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今の俺の素直な感想である。


“お菓子会社の陰謀の日・・・その後の梶原家”


ケーキ屋で雪美とスペシャルデラックスストロベリーパフェを食った後、母さんに貰った金で6人家族だから12個とステキな計算をしてケーキを買って、電車に乗って家に帰った。

雪美とは降りる駅が違うので途中でサヨナラして。

朝、雨降ってなかったら兄貴にバイク乗せてもらえたのにー。

チッ。

駅に着いて、ホームから出ると、ステキな人が見えた。


「誠司さーん。」
「ん?あ、最くん。どうしたの、スゴイ荷物だね。」
「チョコレートデスv誠司さんはどうしたんですか?店の方は?」
「アハハ、モテモテだね。店は、兄さんと義姉さんに任せてあるよ。宙ちゃんの顔見て来いって。」
「あ、じゃぁうち来るんですね!!」
「うん、そうだよ。」
「車乗せてくださいv」
「なんだか修一くんに似て、甘え上手になったね。いいよ、どうぞ王子様助手席に。」
「失礼しまーす。」


フハハ、なんてステキな足v

車はやっぱり良いね。


「ん?最くん、ケーキ買ってきたの?」
「あ、ハイ。図書館寄ってきたので駅前のケーキ屋で。」
「最くん1人で行ってきたの?あ、でも1人で行くことはないよねー。」
「雪美と行ってきました。」
「あぁ、雪美ちゃんか。空手教室迎えにいった時よく会ったよねー。あー、でも困ったな。」
「何が~?」
「僕もケーキ持ってきたからね。」


ホラと言って、誠司さんが後ろの座席から白い四角い箱を取って俺に中身を見せた。

イチゴ、チョコ、チーズ、マロン、抹茶、フルーツ色々な種類のケーキがえーと・・・10個入っていた。

これがあるから、誠司さん大好きv


「大丈夫ですよ、コレぐらい余裕ですよ!!」
「でも、最くん自分で買ってくると結構な量買ってくるでしょ。いくつ買ったの?」
「12個です!!」
「うっわ・・・相変わらずだね、最くん。それ、多分4つぐらい自分で食べる気だろう。」
「違いますよ、5つですよ~。」
「うん、もう何も言わないよ。」


うーん・・・なんだか誠司さんが虚ろな目をしてる・・・

でも、ま、やっぱり誠司さんの車はいいね。

姉さんのは乗れたものじゃないからなー。

デンジャラスすぎて、ね・・・・


「あれ?そういえば、姉さん今日仕事休みだったっけ?」
「うん、さっきメールしたら家でゴロゴロしてるって。ケーキ持って来いってさ。」
「あー、姉さんらし~。」
「別にバレンタインならステキな弟3人がチョコレートをたんまり持って帰ってきてくれるのにね。」
「口実なんじゃぁ・・・」
「ん?何?」
「アハハー、何でもないよ。さぁ、着いた着いた。」


ドアの前に立ち、チャイムを鳴らす。


「いらっしゃい、誠司ッ・・・・・サイちゃんか。おかえり、サイちゃん。」
「ただいま。ねぇ、何でそんなに元気なの?いつもはお客が来てもあんまり自分から出ないくせに。そんなに彼氏が来るのが嬉しいの?バレンタインだから~?」
「ッ!!今までバレンタインなんて言葉知らなかったくせに!!誰、誰に教えてもらったの!!?」
「お母様。」
「ヒィッ、悪の大魔王か!!」
「ねぇ、姉さん。ヒステリーおこしてるとこ悪いけど、愛する彼氏さん来てるよ。」
「え。」
「や、やぁ。空、正気に戻って。」
「やっだー、誠司。アタシはいつでも正気よ。」
「どうぞ、誠司さんあがって。自分のこと正気だとか勘違いしてる痛い姉さんはおいといて。」
「サイちゃん、姉ちゃん怒るよ?」


おおぅ、目がマジになってきてるよ、姉さん。

むぅ。

両手に持ったチョコがどっさり入った紙袋とケーキの箱を姉さんの目の前でちらつかせる。

梶原家の血筋は甘い物が好きなんだ。

「血じゃなくて砂糖水でも流れてんじゃねぇの」と亮介や新平に言われた記憶があるよ。

ま、その後どてっ腹に1発くらわせてやったけど。

おっ。

姉さんの目がチョコレートを追いかけ始めた。


「もしかしなくてもチョコレート?」
「うん。いっぱいもらった。」


次の瞬間コロッと笑顔に変わって、俺の頭を撫で始めた。

逆らうな、俺。

今、逆らえば危険だ・・・!!


「アタシは可愛い弟をもって幸せだな~。」
「さて、ケーキ食べる?宙、最くん?」
「食べるー。」
「俺も食べる。」
「よし、じゃぁ紅茶・・・僕が淹れるべきだね・・・」


俺と姉さんの顔を見てから、誠司さんがそう言った。

うん、誠司さんも梶原家に慣れてしまったね。

基本的に人のためにお茶なんか淹れないからね。

梶原兄弟上3人と母さんは。

誠司さんが紅茶を淹れてる間に俺が買ってきた方のケーキを冷蔵庫に入れて、誠司さんが持ってきてくれた方を開けて、入念に自分の分を選ぶ。

チョコレートにしよう。

姉さんはもう既に自分の分のショートケーキと誠司さんの分のモンブランを取り出していた。

俺も取ろうと箱の中に手を伸ばした瞬間、玄関から声がした。

何でアイツは甘い物を食おうとする時に限って帰ってくるのだろうか。

ハッ、まさか盗聴器が!!?


「ただいま~。」
「あら、おかえり。ヒロちゃん。」
「おかえり、空くん。おじゃましてます。」
「こんちは、誠司さん。」
「おかえり、バカ兄。帰ってこなくてもよかったのにー。」
「サイちゃん、そんな可愛くないこと言う口はこの口かな~?」
「そうデス、この口デス。さぁ今からでも遅くない、とっとと出てけ。」
「アハハハ、口で塞ぐぞ☆」


ひぃっ!!

それだけはヤメテ。

キショイ、キモイ、キタナイ。

スゴイや、3Kだよバカ兄。


「お、ケーキじゃん。誠司さん持ってきてくれたん?」
「うん、持ってこいと言われました。」
「フルーツロールもーらいっ。」
「ちょっと待ちなさい。手を洗ってきなさい、ヒロちゃん。」
「そうそう、1時間くらいかけて洗ってきな。」
「サイちゃん、もうちょっとお兄様に優しくなりな。」


そう、言い残してバカ兄は部屋を出て行った。

帰ってきたのは、1時間後・・・・

なんてことはない。

10分後には制服からTシャツGパンに着替えて戻ってきた。

その手には何かがどっさり入った袋を持って。


「わぁ、ヒロちゃんそれチョコ?」
「そ、チョコ。すばらしきかなチョコの山。」
「うっわ、スゴイ。サイちゃんもね、大量なのよ。」
「何!?このスケコマシ~。」
「うるさいよ、変態。」
「イイ、弟達を持ってアタシは幸せよ。」
「ハイ、宙、最くん、紅茶。空くんはコーヒーでよかったよね?」
「はい、アリガトーございます。」


その後は、ケーキ食べ終わるまで皆無言。

この光景はちょっと異様。

空が俺のチョコケーキをとろうとしてフォークをのぼしてきたが、俺が左手ではたくがとられてしまった。

お返しに大事にとってあったっぽいメロンをフォークでぶっ刺し、強奪。

その間、ずっと無言。

その後、もう1つチーズケーキを食べて、コタツでぬくぬくと昼寝。

あー、制服のままだよ。

ま、いっかと思いつつ学ランを空の顔めがけて放り投げた。

アリガトウ、誠司さん。

片付けはアンタがしろよ、姉さん。

そして、俺は意識を手放した。

コレが俺の失敗。

・・・・・・

2時間くらい寝ただろうか。

起きるといつの間にか帰ってきていた昇が上から俺の顔を覗き込んでいた。


「おはよう、サイ兄。」
「う~、こんにちはぁ?」
「こんにちはって時間じゃないね。サイ兄、ヨダレ拭いて。ハイ、ティッシュ。」


ガシガシと口の周りをティッシュで拭いて、辺りを見回す。

昇、空、母さん・・・・


「あれぇ、姉さんと誠司さんはぁ?」
「2人で食事に行ったみたいだよ。」
「んぁー、行ってらっーしゃい。」
「もう、行った後だよ。サイ兄そろそろ起きて。」


ムクリと体を起こし、コタツから這い出る。

意識は未だ夢の中ー。


「おー、最。起きたか。」
「おかえりぃー、静香ちゃんー。」
「サイちゃん、お前寝起きは素直で可愛いのに。脳のピントがあってねぇけど。」
「ッ!!誰が可愛いじゃボケ兄貴ッ!!」
「おっ、起きたな、最。」


回し蹴りを空にきめようとした時、机の上にあるものが目に付いた。

少しピンクの入った白の四角い箱。

フォークが2本。

皿が2枚。

皿の上にはケーキが。

四角い箱は、どう考えてもさっき俺が買ってきたケーキの箱。

机の上に広がるケーキからはがしたナイロンはどう考えても10枚ほど。


「人のケーキ食ってんじゃねぇよ、アホ共が!!!」
「痛い、サイちゃん痛い!!止めた回し蹴りを踵落としにかえないで!お兄様の頭真っ二つになっちゃう!!」
「何、勝手に食ってんだ!!俺に許しを請え!!そしていくつ食いやがった、テメーら!!」
「私が3つ、空も3つ、昇が1つ、あと、出て行く前に宙も2つ食べてたわね。」


カシャーンカシャーンカシャーンと俺の脳内で高速計算。


「3つしか残ってねぇじゃねぇか!!」
「3つもでしょ。いいじゃない、3つもあれば。」
「父さんに1つあげたら、俺2つしかねぇじゃん!金出せ、お前ら。」
「アンタは父さんにだけは優しいわね。あと、昇にもか。」
「母さんの息子だからね。母さんの血を色濃く受け継いだ人には優しくする必要はないからね。放っといても強く図太く生きるよ。」
「ハハハー、言えてらー。私、図太く生きてきたからなー。かわいそうにアンタ達、私に似ちゃって。」
「ホントかわいそうだよ、俺。そんなことより金。」
「あー、ハイハイ。」


そう言うと、5000円札を1枚くれた。


「めっずらしー。普段くれないのに。」
「あ、それ、今月の小遣い。あげるの忘れてたしー。」
「うわっ。ひどっ。」
「ハハハハハー。」
「サイ兄、お母さん相手に言ってもムダだから。それから、服着替えてきたら?ズボンスゴイことになってるよ。」
「うおっ、しわクチャ。」


部屋行って、服着替えよう。

去り際に空の腹に右の拳を叩き込む。

が、流石にガードされた。

むぅ。

悔しいのでコタツの側においてあった空が貰ってきたチョコの中から高そうなのをいくつか奪って逃走。

勿論自分の荷物を持ってね。

後ろの方で空が何か言っている。

知るか。


人の物を奪うのって楽しいよね。

奪われるのはスンゴイ腹立つけど。

だから、ケーキを返せ。

母の血を受け継ぐ者達よ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

なんだか気分で書き始めてしまったバレンタイン続編。
梶原家メインで。

そして、未だに出てこない梶原父。

誠司さんは出てきましたが。

梶原家の兄弟は、長女:宙、長男:空って外見が母似で、次男:最、三男:昇って父似です。
中身は昇以外皆母似ですがね・・・

宙は母とそっくりってカンジで。

ホントにそろそろ梶原父出した方がいいね・・・



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