぇら。
「じゃ、俺帰るわ、最。」
「えー、うち寄ってってくれればいいのにー。」
「そうしたいのはやまやまだけど、兄貴が帰ってくるみたいだから家帰んなきゃなんないんだよー。」
「じゃぁ、しょうがないや。」
「じゃぁな、最。明後日来いよー。亮介ちゃんと新平ちゃんもバイバーイ。あと、可愛らしいお嬢さんも。」
「「さよーならー。」」
そう言って、父上殿は去っていった。
「あれ?あの人なんか態度がカジと私等でちょっと違ってなかった?」
「あー、最ちゃん以外には普通に素なんだけど、最ちゃんにはちょっと男らしさを出そうとしてるな。」
「修一さんは、素だとハートが飛び出すこともあるんだよ。最ちゃんは素でもそうでなくてもハート飛び出すのはたいてい悪巧み考えてる時とか人を従わせる時ぐらいだな。」
「ホントにそんな感じだね・・・あ、今何時?」
「12:20」
「あっ、ヤバイ。午後から親戚来るんだ!じゃ、私帰るよ!カジ、またメールするね!!」
「おー、帰れ帰れ。」
「・・・・うちのお姉ちゃんドーナッツ屋でアルバイトしててー、いっつも色々持って帰ってくるんだー。」
「いつでも遊びにおいで、雪美ちゃんvv手土産忘れずに。」
「「オイオイ。」」
「じゃぁね、カジ。それと竹沢と佐川。」
「じゃぁね、雪美。また新学期。」
「俺達はついでかよ。」
「さいならー、平河。」
「さて、俺達も帰るか。」
「おー。」
「あ、サイ兄、リョウ兄、シン兄。」
「お、昇じゃん。来てたのか。」
人ごみの中から、昇がでてきた。
その後ろから、また2人出てきた。
「あ、サイさん、リョーさんあけましておめでとうございます!!」
「あけましておめでとうございます、最さん!」
「年始から元気だね、浩平。あけましておめでとう、和輝。」
「俺と新平は無視かよ、カズちゃん。」
「ってか、浩平来てたのかよ。」
我が弟、昇の後ろから出てきたのは、昇の幼馴染でお友達の新平の弟のムダに元気な佐川 浩平(さがわ こうへい)と腹黒大王安藤 和輝(あんどう かずき)。
和輝は俺の信者らしいよ。
「サイ兄達ももう帰るとこ?」
「そのつもりだけど。」
「じゃぁ、一緒に帰りましょ最さん!」
「うん、帰ろう帰ろう。」
「アレだよね、周りの人間大体、最贔屓だよな。」
「あぁ、そうだな。約1名、俺らがいないような態度とるしな。」
「「なぁ、カズちゃん?」」
「ハッ、デカブツ2人がうるせぇなぁ。」
「和輝、ストップストップ。お前口悪いんだから。兄ちゃん達泣いちゃうじゃん。」
「泣かねぇよ、アホ浩平。」
「さーて、帰ろうか。愚民共はほっといて。」
「そうですね、最さん。」
「いいの、サイ兄?」
「問題ナーシ。」
さっさか帰る俺と和輝。
後ろチラチラ心配そうに見ながらも帰る昇。
俺達が帰り始めたことに気付き、走って追いかけてくるアホ3人。
今年も俺は俺を貫き通すつもりですv
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
完成したのは、1月1日23時15分。
ギッリギリー?
一応、この話は1月1日午前中の出来事です。
最ちゃんのハートの数がクリスマス話より減ってる気がしますね。
あんまり人従わせたりしてないからでしょうねー。
前回、ここの言い訳スペースに昇の友達出したいって書いたので出しました。
浩平君と和輝君。
ほんのちょこっとですけど。
そして、雪美ちゃん。
ちゃんとした女の子出てきましたね。
即席キャラですが。(ぇ
長生きするかどうか・・・(オイ
それから、父上殿こと修一さん。
最ちゃんの次に好きです。
楽しいから。(ぇ
いっぱい出したいネ♪
多分、まだまだ続く梶原家シリーズ。
えぇ、多分。
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