モーツァルトへの旅

モーツァルトへの旅

五感百話



 ある耳の聞こえない夫婦がモーテルにチェックインした。深夜になって、妻が夫を起こし、頭痛がするから車からアスピリンをとってきてくれと頼んだ。夫はアスピリンをもって戻ろうとしたが、自分の部屋がどこだか思い出せない。一計を案じて、クラクションを鳴らした。すぐにモーテルの部屋中に明かりがついたが、一室だけはつかなかった。それが妻の部屋だったことは言うまでもない。

  (キャロル・パッデン/トム・ハンフリーズ『ろう文化案内』要約)

キャロル・パッデン…「ろう文化」案内

☆耳の聞こえない世界へのいざない
「ろう文化」の内側から
rou
ろう文化の歴史と展望

聞こえない親をもつ聞こえる子どもたち
日本手話とろう文化



★五感百話5 感覚という弱さ

 感覚の弱さのために、われわれは真理を見わけることができない。

  ( アナクサゴラス 『初期ギリシア哲学者断片集』)

ソクラテス以前の哲学者たち

ソクラテス以前哲学者断片集


★五感百話4 時間という音楽

時間は一種の音楽なのよ-いつでもひびいているから人間がとりたてて聞きもしない音楽なのよ

(ミハエル・エンデ『モモ』より)


エンデの作品「モモ」関連



★五感百話3

 お前も承知のように、五官に信を置く理性は
 短い翼しか持っていないのです。

  (
ダンテ『神曲』 天国篇)

「劇団ひとり」 の、漫画で読破、の『神曲』です。



☆劇団ひとりを応援するブログ

★五感百話2

 舞台は、太陽系の惑星群の中。シリウス星人ミクロメガスが太陽系を訪れ、土星人と地球に向かう途中で、次のような会話をしている。

ミクロメガス「あなた方は、感覚をいくつ持っていますか」
土星人「七十二あります。そして、わたしたちは毎日その数が少ないとこぼしています。想像力のほうが欲求より先回りする始末です。…好奇心や、七十二の感覚から生じるかなりの数の情念があるとはいえ、いつもわたしたちは退屈しているのです」
ミクロメガス「ごもっともですね。なぜならわたしたちの天体では感覚は千ほどありますが、ほかにもまだなにやら漠然とした欲望や不安があって、それがたえずわたしたちなんて所詮は取るに足りない者で、もっとはるかに完全な生物が存在すると教えてくれるからです」

 (ヴォルテール「ミクロメガス」『カンディード』植田祐次訳、岩波文庫、2005、pp.12-13)

ヴォルテール (1694-1778)は、啓蒙主義を代表するフランスの哲学者。『カンディード』は「我々は最善の可能世界に生きている」とするライプニッツの哲学観への皮肉として書かれた。感覚がもっとあっても不思議ではないとの考え方を示した「ミクロメガス」は、ディドローやダランベールら当時の啓蒙主義哲学者の考え方を代表している。



☆現代の」『カンディード』は


★五感百話1

昔の人は、考えることと感覚することとは同じだと言っている。私にもそのように思われる。

(アリストテレス『霊魂論』)

アリストテレスinフライブルグ

 ドイツの学術都市フライブルグのフライブルグ大学内に置かれているアリストテレス像。
 フライブルグ大学は、ハイデガーが学び、奉職し、『存在と時間』の時間概念の萌芽がここで生まれた。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: