満天の星の下

満天の星の下

2021.03.08
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カテゴリ: 闘病記
2013年5月末頃、日本人部下の結婚披露宴に出席した。当時、身体は日毎に動くことが辛くなっていたので、深センで開かれる披露宴に出席するかどうかずいぶん迷ったが、おめでたい話でもあるので、出ることにする。結果的にはこの判断がよかった。
披露宴には、一応主賓の立場で招待されていたため、お祝いのスピーチをする。自分としては、出来るだけまっすぐ前を向いて話したつもりだったが、実際には右に振れる頭を前に向かそうとしていたため、披露宴に参列した人達から見れば、スピーチの間中、頭が左右に常に動いている異常な光景だったらしい。
皆、さすがにその場でそのことを私に話しかけることはしなかったが、翌日からその場に居合わせた複数の人たちからお見舞いのメールがたくさん届いた。中国や香港の人が多かったので、鍼やマッサージのいいところを紹介するというものが大半だったが、その中で一人の香港人の友人が、西洋医学のお医者さんに一度診てもらった方がいいとアドバイスをくれる。なるほどと思い、4日後、その友人が予約してくれた公立病院を訪れる。
最初、総合科の医師の問診を受け、その後専門医を紹介してもらうシステム。感心したのは、総合科の医師が話を聞いて紹介してくれたのが、整形外科ではなく、脳神経科の専門医であったこと。かなり待ったが、専門医は、1時間以上かけて、問診と知能テストのようなものをした後で、インターネットである病名を英語で検索し、その日本語の翻訳を画面に映して、「まず間違いなく病名はこれだと思う」と話してくれる。その病名が、生まれて初めて聞く「痙性斜頸」だった。日本語で説明してあるその病気の症状を読むとたしかに自分の症状とよく似ている。その後、医師から治療方針の説明があった。念のため、日を改めて脳のCTを撮って、他の病気の可能性がなくなれば、ボトックス注射、内服薬、外科手術の組み合わせの治療を始めることになると説明される。
見るからに賢そうな30〜40代の香港人医師から告げられたのは、「この病気は、治療しても改善はするが、決して完治することはない。」というもの。そう話した後で何故か笑顔で「これからタッグを組んでこの病気と闘っていこう」と握手を求められたが、治らないと言われたショックが大きく、医師の声は遠くで聞こえていた記憶がある。
この医師のことが、どうも信用できずに、病院に行った翌日、別の友人に紹介してもらった香港島の中医を訪れ、鍼とマッサージの治療を受け始める。香港で鍼治療を受けるのは初めてだったが、とにかく鍼が太いことに驚く。アルコールでさっと皮膚を消毒するや否や、まさに、ズブっという感じで首から肩、腕にかけて、十箇所以上鍼を刺し、針にワイヤーをつけて、電気を流す。ビクッビクッと電気が流れる。インターネットで調べた病気の説明にも鍼が効果ありと書いてあった。ツボに刺してあるので痛くはないのだが、なんとも言えず気持ちが悪い。我慢すれば治るかもしれないと思いながら、この中医には10回は通ったと思う。治療からの帰り道、てこでも動かないという感じで、相変わらず顔がしっかり右を向いたままの状態に何度絶望的になったことかわからない。
握手した医師のいる香港の病院にはその後行くことはなかった。だが、彼のおかげで病名がわかっていたことが、その後の展開につながっていく。





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Last updated  2021.04.20 12:41:46
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