自律訓練法



じりつ-くんれんほう -【自律訓練法】
精神療法の一。
段階的に自己暗示の練習を行うことで,
緊張をとりのぞき心身を好ましい状態にする。
心身症・神経症などの治療や
ストレス解消・健康増進などに用いられる。
1932年シュルツ(J.H.Schultz)が提唱。
 三省堂 「大辞林」より

(注意:このページはリラクゼーションのためとして自律訓練を紹介しています。
心身の治療を目的とし自律訓練をされたい方は、専門家の指導のもとに行なってください。)

”自律訓練法”は,自分で自分にかける催眠療法で、
ドイツの精神医学者・シュルツによりつくられました。
(1932年「自律訓練法 集中的自己弛緩法」初版発行)

他人にかけてもらう他者催眠に対し、”自己催眠”と呼ばれるものです。

自ら、楽な姿勢をとり、”公式”と呼ばれる暗示のことばを使う心身操法であり、
ストレスやマイナス暗示からくる心身症の治療に効果がある心理療法です。

自律訓練法の元になっているものはヨガである、
と心身医学の池見酉次郎先生が著書 「心療内科」中公新書や
「自律訓練法の実際」佐々木雄二氏著の序文によせて書いています。

以下、同書 序文・池見酉次郎筆より抜粋

 「自律訓練法は、・・中略・・・ 
ベルリン大学のシュルツ教授によって開発されたものであり、
これはヨーガの真髄をうまくつかみ、心身両面でのひずみを自己調整する科学的な方法として、
体系づけられたものである。」


シャバアサナ

自律訓練法をおこなう姿勢として上げられている姿勢は

   1仰向け寝の姿勢
   2椅子に腰掛ける姿勢
   3椅子に深く体を沈める姿勢が、あげられています。

この1番目”仰向け寝の姿勢”こそヨガのシャバアサナそのものです。
ヨガではヨガアーサナ(ヨガポーズ)の後、
シャバアサナで緊張を解きくつろぎ、アーサナの効果を体の隅々に行き渡らせるのです。

この単純な寝転び姿勢、くつろぎのポーズが、
実はヨガポーズの中でも、もっとも難しいポーズと言われています。

究極のリラックスのポーズなのですから。

そのとき、体の変化を感じ取りつつ、その感覚を捨てるようにしていきます。
自我の壁を無くし、瞑想へと入る姿勢でもあります。
「数分間の完全なシャバアサナは、一夜の睡眠にまさる」とも言い表わされます。

このヨガのシャバアサナ=くつろぎの練習を自律訓練は取り入れて、
リラックスから催眠へと入る体感覚を段階化し、自分でレッスンできるような形にしています。


自律訓練法をしてみよう

それでは自律訓練=シャバアサナを行なってみましょう。

体の力を抜き、あお向けになりましょう。
体は真っ直ぐにし、足は自然に開きます。
手も体から楽な角度で離してください。
手のひらは上を向けた方がリラックスできます。

目をつぶり、体の力が抜けていくのを感じていきます。
力が抜け、体が和らぎ気持ちが落ち着いてきます。

ゆったり呼吸を繰り返します。
緊張がとれない人は、大きくため息を何回かついたり、
一度体の各部に力を入れてから脱力をしてみたりすると、
リラックスしやすくなります。
この感じを心の中で言葉にして唱えます。

「私は、いまとても気持ちが落ち着いている。」

「・・・・私は、いまとても気持ちが落ち着いている。・・・・」

ことばの意味が染み渡るよう何回も
ゆっくり心のなかで繰り返して唱えます。

ヨガで用いる”マントラ=呪文・真言”を
自律訓練では”ことば=公式”として使用します。

この 「気持ちが落ち着いている」 は
自律訓練法の最初の段階に用いる、言葉の公式で”背景公式”と言います。

自分の中に、自律訓練(自己催眠)のバックグランドを作るのです。

リラックスを味わえたら充分です。

そうでない方も一定の時間で区切りをつけ1セットを終わらせます。

*手足の曲げ伸ばしをし、深呼吸を2~3回して目をあけます。

また数回、この背景訓練を繰り返してみて下さい。

*の終了の手順は毎回、効果のある無しにかかわらず行ないます。

この訓練を一日2~3回、行なう場所と時間を決めて続けていきます。

この背景公式が、ある程度できるようになったら、
第1段階、「きき腕が重い」の練習に入ります。

片腕の重さを感じれるようになったら、
両腕、両腕+片足、両腕+両足と全身に重さの感覚を広げていきます。

第2段階は、暖かさを感じる練習です。

これは、第1段階の全身の重さを感じる状態にプラスして、
片腕が温かいから練習し全身に温感を広げて行きます。

第3段階は、心臓のゆったり感。

第4段階は、呼吸のゆったり感。

第5段階は、額の清涼感です。
これを段階ごとにマスターしながら進めていきます。

こういうふうに自律訓練は、体をリラックスすると
体の”重さに気づき、温かさに気づく”という事を 言葉として補助的に使い、感覚と思考をフィードバックさせながら深い催眠へと入ります。

*不快な感覚が起きたら練習を止め、
手足を動かし、深呼吸して催眠を解いてください。

*また、体の各部に不具合や過敏なところを持つ方は、
そこの練習をせず飛ばしてみてください。


自律訓練法・暗示のことば(公式)

シュルツの自律訓練法では、体の感覚をあらわした言葉(公式)をつかい 催眠状態へと入ります。
これは、意識してそうなるよう努力するより、
リラックスから生まれてくる感覚を感じ取る、観察のための補助として使うものです。
体の変化を感じ取り、しかもそれに拘らないヨガのシャバアーサナの応用です。

段階 公式(暗示のことば)
背景公式 「私は、とても落ち着いている」

第1公式
重感練習 「腕が(脚が)重たい」

第2公式
温感練習 「腕が(脚が)暖かい」

第3公式
心臓拍動調整 「心臓が静かに打っている。」

第4公式
呼吸の調整 「呼吸が楽だ」

第5公式
腹部の温感 「お腹が温かい」

第6公式
額の涼感 「額が心地良く涼しい」




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