2006.11.10
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10日ほど前に11月になったばかりだというのに、彼女はもう『ジングルベル』を口ずさんでいる。



まったく。これだから子どもは。
同い年だけれど、まるで大人と子ども。背も低くて、声も高くて、その上無邪気にはしゃぐすがたを見ていると、なにか自分が急に成長したような気にさえなってしまう。



「ねえ、ちゃんと掃除しなよ。」

歌って踊る掃除時間のアイドルに、目をあわさずにそう言うと、彼女は少しだけしゅんとなって、また歌いだした。






「わたしね、歌手になるのが夢なんだ。」


夏休みの終わり、一緒に宿題をやっているときに、彼女はふと呟いた。
国語の宿題に没頭していた僕はそう言う顔を見れなかったけれど、いつになく低い声色から、笑っていない表情を耳でとらえることができた。




分かっている。君は歌えない。





背も低くて、声も高くて、その上無邪気にはしゃぐ君の姿を見ていると、つらくなってしまうんだ。

まったく、どっちが子どもだ。それまで単純な子どもだと思っていた彼女は、とんでもなく大人びていたんだ。無邪気に振舞って、子どもになりきって、その内側を自ら隠そうとしていたのかもしれない。



高校生になったら僕らは離れ離れになるね。君はやっぱり、そのまま大学生になって、お父さんの会社を継ぐのかな。


なんだか、少しさみしいよ。





雪もまだ降っていないのに、彼女は窓の外を見ながら、『赤鼻のトナカイ』を口ずさんでいる。




そうだな、今年のクリスマスは、僕が君のサンタになろう。





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最終更新日  2006.11.15 03:27:37
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