2003年06月20日
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ペシミストの独り言

スパイス・ミー

僕達が解ケル秋

 実は二回目にして早くも暗礁に乗り上げてしまいました。そう、こうして執筆している今も私は迷える小羊なのです。

 沢田教一の「安全への逃避」のように然り気無く、しかし強烈に心のひだに染み入る映画はないかなあということで選んだ作品が「バーディ」です。煽情的映画「プラトーン」が公開されたときに妙な義務感にかられ観に行ったのですが、私みたいな小心者の偽善者には重すぎて、さりとて一二○○円がおしくて途中で席をはずすこともできず、同時上映だったB級コメディ「サボテン・ブラザーズ」が心のよりどころとなったものです。

 病室の窓を悲そうな面持ちで見つめるバーディ。彼はついに昔からの夢だった鳥になった。それは戦争による現実からの逃避というかたちで。いや、彼のほうで現実に見切りをつけたようにも思える。一方、学生時代の友人アル。彼もまた戦場で傷を負った一人だった。超イケズな精神科医にせっつかれ、バーディの正気を取り戻そうと必死で学生の頃の出来事を語りかけるアル。無反応なバーディに時折怒りと侘しさを覚え罵声をあびせかける。アルははたしてバーディの為だけにこんなに必死になれたのか?そんなアルが最後の最後に初めて自分の弱さを、恐れを、世の無情さを悟ったとき、バーディは・・・。というストーリーなのだが・・・。

 実はこの原稿を書くにあたって数年ぶりに観返したのですが、初見とのあまりの視点の違いに戸惑いと驚きを覚えました。戦争の悲惨性より、互いの人生の機微にふれるという心象的なものへ、繊細で純真なバーディへの思い入れから繊細さ故のわがままで現実をシャットアウトしたバーディにふりまわされるアルの優しさに目を向けている自分がいる、おそらく一致することのないかつての自分と向き合って、ましてや今の自分が人間としての深みが増したとも成長したとも思われないけれども、当り前に微妙な問題を内包していることを苦渋に満ちた思いでいる私がここにいるということにしよう、ウン。

 この作品を観て色あせぬ想い、それはバーディを見事に演じたマシュー・モディーンのスバラシさ。マシューの魅力に開眼していただけた方が一人でもいらしたなら、マシュー研究会副会長の私といたしましては光栄のいたりです。

 過去なんて振り返らないぜ!というポジティブな貴方、たまには何かを媒介に昔の自分と向きあうのも新鮮なものですよ。そう!バーディとアルのように僕たちが解ける秋にしよう!!!






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最終更新日  2003年06月20日 12時29分59秒
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