李春成:J-WORKER

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

李 春成

李 春成

カレンダー

コメント新着

那嵯涼介@ 故カール・ゴッチさんについて 李春成様 ブログの内容に関係のないコメ…
通りすがり2@ Re:5月10日 川崎フロンターレ 0-1 浦和レッズ この試合後の報道では浦和の守備を褒めた…
佐之輔@ レッズファンの方の意見もわかりますが PKの判定はともかく、谷口のゴールがオフ…
李 春成 @ Re[1]:5月10日 川崎フロンターレ 0-1 浦和レッズ(05/12) その通りです。崩しきれなかったと同時に…

フリーページ

2008.12.23
XML
 ボールと戯れるようなマンチェスター・ユナイテッドに完敗してから3日後、ガンバ大阪の「世界3位」をかけた闘いが始まった。
 昨年は、浦和レッズが3位決定戦に臨んでいる。ワシントンの2ゴールで一度逆転に成功したものの、エトワール・サヘルのアミン・シェルミティに同点弾を許し、PK戦に突入したのだった。熱いサポーターの声援でPK戦を制し、ようやくつかんだ浦和の「世界3位」だ。それだけに西野の本音は、「きっちりと勝つ」ことだったろう。なにしろ3位と4位では、ファイトマネーが50万ドルも違ってくる。来季の契約年俸1億円と言われるヤットの約半分、4500万円である。新シーズンに向けてさらなるチーム強化をはかりたいフロント陣にとっても、総額2億円を越える賞金はぜひとも手にしなければならない”ニンジン”だった。

 強風が吹き荒れていた。救いだったのは、ピッチを左右に横切るような風であったことだ。ゴールからゴールへと向う強風では、どちらかのチームにとってアンフェアになってしまう。そんななか、ホィッスルの音が風を断ち切るように響いた。
 パチューカは、3日前のリガ・デ・キト戦とほぼ同じ布陣だった。ただしガンバ対策として、それまでの3-4ー2-1から4-2-3-1にフォーメーション変更を試みたとエンリケ・メサ監督は明かしている。中盤の人数を増やすため、サイドバックの上がりに期待した4バックへのマイナーチェンジだった。
 しかしパチューカは初戦となったアル・アハリとのゲームで、120分間にもわたる闘いをいきなり強いられた。決勝へ駒を進めるクラブを除けば、互いの実力にそれほど大きな差がない世界レベルの大会だ。にもかかわらず、8日間で3試合はいかにもキツかったろう。
 ピッチに出て実際に闘うのは人間である。キトに敗れ、張り詰めていた緊張の糸も切れたはずだ。目標を見失ったチームから、それまでと同じエネルギーを見い出すのは難しかった。キトの特徴はワントップを頂点にして、アルゼンチン人のダミアン・アルバレスとクリスティアン・ヒメネスをはじめ、2列目の選手が盛んに前線への出入りを繰り返す点にある。相手チームのマーカーは彼らを捕捉するのに苦労し、疲労が蓄積しはじめる後半20分過ぎあたりからピンチを招く。だがこの日は、肝心のアルバレスにスピードがなく、ゲームを作ることができずに苦しんだ。

 主力をケガで欠きながら、この日も橋本が効いていた。前半29分、縦に抜ける橋本から中央の播戸にパス、これを播戸がワンタッチで前方の山崎にスルー、山崎が難なく右足で決めている。マンチェスター戦での先制点が、彼にはなによりも大きな自信となっているはずだ。かりにも「ワールドカップ」と名のつく大会だ。そう簡単には出場権を得られぬイベントでの2点目が、27歳の男をさらに飛躍させるにちがいない。もちろん、代表入りも視野に入ってくるだろう。
 だが時間の経過とともにチーム全体の動きが鈍くなる。ガンバらしくもなく、最終ラインがずるずると後方へ下がってしまうのだ。結果、じつに平凡な、おもしろみを欠いたゲームとなってゆく。たまりかねた西野は、ハーフタイムでもう一度指示を出す。「もっと厳しくプレッシングをかけろ」と。だが「20分も経ったら、やっぱり押し込まれてしまった」と、試合中の不安を口にした。
 前半32分にシュートと見せかけたルーカスが、右から走りこんできた播戸にパス、これを播戸がきれいにボレーでヒットさせたシーンがあった。不運にも逆に飛んだGKの左足に当たり、決定的な追加点を逃したのだが、この1本を除けば、播戸のシュートはなぜかゴールにつながらない。フィニッシュに見放され続けていた。

 パチューカも後半から不調のアルバレスを下げ、2トップにシステム変更したが、セットプレーを除けばヒヤリとさせられる場面をほとんど作り出せなかった。
 メサ監督が、がっくりと肩を落とす。
 「今日は正確性に欠いたゲームとなりました。どうしてこうなったのか、その理由が、今の時点ではまだきちんと整理できてません。しかし人生には悪い時間もあるものです。いつも太陽が光り輝いてるとはかぎらないのです」
 夜のとばりが降りるなかゲームはそのまま静かに終焉し、ガンバの「世界3位」は予定調和だったかのように確定したのだった。
 昨年のレッズに続いて日本のクラブが3位になったことを問われ、西野監督はこう答えている。
 「レッズの過去についてはどうでもいいでしょう。今年のガンバのアプローチの仕方はレッズとは違うものだし、サッカーのスタイルそのものが違うんですから。ただしアジアの代表として、ACLはJのクラブが当然制さなければならないと思ってます。今年はガンバがその使命をはたしただけですよ」
 レッズを下回る8位でリーグ戦を終えた今季、ガンバが来季ACLの出場権を得るには、25日の天皇杯・名古屋グランパス戦に勝利するのが第一関門だ。リーグ戦3位だったグランパスは、すでに出場権を手に入れている。モチベーションの高さはガンバ側にあると考えるのがふつうだが、パチューカ戦の内容を同じように繰り返しては望みはない。「選手たちの一刻も早い回復を祈りたい」と指揮官が語ったように、まずはマンチェスターとの死闘で傷ついた肉体を癒すことが先決だろう。
 グランパス戦をクリアすれば、残るはそのわずか4日後、中村俊輔獲得に10億と噂される資金を用意し、やはりACLをターゲットにしてきた横浜F・マリノスとの準決勝が控える。中8日で決戦に臨むマリノスとガンバとでは、あまりにもハンデがありすぎる。しかしここを突破してこそ、「ガンバ大阪」の名を世界に轟かせることができるのだ。

【了】





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.12.23 20:15:17
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: